前回は富士ヒルクライムレース2018に出場し、1合目まで上ったところでした。
5合目がゴールの富士ヒルクライムレースは全長25km(レース区間は24km)の長丁場である。
長丁場のレースでは、私のように(練習してないから)体力無いタイプは、休憩織り交ぜつつも、ところどころペースアップをしていかないといいタイムは出せないだろう。
私は邪道と思いつつ、斜度が上がったところでトルクを掛けてペースアップしていた。逆に緩斜で休むという、これは足が売り切れるパターンである。定石であれば、斜度が緩い区間でペースアップするべきだ。
何かの記事で読んだことがある。緩い斜度で10%力を増加するのと、キツイ斜度で同じく10%力を増加するのでは、緩い斜度で頑張った方がタイム削減につながるそうだ。
しかし、今回のレースは完全に逆やってた。
ヒルクライム参考画像
私は走りながら2chのとある書き込みを思い出していた。
「伊吹山で70分なら富士山で90分」
私の唯一のヒルクラレース経験である伊吹山ヒルクライムレース、2015年このときのタイムは70分であった。今回の富士ヒルクライムレースは90分いけるのでは?という思いがぐるぐる回っていた。2ch情報は半分嘘ということは棚に上げて、このときだけは2ch情報を信じきっていた。
伊吹山、あのときはいろいろと言い訳もあるが、ロードバイク1年目ということもあって不完全燃焼だった。
今ロードバイク4年目。風邪とはいえ、練習まったくしてないけど「伊吹山で70分なら富士山で90分」の方程式がしっかり当て嵌まるのではないか?
走りながらずっとこのこと考えてた。
いくらなんでもシルバー75分切りは無理だ。だが、もしかしてブロンズ90分切りはいけるのでは!
ブロンズを狙うには1合目、2合目、3合目、4合目、とそれぞれ理想の通過タイムが設定されている。
1合目(5.6km):22分
2合目(9.0km):35分
3合目(12.8km):51分
4合目(17.8km):69分
5合目(24.0km):90分
という理想値があり、後からSTRAVA読みで知ったのだが、1合目通過時点で私のタイムは22分46秒だった。オーバーペースと思いきやむしろ遅れていた。
ということをレース中はまったく分かっていなかった。
走っていたときはスタート直後の2、3kmは足が回らないからゆっくりだったけど、その後は結構なペースだったので盛り返していると思っていた。
ヒルクライム参考画像
1合目を超えてから16km/hのペースを保つようにと苦戦していた。
今から思えば、これは無理に意識しない方がいい。前回も述べたが、4合目以降の平坦で一気に取り返せるからだ。
それがレース中は分からない。結局、頑張っても16km/hのペースは保てないと悟り、時速は意識しないこととする。
1合目までの激坂区間を超えると、事前情報通り比較的に緩斜面が続く気がする。私はほどほどに飛ばしていた。根拠はないが今日は調子良い気がしていた。ほとんどセンターラインに乗って周りの人を抜いていってた。特別飛ばしていたわけではないが、周りの人達も抑え気味で走っているようだった。
最初の2、3kmを過ぎてからはほとんど抜かれることがなかったのでは?と思えるほどだった。という感じで思い出を美化していた。
※ 後からUPされている動画を見ると、早い人達は1合目までの間に、とっくに前の方へ行っていることが分かった。
ヒルクライム参考画像
いいペースで上っていたが、このペースが最後まで持つのかが分からなかった。なんせ24kmである。そんなに長い距離を登り続けたことはない。
上る前にネットから拾った様々な情報によると、富士ヒルクラの平均タイムは1時間42分くらいだった。全出場者の3割以内がブロンズ以上を取得出来ているようだ。つまり、1時間30分~1時間42分の12分間の間に2割2000人もいるのだ。おそらくほとんどの出場者がブロンズ以上を目指して走っているわけで、似たようなペースの人がゴロゴロいるのである。
ヒルクライムレースではトレインの意味はあるのか?いつも疑問に思う。
風避けにはならないよね。それよりもペースメーカーとしての意味合いが強いと思う。それに一緒に走った方が心の支えになる。または競争心が強い人なら、「ボクはあの人に勝ちたい」って頑張れるのかもしれない。
私の唯一のヒルクラレース経験である伊吹山では、まったくトレイン組まなかった。私のペースが遅くて組む相手がいなかったといった方がいいかも。
今回、富士ヒルクラでは距離が長いのもあって、絶対にトレインを組んだ方がいい。私は1合目以降から4人ほど勝手にペースメーカーの対象者としてマークしていた。
ヒルクライム参考画像
Aさん:派手な緑色のチームジャージの人。歳は同じくらい。
