兵庫県姫路市夢前町塩田287番地 上山旅館
参考
戦国時代のビックリ宴席料理を再現して町おこしに 兵庫・塩田温泉郷
客足が伸び悩む兵庫県のある温泉地が、昔の料理を再現して町おこしをすることになりました。その料理、戦国時代に宴会で出されたものだというんですがどんなものなんでしょうか。
姫路市の中心部から車で北へ30分の山間にある塩田温泉郷。300年以上の歴史を誇り、播磨の奥座敷としてかつては大いににぎわいましたが、30年ほど前から客が減り始め、今では旅館も2軒だけになりました。
「姫路城という世界遺産、そういう観光地に恵まれていながらどうしても日帰り観光が主になっていて、宿泊客が増えていない」(上山旅館6代目・上山洋一郎社長)
先の見えないなか、上山さん達が考えたのが…
「温泉プラス食、なにかおいしい思い出に残るようなものを提供できないかなと」
目を付けたのが「戦国の宴会料理」この辺りを本拠地にしていた守護大名・赤松家の宴会で出されたという「狸食(たぬくい)」という料理を再現することにしたのです。「狸食」とはどんな料理なのか… 江戸時代に作られた古文書にはこう記されています。
【姫路市立城郭研究所所蔵『播磨鏡』】
「喰申ス時下ヨリ種々出ルニヨリ化タル心ニテ『狸食』と云カ」
(食べると下からいろんな具材が出てきて化かされたようなので『たぬくい』というのであろうか)
もてなす相手を驚かせる仕掛け、まさに「思い出に残る料理」だったようです。以前に江戸時代の料理を再現したことがある日本調理製菓専門学校に協力を依頼、古文書を読み解き試行錯誤します。
「『ほくびしお』と言いまして、味噌の原型のひしおがあるんですけど、それを使っていたんじゃないかなと」(講師)
しょうゆも鰹節も手に入らなかった時代、味に深みを加えるのにも一苦労です。
「いかに昔のものに近づけられるか試行錯誤していますが、難しいですね」(上山旅館・渋井隆徳料理長)
そして構想から2か月あまり、ついに「狸食」が完成し、地元の宴会でお披露目されることになりました。作り方はこうです。味付けしたシイタケや鯛、するめなど12種類を並べます。最後に「狸食」たるゆえん、普通の白いご飯にみえるよう具を隠して完成です。いよいよお客さんの前に…
「おもてなし料理です。せーの、あれ?」
白いご飯に驚いた様子です。出汁をかけ食べ進めると具材が現れるという趣向に、反応は上々のようです。
「白ご飯だと思って、食べたら中から色んな具が出てきたのでサプライズ」(女性)
「こういう粋なものを食べてたんだなと思うと、戦国時代に行けたような気がしてとても面白かった」(子ども)
手ごたえを感じた上山社長、来月からメニューに加えることに決めました。
「思ったより好評で安心しております。本当に歴史のある物語のある料理を広げていきたいなと思っております」(上山洋一郎社長)