きょうはオススメの本を紹介いたします。楽譜を読むこと、音楽を読み取ること、演奏におけるいろいろな音楽的メカニズムを論理的に解説し、どう演奏すべきなのか、その指針や考え方を示してくれる、そんな一冊です。
こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。
楽譜を読むチカラ
その本は、ゲルハルト・マンテルというドイツのチェリストが書かれた、『楽譜を読むチカラ』という本。
こちらです。
オススメします!
なぜそのように…
そのカバーに書かれている言葉が、本の内容を端的に表しています。
引用します。
演奏者自身がいいと思っているように演奏するだけではだめで、演奏者がいかに曲を理解したのかがわかるように演奏しなくてはなりません。
『書かれてある通りに』演奏するのではなく、なぜそのように書かれてあるのかが、人が聴いてわかるように演奏することが大切です。
自分はこの楽譜、楽曲をどんなふうに読み込んだのか、それを音で伝える。
楽譜を読むということ
ひとくちに『楽譜を読む』といっても、そこにはほんとうにいろいろな要素があります。
すべての音符が同じ重さではないし、すべての音符が同じ形ではないし、
たとえば4分音符にもいろいろある。
時代やスタイルによっても変わってくるし、和声やア-ティキュレーションによっても変わってくる。
いつでも定石通りとも限らない。
そうして考えてみると、楽譜を読むということはとても奥が深いこと。
どう聴かれるか
人はどんなふうに演奏を聴いているのか…
どんなふうに演奏すると、どう感じるのか…
たとえば、同じことが再び出てきたとき…
前の時とまったく同じように演奏したのでは、『それはもう聞いたよ』と思う。
かといって、あまりにも違うふうに演奏したら、つながりを感じてもらえない。
音楽の中ではいろいろなものが反復されます。
反復は『同じであってはいけない』と書かれていますね。
表現について
楽譜通りに正確にといっても、そこから意図を持ってずれることもある…
たとえば拍や音符が伸び縮みすること。それだって、その根底に絶対的な拍があるから出来る。
強調すること、なにをなぜ、どれくらい強調するのか。
緊張と弛緩の繰り返し、緊張の出し入れ、そのための身体の使い方…
筋肉の運動を伴わない感情は存在しない…、そんなことにまで言及は及びます。
繰り返し読みたい本
この本は、楽譜の読み方や分析、様式にとどまらず、
演奏の実際、その科学的な分析や心理にまで話は及びます。
読み終えて、一度読んで終わりの一冊ではなく、繰り返し読みたい本だと感じました。
目次を見て、興味のある章を読み返すのでもいいと思います。
楽譜、楽曲を読む、それを音にするということの深淵さを感じさせてくれる、そんな一冊です。
できればもっと早く、学生の頃に出会いたかった、そんなふうに思いました。
全然うまくレビュー出来ませんでしたが、ぜひオススメしますよ。