Bさん:地味なジャージ。私よりも緩急差が激しい。おそらく私より年上。
Cさん:スピーカーで音楽流しながら走るイケメン。
Dさん:友達に雰囲気似てるので覚えてた。体がデカイ。
A~Cさんは意識し始めた1合目からゴールまでずっと視界にいた。特にCさんの音楽は励みにもなり、恐怖(抜き去ったと思ったらだんだん後ろから迫ってくる)にもなった。
基本はAさんをターゲットにずっとマークしていた気がする。Aさんは淡々と一定のペースで走る人でダンシングもほとんどしない。この人は本当に良いペースメーカーだった。挫けそうなときにAさんの背中が見える間に追いつこう!とか、結構助けられた。
一方でBさんは変わっていて、突然スピードアップしたかと思えば、ササっと左端に入って明らかに休憩している。千切ったかと思ってしばらくすると、また右から抜いてくる。この人の走り方は楽なんだろうか?疑問は湧くが途中から少しだけ取り入れたりしていた。単に疲れただけです。
Cさんは抜きつ抜かれつで走行中に会話もしたのだが、結局最後の方に千切られてしまった。ディスクブレーキ車でどこかにスピーカーやMP3プレイヤー?も仕込んでいて、その分重い車重のはずだが、じわじわと上るタイプでそしてイケメンだった。
16km/hのスピードは維持出来ないので諦めたが、ペースメーカーを意識しながら黙々と上っていた。最初の内は長いと思っていた24kmも、気付くと2合目を越えて1/3を上っていた。
2合目(9.0km):35分
の理想値に対して、後から知ったのだが、STRAVA読みで34分58秒で走っていた。
いいペースである。
今のところ体力的にも余裕があり、心身共にまだまだいける感じがしていた。ときたま若干斜度は上がるが、2合目~3合目はそれほど厳しい斜度ではなかった。それよりも、たまーに1~3度くらいの緩い坂になるときがあって、定石でいけばここで加速すべきと思う。私は前述の通り無駄に休んでいた。
周りを観察していると、それまでのんびり走っていた女性が緩斜面でここぞとばかりに加速しているのを見かけ、面白そうだからついていってみると、斜度が5~6度に戻ると一気にペースダウンしていていた。そのときは分からなかったが、今思えば賢い走りをしていたわけだ、この女性。
ヒルクライム参考画像
3回目のタイコ(3合目で太鼓鳴ってたっけ?)の頃には周りのペースはグッと落ちてたと思う。私も落ち気味だったが周りの人と相対的にみて、いい感じで上れていたと思う。
3合目(12.8km):51分
の理想値に対して、48分29秒で上っていた。1分半もゆとりができたことになるが、実測値はSTRAVAタイムにプラスαがあることを後から知る。この1分半のアドバンテージも走ってってときは分かっていなかったが。
計測開始地点から数えて12kmを越えたとき、まだ半分しか上っていないという脱力感と、ようやく半分走ったぞという達成感もあり、私は今後の走りを模索していた。
忘れていたが私は風邪を引いていた。ここにきて咳き込むようになってきていた。ボトルに入れたスペシャルドリンクで喉を潤し、飴ちゃんの代わりに2RANでもペロペロしたろか?と考えていた。後ろポケットに忍ばせた2RAN、走りながら開封出来るだろうか?しまったな、スタートする前に開封してどこかに挟んでおけば良かったな。挟むといってもどこに?レーパンの太ももの裏とか?いや、それは汗で溶けちゃうでしょ。グローブの隙間もきっとダメだろうな。コクピット周りで2RANを仕込めるところあるかな?GARMIN先生の樹脂カバーの間とかか?おおー、なんかいけそうな気がする。でも取り出そうとして落としそうな気もする。サドルの先っぽの裏側とかどうだろう?うまく貼り付ければ結構いいかも。側から見れば「股間から取り出した何かを食べてる」となるかもしれないが。
ということを考えていたら、もう4合目まできていた。半分超えてからゴールまでは、本当にあっという間だった気がする。
この頃からか下山が始まっていた。これまでセンターラインに乗せて、ときには右側車線にまで出ばって気持ちよく抜いていたが、下山者がおっかないのでちょい内側を走ったりしていた。
さて4合目~ゴールの区間には噂のスプリント区間がある。若干の下りと共にしばしの平坦があるらしいのだ。脚はあまり残っていなかったが、絶対にそこにきたらぶっ飛ばそうと心に決めてここまで上ってきていた。しかし、この4合目にたどり着く直前に激坂(といっても8度くらい)があって結構な疲労度だった。
4合目(17.8km):69分
の理想値に対し67分4秒だった。約2分のアドバンテージを得て、今4合目なのだ。普通ならブロンズ獲得は堅いはずだった。
次回へつづく。