「第40図 天主の十戒 第5戒(続き)」『公教要理図解』ワグネル神父
第5戒(続き)汝殺すなかれ
◎命じてある事項
1
天主は第5の掟をもって、次の事を命じ給うのである。
(1)敵を赦すこと
(2)敵と和解すること
(3)出来る限り、敵をも助けること
(4)困窮している人を扶助すること
2
敵に対する第一の務は、彼らを赦すことである。
3
この務めは、厳重に守らねばならぬ。主キリストは敵を赦さない者は、天主も容赦し給わぬと言う事を述べられたのである。
あなたがたは、わたしが律法や預言者の教えを廃止するために来たと思ってはならない。廃止するためではなく、成就するために来たのである。あなたがたによく言っておく。天地の続く限り、律法の一点一画も消え失せることはなく、ことごとく成就するであろう。
だから、最も小さなおきての一つでもこれを無視し、またそうするように人々に教える者は、
天の国で最も小さな者と呼ばれるであろう。しかし、おきてを行い、またそうするように教える者は、天の国で大いなる者と呼ばれるであろう。あなたがたに言っておく。もしあなたがたが律法学者やファリサイ派の人々以上に神のみ旨を行う生活をする者でなければ、あなたがたはけっして天の国に入ることはできない。あなたがたも聞いているとおり、昔の人々は
「殺してはいけない、人を殺したものは裁きを受ける」
と命じられていた。
しかし、わたしはあなたがたに言う。兄弟に対して怒る者は、皆裁きを受ける。また、兄弟に「愚か者」という者は、衆議会に引き渡され、「ばか者」という者は、火の地獄に落とされる。あなたが祭壇の上に供え物を捧げようとするとき、もし兄弟があなたに何か恨みを抱いているのを思いだしたならば、供え物を祭壇の前に置いておき、まず行って兄弟と和解し、それからもどって供え物を捧げなさい。
あなたを訴える人といっしょに行く途中、早く仲直りしなさい。そうでなければ、おそらく訴える者はあなたを裁判官に渡し、裁判官は下役に渡し、ついには、あなたは牢屋に入れられるであろう。よく言っておく。
最後の一円を払うまでは、あなたはけっしてそこから出ることはできない。
(マタイ5:17-26)
4
幾度も、どんな場合にも敵を愛さねばならぬということは、また、聖書に書いてある。
そのとき、ペトロはイエズスに近寄って、
「主よ、兄弟がわたくしに対して罪を犯したならば、何回までゆるしたらよいのでしょうか。
7回までですか」
と尋ねた。イエズスは答えられた。
「わたしはあなたに言う。
7回どころか、7の70倍までもと。
それで、天の国は次のようにたとえられる。
一人の王がしもべたちと貸借の決済をつけようとした。
決算が始まると、1万タラントの負債のあるものが王の前に連れ出された。
しかし、返すことができなかったので、主人は、その人自身と、その妻、子、及び持ち物全部を売って負債を返すように命じた。
このしのべはひれ伏して、
『どうぞもうしばらくお待ちください。きっと全部お返しします』
と哀願した。そこで、主人は哀れに思って、彼をゆるし、借金を免じてやった。
ところが、このしもべは外に出ると、自分に百デナリの負債のある一人の同僚に出会った。
彼はその同僚ののどもとを締め付け、
『借金を返せ』
と言った。この同僚はひれ伏して、
『もうしばらく待ってくれ。返すから』
としきりに頼んだ。しかし、彼は承知せず、かえってその同僚を引っ張っていき、 負債を返すまでといって牢屋に入れた。
この一部始終を見ていた同僚たちはひどく心をいため、主人の前に出てすべてを告げた。
そこで、主人はかれを呼びつけ、
『ふとどきなしもべだ。わたしはおまえが頼んだとき、負債を免じてやった。
わたしがおまえをあわれんだように、おまえもあの仲間をあわれむべきではなかったか。』
と言い、おこって、彼が負債を全部返すまでといって、拷問係に引き渡した。
わたしの天の父も、もしあなたたち一人一人が、自分の兄弟を心からゆるさないならば、
あなたがたと同じようになさるであろう。」
(マタイ18:21-35)
5
敵に対する第3の義務は、必要に際して彼らを助けることである。
◎絵の説明
6
この絵の下部の右の方は、聖シブリアンがその親族をして、首を斬ろうとする刑吏に、金を与えさせているところを見せたのである。
7
また、この絵の上部には、敵を赦すという感動すべき例を示してある。すなわち、最初の殉教者聖ステファノが、ひざまずいて、両眼を天を仰ぎ、天主に向かって、彼に石を投げて殺そうとしているユダヤ人のために、「主よ、彼らにこの罪を負わせないで下さい。」という、最も感動すべき祈祷を為しているところである。
8
下の左の絵は、ヤコブとエサウの兄弟が、仲直りをしているところである。(創世記33;1-15)
