8mgの小説ブログ

WEB小説(ちょっと挿絵)のブログです。ブログ形式だと順番的に少し読みにくいかもですが、一章ごとに完成したら、別サイトにアップしたいと考えています。※このサイトはリンクフリーです。

20210220223629

WEB小説『画面の向こうのプロレスラー』をメインで更新中!ちょっとアレな性格の女子レスラーの成長物語ですm(_ _)m

画面の向こうのプロレスラー(第2話)

<前の話に戻る>
<次の話へ進む> 

f:id:home8mg:20190408142356j:plain

 

まあでも、リングコスチュームという名のほとんどエ〇衣装の女の子に誘われたら、試合中であれどこでも男はその誘惑に負け、飛び込んで仕舞うものである。いやっ、これは決して(誘惑に)負けた訳ではなく、男として当然の選択・・・自然の摂理なのである。

 

 

・・・だから、こうして地面をのたうち回っている鬼頭さんを俺はどこまでも支持する・・・

 

 

 

助走をつけて体ごと地面へ叩きつけようと・・・ランニング・ボディ・プレスを仕掛けジャンプした鬼頭に、膝を立てて応戦したリリー・・・彼女の膝は鬼頭の脇腹をめり込むように捉え、彼女自身も落下する鬼頭と共に地面に叩きつけられた・・・のだが、いち早く起き上ったリリーとは対照的に鬼頭は地面をのたうち回っている・・・両者のダメージの差は明らかだった。

 

 

「早く起き上がってください!今度は私からいきますね♡」

そう言いながら、軽やかなステップを踏みながらリング上(砂の上)を旋回するように移動するリリー・・・まさに獲物の周りを旋回する鷲のようだ。

 

「くそ、コラぁーーーっ!!」

よろよろと起き上る鬼頭・・・そんな彼が体制を整える前に、待ってましたとばかりに襲い掛かるリリー。

 

「バキィィィーーーッ!!ドカァーーーッ!!バシンッ!!バキッ!!ダァンッ!!ボコォォンッ!!バァァンッ!!バシンッ!!バキッ!!バキッ!!バキッ!!バキッ!!バキッ!!ドゴォォーーーンッ!!」

洒落にならないようなリリーの猛攻が鬼頭を襲う。後ろ回し蹴りを皮切りに、ハイキック、ローキック、パンチ、エルボーと相手に有無も言わせぬ連打を繰り出すリリー・・・鬼頭は最初の打撃をもろに喰らってからはガードを固めて防戦一方だ。そのガードの上から引き剥がさんとするリリーの猛攻・・・体術、とりわけ打撃においては、本物のプロレスラーをも圧倒するリリーの強さは本物と言って間違いないだろう。

 

「アハッ!!ヤァーーーッ!!ウフフゥ~!!ムフッ!!イヒィッ!!」

猛攻を仕掛けて間のリリーは満面の笑みで、発する言葉、掛け声もちょっとイヤらしい(ちょっと所ではない)息遣いと声が視聴者の興奮をさらに加速させる。

 

正直このライブストリーミングを視聴する時は、”一人での視聴”をオススメする。普通でもリリーの際どい恰好とその躍動する体を見ていると、さも〇V動画を見ているかのような気分になるのに、試合が進んで来るとさらにそれが加速し、リリーの行動ひとつひとつが(エロ方面の)精神を揺さぶってくる。男同士でも一緒に視聴するのは抵抗を覚える。視聴している所を母ちゃんに見つかったりでもしたら、それこそ記憶抹消ものである。

 

「バキィィィーーーーーーーーーッ!!」

両腕ガードの上から右足ハイキックを叩き込むリリー。鬼頭の腕や体のあちこちが真っ赤に腫れ上がっている。彼はガードを固めながらしゃがみこんで、足払いを狙う戦い方に切り替えていた。

直立状態のままリリーと打撃で戦えば負けると判断したのだろう・・・それって、本物のプロレスラーが女の子相手に体術ではかなわないと認めたようなことである・・・プライドは無いのか!?と言いたい所だが、鬼頭の判断は正しい。変にいきり立ってリリーと撃ち合おうとしてボコボコにされた男達をこれまで100人以上も見てきたのだ。

