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心理コンサルタントの白瀧です。
さて、職場には、さまざまな人が存在します。
中には、何かにつけ気合と根性を持ち出す人がいます。
ある食品会社の営業部長を務める50代の男性がそのタイプで、
「営業で大切なのは気合と根性」
と日々力説し、何軒訪問したか、何人に電話したかを毎日報告させ、少ないと「気合が足らん」と激高するのだとか。
しかも、自分が若い頃気合と根性で営業成績をあげた話を何度も繰り返したうえ、残業を暗に強要し、定時に退社した社員がいると翌日デスクを廊下に出したこともあるのだそうです。
この部長のような営業職に多いのが、体育会系の根性論を仕事に持ち込むタイプです。
「ノルマが達成できないのは気合も努力も足りないからだ」
「根性さえあれば絶対にできるはずだ」
などと力説し、現実的に無理な目標を達成させようとしたり、計画不足を根性論で無理やり何とかしようとしたりします。
このような思考回路の根底には次のような傾向が潜んでいる、とある精神科医は言います。
例えば、根性論を持ち込む上司は、
「みんながやる気を出せば、すべてがうまくいく」
と考えがちですが、こうした思考回路の根底にはしばしば
「~だったらいいのに」
という願望と現実を混同する傾向が潜んでいる、というのです。
それは、
「すべてがうまくいけばいいのに」
という願望と
「すべてがうまくいく」
という現実を混同するもので、精神医学で言うところの「幻想的願望充足」です。
この「幻想的願望充足」は子どもに認められることが多いのですが、成長するにつれて否が応でも目の前の現実と向き合わざるを得なくなると、次第に影を潜めていきます。
根性論を持ち出すタイプの人は、この「幻想的願望充足」を引きずっている人であり、目の前の現実を受け入れられず、直視したくないため、つまり現実否認の傾向が強いためだと考えられる、というわけです。
また、このようなタイプの人は、
「あの頃俺はすごかった」
「自分が○○の契約を取ったときは……」
などと過去の栄光を大いに自慢する傾向にもあります。
言わば、このようなタイプの人たちは、現実を直視していないのではなく、自分自身を直視していないのでしょう。
つまり、現在の自分の力量が現実の状況に見合っているかどうかを直視していないのです。
そして、その根底には、自分の能力に対する疑いの気持ちが横たわっています。
要するに、自分では、今の現状に対応することができない、と思い込んでいるわけです。
そこで、何でもかんでも根性論に結びつけ、その場しのぎの対策でお茶を濁そうとしているのです。
彼らが、自分の過去を自慢するのは、現状では自慢するものがないからです。
そうして、何かを自慢しなければ、自分には能力がないと思われているのではないか、という恐怖の中で生きているのです。
そのために、自分の過去を持ち出し大いに自慢するわけです。
従って、彼らは、彼らにとっての根性論を、自分の能力のなさを覆い隠してくれる隠れ蓑だと思っているのです。
【参考文献】
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