第5戒(続き)汝殺すなかれ
◎命じてある事項
1
天主は第5の掟をもって、次の事を命じ給うのである。
(1)敵を赦すこと
(2)敵と和解すること
(3)出来る限り、敵をも助けること
(4)困窮している人を扶助すること
2
敵に対する第一の務は、彼らを赦すことである。
3
この務めは、厳重に守らねばならぬ。主キリストは敵を赦さない者は、天主も容赦し給わぬと言う事を述べられたのである。
あなたがたは、わたしが律法や預言者の教えを廃止するために来たと思ってはならない。廃止するためではなく、成就するために来たのである。あなたがたによく言っておく。天地の続く限り、律法の一点一画も消え失せることはなく、ことごとく成就するであろう。
だから、最も小さなおきての一つでもこれを無視し、またそうするように人々に教える者は、
天の国で最も小さな者と呼ばれるであろう。しかし、おきてを行い、またそうするように教える者は、天の国で大いなる者と呼ばれるであろう。あなたがたに言っておく。もしあなたがたが律法学者やファリサイ派の人々以上に神のみ旨を行う生活をする者でなければ、あなたがたはけっして天の国に入ることはできない。あなたがたも聞いているとおり、昔の人々は
「殺してはいけない、人を殺したものは裁きを受ける」
と命じられていた。
しかし、わたしはあなたがたに言う。兄弟に対して怒る者は、皆裁きを受ける。また、兄弟に「愚か者」という者は、衆議会に引き渡され、「ばか者」という者は、火の地獄に落とされる。あなたが祭壇の上に供え物を捧げようとするとき、もし兄弟があなたに何か恨みを抱いているのを思いだしたならば、供え物を祭壇の前に置いておき、まず行って兄弟と和解し、それからもどって供え物を捧げなさい。
あなたを訴える人といっしょに行く途中、早く仲直りしなさい。そうでなければ、おそらく訴える者はあなたを裁判官に渡し、裁判官は下役に渡し、ついには、あなたは牢屋に入れられるであろう。よく言っておく。
最後の一円を払うまでは、あなたはけっしてそこから出ることはできない。
(マタイ5:17-26)
4
幾度も、どんな場合にも敵を愛さねばならぬということは、また、聖書に書いてある。
そのとき、ペトロはイエズスに近寄って、
「主よ、兄弟がわたくしに対して罪を犯したならば、何回までゆるしたらよいのでしょうか。
7回までですか」
と尋ねた。イエズスは答えられた。
「わたしはあなたに言う。
7回どころか、7の70倍までもと。
それで、天の国は次のようにたとえられる。
一人の王がしもべたちと貸借の決済をつけようとした。
決算が始まると、1万タラントの負債のあるものが王の前に連れ出された。
しかし、返すことができなかったので、主人は、その人自身と、その妻、子、及び持ち物全部を売って負債を返すように命じた。
このしのべはひれ伏して、
『どうぞもうしばらくお待ちください。きっと全部お返しします』
と哀願した。そこで、主人は哀れに思って、彼をゆるし、借金を免じてやった。
ところが、このしもべは外に出ると、自分に百デナリの負債のある一人の同僚に出会った。
彼はその同僚ののどもとを締め付け、
『借金を返せ』
と言った。この同僚はひれ伏して、
『もうしばらく待ってくれ。返すから』
としきりに頼んだ。しかし、彼は承知せず、かえってその同僚を引っ張っていき、 負債を返すまでといって牢屋に入れた。
この一部始終を見ていた同僚たちはひどく心をいため、主人の前に出てすべてを告げた。
そこで、主人はかれを呼びつけ、
『ふとどきなしもべだ。わたしはおまえが頼んだとき、負債を免じてやった。
わたしがおまえをあわれんだように、おまえもあの仲間をあわれむべきではなかったか。』
と言い、おこって、彼が負債を全部返すまでといって、拷問係に引き渡した。
わたしの天の父も、もしあなたたち一人一人が、自分の兄弟を心からゆるさないならば、
あなたがたと同じようになさるであろう。」
(マタイ18:21-35)
5
敵に対する第3の義務は、必要に際して彼らを助けることである。
◎絵の説明
6
この絵の下部の右の方は、聖シブリアンがその親族をして、首を斬ろうとする刑吏に、金を与えさせているところを見せたのである。
7
また、この絵の上部には、敵を赦すという感動すべき例を示してある。すなわち、最初の殉教者聖ステファノが、ひざまずいて、両眼を天を仰ぎ、天主に向かって、彼に石を投げて殺そうとしているユダヤ人のために、「主よ、彼らにこの罪を負わせないで下さい。」という、最も感動すべき祈祷を為しているところである。
8
下の左の絵は、ヤコブとエサウの兄弟が、仲直りをしているところである。(創世記33;1-15)