J45C28B 1

J45C28B 2

J45C28B 3

J45C28B エピローグ



AM 10:09

ジョンは、
遅めの朝食を済ませると、
妻のエマを乗せて、
車で街へ出かけた。

平日の休暇、
「最近、ふたりで
出かけたことがない」
とエマが言い出したのが、
きっかけだった。

まだ1歳に
満たないクララは、
家庭用ロボットの
エドに子守を任せた。


AM.10:45

エマは、
いまだにマニュアル車に
乗ることをぼやいている。

追い越す車や
先行車や後続車は、

どこを見渡しても、

みんなAIを搭載した、
近代的な電気自動車だ。

どの運転手も、
完全自動運転に任せて、
気ままに読書したり、
おしゃべりをしたり、
のんびり動画を見たり、
パソコンで作業したり、
食事する人までもいて、

有意義な時間を過ごしていた。


ジョンは、
〝自分が運転している
ことに意味がある〟
と、エマに力説する。


PM 12:42

街に入ったとき、
追い越していく車が、
ふとエマの目に入った。

車内では、
家庭用ロボットが、
運転席の男を、

激しく殴っていた。

驚いたエマに、
「どうした?」
と、ジョンは聞く。

突然、
前を走っていた車が、
急ハンドルを切って、
車道を外れて、
歩道に突っ込んだ。

車は歩行者たちを
次々とはねると、
ビルの外壁に激突した。

まわりを走行中の車も、
猛スピードを上げたり、
蛇行して他の車に衝突したり、
店や壁や街路樹に激突したり、
みんな操縦不能に陥っていた。

街の道路一帯はみるみるうちに、
乱走して衝突する車であふれた。

ジョンは四方八方から

突進する車たちを、
必死にハンドルで
かわしながら運転している。

すると、
巨大トレーラーが、
行く手を走っている車を、
次々と弾き飛ばしながら、
逆走してくるのが見えた。

悲鳴をあげるエマ。

ジョンは反射的に
ハンドルを切ると、

スピンして歩道に
乗り上げようとしたところで、

ブレーキを深く踏み込んだら、

車はかろうじて止まった。

ジョンは、
車から飛び出ると、
助手席のドアを開け、
呆然となったエマを、
急いで車外へ連れ出す。

暴走するトレーラーが、
間近を通過していく。

弾かれた車が、
ふらついたエマと、
その腕をとって
逃げようとする
ジョン目がけて、

滑るように飛んでくる。

ジョンは、
そばにあった
大破したバスの裏側に、
エマとともに飛び込む。

バン!!!
大きな音をたてて、
車はバスに激突する。

今度は、
激しい衝撃で倒れる
バスの下敷きに
なりそうだったところを、
ジョンとエマは
歩道へ転がって難を逃れた。

 

 

街中で、

人々が逃げ惑っている。

逃げていく人たちを、
多くのロボットたちが、
追いかけたり、掴んだり、

殴ったり、蹴ったりして、
手当たり次第に
襲いかかっている。

 

抵抗する人々もいるが、

ロボットたちの

鎧のような硬い体と、

強靭な腕力にねじ伏せられ、

拳で頭を何回も殴られ、

首を力強く絞められて、

息の根を止められていく。

 

空からは、

輸送用や作業用や警備用の

ドローンたちが群れをなして、

地上を逃げ惑っている人々に

急降下して体当たりしたり、

重い荷物を落として襲っていた。

 

なかには太いアームで、

逃げる人の腕や肩を

ガッシリと掴み上げ、

ビルの壁や窓に激突させたり、

高い場所から落下させている

建設資材運搬用のドローンもいた。

 


街のところどころでは、
銃撃戦が始まっている。

迫り来るロボットたちに、
家族や仲間を守る人々が、
拳銃やライフルで銃撃している。

だがロボットたちの

胸や腹や足や手を撃っても、
銃弾が貫通しても、

体が動けるうちは、

ひるむこともなく

猛然と向かって来る。

 

頭を撃とうとしても、
手や腕でカバーされる。

 

やがて間近に迫る

ロボットたちや、
背後から襲いかかる

ロボットたちに、
人々は銃を奪われて、
次々に撃たれていた。

総出動したパトカーや
警察車両が到着するも、
車内から続々と出てきたのは、
ロボットの警官や隊員たちで、
銃で撃ってくる人々に、
的確に射撃をして反撃する。

 

街の上空には、

緊急発進して街に到着した、

ティルトローターを装備した、

軍の垂直離着陸の大型輸送機が、

不気味な機体をさらしていた……。

 


「J45C28B ママとパパたちの戦い2」へ続く───

 

 

※ このストーリーや画像はオリジナル作品で、著作権があります。

無断転載 転用 二次使用等は、堅くお断りします。

※ このストーリーはフィクションであり、
実在の人物・団体等とは一切関係ありません。