記事より】
5年ぶりにマカオを訪問中の習近平中国国家主席は20日、ポルトガルからの返還25周年記念式典に参加し、マカオトップとなる岑浩輝(しん・こうき)行政長官就任式に出席して一国二制度が順調に推進していることを誇示する。
脱カジノに苦悩するマカオは反政府活動が激しかった香港に比べ、「一国二制度の優等生」を目指し、広東省との連携で活路を見出すが、前途多難だ。
香港と同じ一国二制度を施行するマカオでなぜ「愛国」が進み、反中デモが起きないのか。香港大学民意研究計画が1999年に実施した世論調査結果によると、マカオ市民のポルトガル統治への満足度は20%、香港市民の英国統治への満足度は65%で旧宗主国への期待度、不満度が歴然の差だ。
▲▼1966年に起こった中華系住民が起こしたマカオ暴動
▲毎年11月に行われるフォーミュラー3のマカオグランプリ
マカオは1554年以来、ポルトガル領となり、440年近くポルトガルが統治したが、1966年に中国系住民による大規模な暴動で中国系住民側に死者が出たことで中国系住民が猛反発。
香港で2003年、12年、14年、16年、19年に発生した反中デモ拡大でもマカオでは大きな反中デモは起こらず、マカオ立法会(議会)も民主派は極めて少ない議席数だった。
1999年12月20日、中国人民解放軍がマカオ入りすると、約3万人が五星紅旗を振って歓待し、香港との違いが浮き彫りになった。
▲マカオのカジノは世界最大規模の売上になっている
マカオは年間カジノ売上は世界最大規模を誇り、ギャンブルを含む観光産業に依存する体質は変わらない。返還前からの暴力団がらみのカジノ利権問題は返還後、ある程度は県着がついたが、カジノによる党幹部の資金洗浄(マネーロンダリング)一掃も課題だ。
台湾在住のマカオ問題研究家、譚志強氏は「かつてマカオは東洋のモンテカルロ、東洋のラスベガスと言われたが、最近は北京のイエスマン、一国二制度の模範生と揶揄されている。
マカオ市民は幻想を抱かず、決められた農地を真面目に守る気質は混乱を恐れ、周囲に悪ガキ(香港)がいると、急に良い子になってしまう」と分析している。