 

 

寝転んだ状態でリリーの脚を狙いにいく鬼頭・・・さながら猪木vsモハメド・アリ戦を彷彿させる様相だ。

 

「もうっ!!鬼頭さん!!だいしゅきボールドッ!!」

妙な掛け声でジャンプ一番・・・鬼頭の体へ飛び込んでいくリリー。これリリーの作戦である。女性としての誘惑を駆使しながら相手の懐へ飛び込む・・・だいしゅき△〇□

・・・という言葉が一瞬の鬼頭の集中力を狂わせ、その隙間を逃さないリリーは寝技で鬼頭と組み合った状態から抑え込んでパスガードを極める・・・ブラジリアン柔術の相手のホールド崩しまで会得している彼女には頭が下がる・・・そこからスイープ(マウントを取り返し)・・・マウントパンチ・・・と流れるように視聴する画面上では技の説明テロップが入る。

 

「バシンッ!!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!」

マウントポジションから鬼頭に向かって左右のパンチの雨を浴びせかけるリリー。それを必死に顔面ブロックしてガードする鬼頭。

 

「キスして、キスぅ~ッ!!」

いきなりパンチを止めて、鬼頭の顔に自分の顔を近づけるリリー。彼女の言葉通りにキス顔を近づいてくるリリーに一瞬戸惑う鬼頭・・・その隙を見せた瞬間、素早く体を動かして右腕を掴むとそのまま腕ひしぎ十字固めへと持ち込むリリー・・・前のラウンドと同じ状況だ。

体を伸ばして強烈なダメージを鬼頭に与えるとすぐにリリーは締めを解く・・・「うわぁぁ・・・」と悲鳴をあげて横たわる鬼頭の顔面にめがけて、素早く起き上ったリリーはジャンプする。

 

f:id:home8mg:20190411005459j:plain



「ダァァァァーーーーーーーーーーーーンッ!!」

・・・ヒップドロップが炸裂する・・・

 

リリーのお尻と地面に頭をサンドイッチされた鬼頭の目は完全にイっちゃている・・・やばいって、このままじゃ(鬼頭さんが)死ぬって!!試合の行方よりも、放送事故にならないかどうか不安になってきた。

既に勝敗は決していた・・・が、鬼頭サイドのセコンドからはギブアップの合図もないので試合は続行している。本物のプロ団体に所属するレスラーが、どこの馬の骨とも言えない素人の女子レスラー相手に圧倒され敗北するのは、受け入れがたい事実であるだろう。どんな言い訳も無意味だろう。そんな諸事情すら凌駕してしまうのが、これまでずっと追っかけてきた我らがリリーなのである。

 

 

「大丈夫っ!大丈夫ですよね!うん、大丈夫♡」

意識朦朧(もうろう)の鬼頭に、勝手に問いかけ、勝手に納得したリリーは、そのまま鬼頭の体を引き起こし、持ち上げようとする・・・おそらくアルゼンチンバックブリーカーの態勢に持ち込もうとしている・・・もうほんと止めたげて!!彼のライフはゼロよ!!と言いたい所だ。

 

 

「カァァーーーーンッッッ!!」

 

 

しかし、ここで3ラウンドの終了を告げるゴングが鳴り響いた。

 

 

 

「エェェェェ~~~~~!!嘘でしょ!!」

少し声を荒げて悔しがるリリー・・・しかし、その態勢は鬼頭の顔面をおっぱいで挟み込みながら立ち尽くしている風景・・・

 

 

そこ代わってくれという妬みと、もう解放してあげてという鬼頭さんへの同情が折り重なった変な感情が沸き起こっていた。

 

「うっ・・・うぅ・・・」

ブツブツ言いながら自陣へ戻るリリーとは対照的に、地面を這いつくばりながら戻る鬼頭・・・まさかこんな試合になるとは誰が予想しただろうか。 鬼頭淳弥というプロレスラーを追うファンにとっては災いの日であろう。次のラウンドでは鬼頭ファンにとってあまりにショッキングな映像になりそうなことは確かだ。

 

 

 

〜  第4ラウンド  〜 

 

 

 

・・・運命の第4ラウンドが始まる・・・

 

がんばれ鬼頭!!男を見せろ!!あんなリリーとか言うク〇女になんか負けるな!!

