国際金融センターを比較する指数・ランキングとして有名な「グローバル金融センター指数」（英国に本拠を置く Z/Yen グループが公表）をみると、香港は2022年9月、それまで堅持してきたニューヨーク、ロンドンに次ぐ「世界3位(アジアナンバーワン)の座」をシンガポールに明け渡して4位に転落した。最近、テイラー・スイフトのアジア公演でも、香港はシンガポールと対比され、観光業の衰退が顕著になっている。香港の繁栄の両輪であった英語の普及と自由な経済活動の両方が失われつつあるのである。つまり、香港の中国化が進み、香港は中国の一地方都市へとなりつつあるのである。親中派が支配する香港の立法会は、3月19日、「国家安全条例」を全会一致で制定した。同条例の内容は、2020年に施行された「香港国家安全維持法」を補完する体裁をとり、反逆や反乱、国家機密へのスパイ行為、外部勢力との共謀といった犯罪の取り締まり範囲を拡大しつつ、厳罰化するものだ。自由な経済活動と逆行する動きは強まり、人々は委縮し、人は外へ逃げる。2月に香港で開催された米サッカークラブ「インテル・マイアミ」訪問親善試合だが、メインスターのリオネル・メッシ選手が試合に出場せずに大騒ぎになった。これなども、基本的に自由が失われたことへの反発であり、香港の観光業、人集めが困難になっていることを象徴する出来事である。（くちなし亭、2024.03.26）
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