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2023年12月3日

HiKOKI タナカブランドのエンジン修理受付を2022年3月末で終了

HiKOKI タナカブランドのエンジン修理受付を2022年3月末で終了

電動・エア工具を製造・販売する工機ホールディングス株式会社(本社:東京都港区)は、同社HiKOKIブランドの修理対応ページ上でエンジン工具の修理受付終了を発表した。 タナカブランドは2022年3月末を持って受付終了、HiKOKI・日立工機ブランドのエンジン工具は2023年3月末で修理受付終了となる。

HiKOKI、タナカブランドエンジン工具の修理対応が終了

電動・エア工具を製造・販売する工機ホールディングス株式会社は、同社HiKOKIブランドページの修理終了機種のお知らせでエンジン工具の修理受付終了を公表しました。

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TANAKAブランドを冠する旧タナカ、旧日工タナカエンジニアリング製品が2022年3月末に修理受付が終了します。

それ以外のTANAKAブランドエンジン工具に関しても2020年12月末の時点で修理受付を終了しており、TANAKAブランドのエンジン工具サポートは2022年3月をもって全て終了します。

日立工機・HiKOKIブランドのエンジン工具も
2023年3月末で修理対応終了

さらに、工機HDはHiKOKI・日立工機ブランドのエンジン工具の修理受付の2023年3月末終了も告知しました。

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HiKOKIブランドのエンジン工具は、CM75EAP等の発売から5年程度しか経過していないエンジン工具も修理受付終了します。

また、一部の大規模ホームセンターではHiKOKIブランドエンジン工具の新品販売を継続している店舗もあるので、日立工機やHiKOKI、TANAKAブランドのエンジン製品を購入する際には注意が必要です。

役目を終えたTANAKAブランド
タナカ工具をお持ちの方は早めの動作確認がおすすめ

TANAKAブランドのエンジン工具は修理受付終了までの期間残り半年を切っているため、納屋の奥で眠っているエンジン工具があれば早めに動作確認を行い、修理対応の依頼や修理部品取り寄せを依頼するのがおすすめです。

HiKOKIのWeb修理受付サービスでは「エンジン工具の修理受付は対応できない場合がある」と記載されているため、エンジン工具を修理に出す時はHiKOKI取扱店に問い合わせするのが確実です。

TANAKAブランドの元となったタナカ工業は、1918年(大正7年)創業の歴史ある企業です。60年代半ばから園芸機器の製造を開始し、70年代からホームセンターを中心に販路拡大を進めることで最盛期にはホームセンターにおけるシェアをチェンソーで40%・刈払機で25%のシェアを獲得するトップブランドとして躍進しました。

その後のタナカ工業は、創業家兄弟の確執や会社代表の個人的な海外投資の失敗によって経営難となり、2006年には負債額77億円を抱え経営破綻に至りました1。そこで当時の日立工機が事業再生支援企業としてタナカ工業の事業譲り受けで合意し、日工タナカとして新たなスタートを切ることとなりました。

残念ながら、日立工機主導によるTANAKAブランド運用も順調とは言えず、排ガス規制やエンジン工具電動化の流れ、世界的なエンジン製品リコールによって、かつてのTANAKAブランドが持っていた市場への影響力は急速に落ち込み、2010年代半ばごろから強力な販路の1つだったホームセンターからもTANAKA製品の陳列を見ることも無くなりました。今回の修理受付終了によって、名実ともに市場からTANAKAブランドの役目を終えることなります。

支援企業としてタナカブランドを存続させ、同社の後処理を行った工機HDの立場からすれば筋違いとも言える総括ではありますが、TANAKAはエンジン工具ブランドとしての実力がありながらも経営に恵まれることの無かった悲運のブランドだったと言わざるを得ないのかもしれません。

米タナカのHP(閉鎖済)に記載されていた「We are not Stihl. We are not Echo. We are Tanaka.(私たちはSTIHLではありません、ECHOでもありません。タナカです)」の一文に哀愁が漂う。

脚注

  1. なぜ倒産 平成倒産史編|日経トップリーダー
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