 

いつの間にか鬼頭を応援している自分がいた。リリーを追っかけるファンとしては、大体最後の方は、リリーを悪役側に回して楽しむことが通なのである。

 

・・・こんなエロい恰好で、こんなエッチなボディで、こんなに可愛くて、こんなにエロい性格な女の子に、全身全霊を掛けて負けてしまうなんて・・・

 

・・・被虐的な感情がMAXを振り切って快楽へと変わってしまう・・・このライブストリーミングを視聴する者にとっては最高潮の状況が今、リアルタイムで進行しているのである。

 

「アルゼンチンやめっ!!フランケンッ!!」

そう言い放つ・・・次に繰り出す技はフランケンシュタイナーであることを宣言するリリー・・・相手に向かって飛びかかり、両足で頭部を挟み込んでバク宙のような動きで相手の体ごとかっさらって地面に叩きつける跳び技である。

 

そして、ステップを踏みながら一気に加速して、フラフラになった鬼頭に飛び掛かるリリー・・・もの凄い跳躍力で鬼頭の顔に乗りかかろうとするが、鬼頭はリリーの両足を掴む・・・

 

「ぬぁぁーーーーーーーーっ!!!」

もう駄目かと思われた鬼頭がここに来て意地を見せる。リリーを抱え上げ・・・前方に背中から叩き落す!!

 

「ダァァァーーーーーーーーーンンッ!!!」

最後の力を振り絞った渾身のボディスラムが炸裂する!!

 

うぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!激アツ展開ぃぃぃーーーーーーーーーっ!!

思わずモニタの前で立ち上がってしまった!

プロレスラー 鬼頭淳弥・・・プロである神髄をそこに見たような気分だ。

 

リリーを地面に叩きつけた鬼頭はそのままフォールへと持ち込む。

「 ワ ン ! ! ツ ー ! ! 」

まさかの意地の大逆転が見られたかと思ったが、リリーは2カウントで鬼頭のフォールを返した。もろにボディスラムを決められたのにそれも返してしまうのかというこれももの凄い熱い展開だ。

 

リリーと鬼頭・・・両者地面に寝そべった態勢でこの戦いが壮絶なものであることをモニタから溢れ出るくらいに漂わせる。

  

 

「ハッハッハーーー!!ハッハッハーーーッッ!!ハッハッハーーーッッ!!」

なんで彼女はこんなにもトチ狂っていて、なんでこんなにも魅力的なのだろうか・・・

 

 

南国の空を見上げながら笑い出すリリー・・・はっきり言ってこれはやべー奴だ。こんな人が一般にいたら裸足で逃げ出すレベルだが、今は試合中・・・視聴する者ならわかる今の状況・・・笑いながら飛び起きるリリー・・・鬼頭は全ての力を出し切った・・・その結果が今の状況。出し切った上でなお立ち上がって高笑うリリーの存在。高笑いながらもアドレナリンに満たされたリリーの表情は視聴者の心を引き付ける・・・視聴者だけではない。対戦する鬼頭の心をも引き付け、完全に心を折れさせたのだ。

 

「フランケンッ!!」

そう言いながらリリーは鬼頭を引き起こす。もはや抵抗する素振りも見せない鬼頭はなすがままに立ち上がる・・・もはや、白旗が上がっているのがモニタに透けて見える。

 

 

「ダァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンンッ!!!」

全てを出し切って真っ白になった鬼頭の頭を両足で挟み込んで、それからはなすがままに吹き飛ばされ、叩きつけられる・・・リリーの宣言通り、フランケンシュタイナーの完遂だ。

 

投げ飛ばされた鬼頭は起き上ることが出来ない。彼の体は既に限界を超えている。後はリリーがフォールするだけだ・・・だけなのだが・・・

 

 

「ねぇ鬼頭さん!?鬼頭さんは私の事好きだよね!?ねっ!?」

狂気と言う言葉を具現化したもの・・・それがリリーだろう。そう言わずにいられないのがこれから行われることだ。リリーを追いかけてきたファンはそれを“死体蹴り”と呼ぶ。体力がゼロになった相手の残り僅かな精神さえも根こそぎ奪っていくリリーのフィニッシュ技・・・それが通称死体蹴りなのである。

 

「フッフーン♫・・・よっと!」

鼻歌を歌いながら、既に行動不能。起き上がることもままならなくなった鬼頭の首を太股の裏とふくらはぎとて挟み込み(この時フォール状態にならないように鬼頭の肩を微妙に浮かせる手の込よう)そして、なんの躊躇いもなくリリーは左手を鬼頭のボクサーパンツの中に突っ込んで、鬼頭の”アレ”を扱き出す!!

 

 

「反則っ!!ファイブカウントまでっ!オーケイ!?」

なんでカタコトの日本語?と突っ込みを入れたくなるような口調でレフェリーを牽制するリリー・・・もう何が放送事故でそうでないか判断基準の感覚が麻痺してくる映像が全世界へ向けてリアルタイムでストリーミングビューされている・・・ただ一言言えるのは、こんな状況下においても、精密なカメラアングルで鬼頭さんのイチモツを見せないようにして試合風景を捉えるカメラマンが神だ!!

 

 

スリーカウントで決めて見せる!!」

なにを決めるんですか?目的の趣旨変わってませんか?

 

「レフェリー!!カウントっ!!」

 鬼頭の両肩が地面につくように押さえつけながら、レエフェリーにカウントするように促すリリー・・・その彼女の左手は今なお鬼頭の”アレ”をがっちり掴み捉えながら、上下への動きを加速させている。とっても楽しげなリリーの表情がもう絶望しか感じない。

 

 

「   ワ ン ! !       ツ ー ! !  」

 

 

 

「 う わ ぁ ぁ ぁ ぁ ・ ・ ・ ・ ・ 」

息も絶え絶えの鬼頭が弱々しい悲鳴を上げる。

 

 

 

「 ス リ ー ー ー ッ ッ ッ ッ ! ! ! ! ! 」

 

 

 

「 カン カン カン カン カン ッッ !! 」

 

 

f:id:home8mg:20190410204729j:plain

 

試合終了・・・スリーカウントの合図と共に特設リングの周りに備え付けられていたスプリンクラーから一斉に噴水が上がる。試合終了の演出である・・・。

 

 

 

 

「ドピューッ!!ビリュリュリュリューーーーッッ!!」

そして、”鬼頭のスプリンクラー”からも大量の噴水が上がる。

 

 

 

 

「ドピューッ!!ビリュリュリュリューーーーッッ!!」

そして、そして、その試合を視聴する”俺のスプリンクラー”からも少量の噴水が上がる。

 

 

 

 

「ドピューッ!!ビリュリュリュリューーーーッッ!!」

そして、そして、そして、俺だけではなく、今日のこの試合を視聴していた”世界各地の数多くの同士達のスプリンクラー”からも噴水が上がった・・・ことだろう。

 

 

 

 

 

 

4ラウンド、2分52秒・・・リリーのフォール勝ちでこの壮絶な戦いの幕が降りた。

 

 

 

 

 

勝利のガッツポーズと笑顔をカメラに送るリリー・・・その向こうで身も心もコテンパンにされた本物のプロレスラー鬼頭淳弥が昇天、失神した状態で横たわっている。おそらく鬼頭さんはこんな負け方今迄したことがないだろうと思う。メンタルが大丈夫なのか、ホント心配になる。

 

 

 

そして、画面はエンディングセレモニーへと移行しているが、はっきり言ってエンディングなんて全く頭に入ってこない。

リリーの試合は観戦した者も試合後はドッと疲れる・・・そう俺は、今日のこの試合・・・正直を言いますと・・・”4回”・・・イキました。

 

 

 

 

申し遅れました。今日のこの試合を実況解説させて頂いた”鏡恭助(かがみきょうすけ)”と言います。

 

俺は都内の外語大学に通う拙い大学生でありますが、世界一有名なプロレスラーのリリーを最大級に愛する男です!!そのリリー愛は誰にも負けないと自負するものであります。

 

毎日毎日リリーチャンネルを見ては・・・×××してます!!

 

リリーチャンネルを見始めてからは、他の物を使って×××したことはありません!!

 

まぁ、こんなことリリーファンにとっては当たり前のことなので、何の説得力もありませんが、リリーという憧れの存在・・・モニターの向こうの憧れの存在とお近づきになりたい。生涯をかけてでも叶えたい俺の夢が叶ったなら、そこにはどんな世界が待ち受けるのだろう・・・この物語はそんなifが叶ってしまった物語である。

 

 

 

 

 

 

・・・リリーvs鬼頭の壮絶な試合から一夜明けた今日・・・

 

もはや身も心もクタクタな状態の俺・・・。結局昨日の晩、冷静になってからもう2回程試合を見直した。見逃し配信ということで、リリーチャンネルではその日の間に2回再放送される・・・そして1週間後には過去試合として再視聴出来るシステムとなっている。その試合を振り返りながら、カラっ空になるまで”アレ”をやり続けたので、俺はボロボロになっていた。

 

今日は日曜日・・・バイトもなく、明日は大学の講義もあるので今日は体を休めよう・・・昨日の試合を思い出しながら朽ち果てる・・・そんなどうしようもない休日を過ごした。

 

 

 

 

 

・・・週明けの月曜日・・・大学構内を颯爽と歩く俺・・・気分もよくテンションも高い。一昨日のリリーの試合の余韻がまだ残っている。

 

 

f:id:home8mg:20190410204719j:plain


 

「おーい、月島!!」

「あっ、鏡くん。おはよう!」

 

俺は前を歩く女子に声をかける。この子は月島理科…俺と同じ国際コミュニケーション科の2階生で俺が唯一一目を置く女子である。

 

「おはよう月島!!あれっ?月島、日焼けした?」

「えっ?あ、あぁ、バイトで日焼けしたのかも・・・?」

「そうか!いやっ、そんなことより一昨日のリリーの試合見たか!?」

「えっ、えぇーと、まあ、一応・・・」

 

そう、俺がリリーの話を唯一出来る女子なのである。何人かの男友達の間ではリリーネタで盛り上がることもあるが、女子にこのリリーの話をすると十中八九ドン引きされる・・・理由は言うまでもないが、この月島理科という同級生は俺のリリーへの熱いトークを顔色一つも変えず、むしろどんどん食らいついてくれるくらい乗って話をしてくれる。

 

「スゲー試合だったな!モノホンのプロレスラーを圧倒しちまうんだから!リリーの強さは本物だぜ!!俺、感動しちまったよ!」

「そ、そうだね。」

 

男同士でリリーの話になると色々と性癖が衝突して、険悪なムードになることもあるが、男女間ならそういう心配も無く、俺が一方的に話せるので月島は俺にとって貴重な存在だ。

 

「俺がリリーのファンだと女子に言うとドン引きされるんだけど、月島、お前だけはわかってくれて嬉しいよ!」

「う、うん。」

「リリー=(イコール)男のチ○ポをこねくり回す変態痴女って言う認識だからなー女子は・・・」

「・・・・・・」

「いやっ、そうじゃないんだよ!リリーは美人で、スタイル抜群で、強くて・・・とにかく最高なんだよ!」

「そ、そうなんだ」

「俺が生きてきた中で、一番の理想の女性、それがリリーなんだよ!あー、一度でいいから彼女に会ってみたいよー!!マジで!」

「会えるといいね!」

「そう、会ってリリーの胸を鷲掴みしたい!」

「・・・・・・」

 

俺の会話に、表情豊かにこたえてくれる月島のリアクションはまるで自分のことかのように心がこもったもので、会話する俺も凄く話甲斐のある相手だ。

 

「でも、一昨日の試合・・・南国のプライベートビーチで試合とか、かなりイカすシチュエーションだったな!リリーは試合終了後はバカンスを楽しんでるのかな?」

「いやっ、それがビーチの貸し出しにも時間制限があって、試合終了後に直ぐに撤収、そして空港へ・・・って一体何してんだろ私って話で・・・」

「んっ???」

「・・・と言う裏話をSNSで呟いてたと思うよっ!リリーが!リリーがね!」

「そうかー、月島、お前ってちょくちょくリリーの小ネタ知ってるよな!もしかしたら、俺よりもリリーに詳しいんじゃない?」

「い、いやっ、そんな事ないと思うよ。ははっ・・・」

「いやっ、なかなかのもんだと思うよ!正直、関心するよ。」

「あ、ありがとう。」

「お前のその出しゃばらない性格も、俺の話になんか乗ってくれる寛大さも含めて、月島のそう言うとこ結構好きだぜ!」

「えっ!?あっ、あの・・・」

「!?って、イヤイヤそう言う意味じゃなくて、いつも俺の話に構ってくれてありがとうって意味で!!」

「あっ、そ、そう言う事ね・・・」

 

月島・・・この子はきっと俺の事が好きなのだろう(うぬぼれ)・・・正直、こんな俺の話を聞いてくれる存在は他にはいない。あまりに貴重すぎる存在なのだが・・・

 

「悪いな月島・・・俺にはもう既に心に決めた人がいるんだ。リリーと言う・・・寝ても起きても彼女の事しか考えられない最愛の存在がいるから、もしお前が俺との可能性を少しでも感じるなら、お前を不幸にさせてしまうと思う・・・だから、俺との可能性は忘れてくれ!」

「う、うん、大丈夫だよ!」

俺の正直な気持ちを伝えた。それでも月島とは今迄通りの関係でいたいという気持ちもあるが、リリーを愛する自分の気持ちに嘘はつきたくない!!

 

「ごめんな月島・・・でもそれだけ俺はリリーの事を愛しているんだ!どうせ死ぬなら、リリーに殺されて死んでもいいと思うくらい!」

「い、いや、人は殺めた事はありませんから!」

「んっ!?どうした、月島?」

「いっ、いや、なんでもない。」

「ホントに一度でいいから、リリーに会いたい。ボコボコにされてもそれが本望だよ!」

「そ、そうなんだ・・・リリーと戦いたいの?」

「もちろんだ!そして玉砕したい!」

「ふーん・・・」

「んっ!?どうした、月島??」

「い、いやっ!何でもない・・・けど・・・た、例えば、リリーの配信サイトの下に問い合わせメールフォームがあるよね。そこに練習相手募集してませんか?みたいな感じでメールを送ってみたら・・・どうかな・・・?」

「???」

「ほっ、ほらリリーって、正体を隠してるから、普段練習する時とかどうしてるのかなーと思って・・・もしかしたら実践形式の練習相手がいなくて困ってるんじゃないかなーって・・・」

「そうか・・・練習相手、スパーリング相手っつう事か、月島ー!!お前すごいよ!!その発想は無かった!!次の講義終わったらすぐにダメ元でメール送ってみるよ!なんか・・・スゲーワクワクしてきた!んじゃ行くわ!!月島、ありがとな!!」

「うん!じゃあね、鏡くん!」

 

「・・・・・・」

 

会話の捉え方によっては、遠回しに月島を振ってしまったのではないか。そうして彼女を悲しませてしまうのではないかという恐れもあったが、どうやらそんな雰囲気はなさそうで、今まで通りの関係でいられそうだ!これからも月島とリリーの話が出来る。それだけではなく、月島理科・・・彼女から面白い提案もあった。俺は上機嫌で、感謝を込めて彼女のその提案に乗っ掛かる事を決めた。

 

f:id:home8mg:20190410204723j:plain

 

 

 

<前の話に戻る>
<次の話へ進む>