オーケストラや吹奏楽、多くの管楽器は合奏の中で上吹きと下吹きとがありますよね。さて、あなたはどちらを吹きたい人ですか。どちらが向いていますか。そして、それはなぜですか。それぞれどんな人が向いているの?
こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。
あるレッスンで…
これは大学に入ってからのことだと思います。
入る前からついていた先生の、ある日のレッスンで、先生にこんなふうに言ったのです。
「ぼく、2番吹きになりたいんです」
したら、先生…
「最初から2番目指してテナー吹くやつはおらんで」
…
なぜ、2番を吹きたいって言ったんだろう…
性格的に向いていると思ったのかな…
それとも、下を吹く面白さみたいなものをわかった上で言ったのかな…
学生の頃…
大学生の頃は、外に仕事(吹く仕事ね)に行くと、当たり前ですが、下を吹くことが多かった。
当時、どこの現場へ行っても、トロンボーンはおんなじトリオでした。
それが、いつも一緒だったトップ吹きとバス吹き、全然反対のタイプだったのですよね…
「福見くん、挟まれて大変だね…」なんて言われたりもしましたが…
いえいえ、全然そんなことはなくて、
むしろ全然タイプの違う2人からいろいろ学べて、とてもよかったのです。
まだなんにもわからない真っ白けでしたからね。
一色に染まらなくて、むしろ良かったと思っています。
じつは、そのつど『いいなぁ』と思った方につけたりしていました。
上吹き下吹き
さて、これ、以前に書いたかもしれませんが…
ある高校吹奏楽部(全国常連)で、コンクール前のトロンボーンのパート練習をみていました。
自由曲のある部分の8小節ぐらいのハーモニーが、なんだかしっくりいきません。
しかも、音程とかバランスとかの問題ではありません。
「いまいちサウンドせんよねぇ、うーん…、ちょっと2番と3番(4パートでした)、入れ替わってみて」
で、合わせてみたら…
「こっちのほうがいい!」と、全員の意見が一致したのでした。
さて、なぜ、2番と3番を入れ替えたと思いますか。
音
3番を吹いていた子よりも2番を吹いていた子の方が、音が太く、ややダークだったからです。
もちろん、いいとか悪いとかではなく、ね。
セクションをつくるとき、下へ行くほど太くダークでまろやかな音。上は明るい音。
これ、うまくサウンドするための条件なのです。
以前、めっちゃ音の太い上吹きの下で2番を吹いていたことがあるのですが、
もう、マウスピース変えたり悩みましたよ。
「福見さん、もっと太い音で吹かないとダメですよ」…
いや、言われなくても重々わかってるんやけどね…
上吹きより太い、包容力のある音で吹く、
これ、下吹きの絶対条件なのですね。簡単なことではないですが…
たとえばオーディション、2番の募集だったら…
どんなにうまくて完璧でも、上吹き向きの音だったら絶対に受かりません。
上吹き
さて、上吹きに向いている人ってどんな人でしょう…
社交的な人、でしょうかね。
決して、自分の世界に入り込んでしまうようではいけません。
いろいろな楽器と連携を取ったり、(言葉や音で)コミニュケーションしたり、
そして、トロンボーンセクションがどうしたらいいのか、どうすべきなのか、
それをはっきりと示せる人。
セクションが迷うことなく演奏できるように、はっきりとした道をつくれる人。
そういう意味で、最初に書いた先生はほんとうに、天性の上吹き、なのかもしれません。
下吹き
では、下吹き向きの人ってどんな人でしょう…
感じ取れる人、かもしれませんね。
1番がどうしようとしているのか、どうしたいのか、もっと深いところまで感じ取って、
一糸乱れずつけれる人。
それももちろん、あとからついていくようではダメで、意思を持って同体になれる人。
こまかいところまで神経が行き届いて、
たとえば隣の人が休みを間違えて数えているなんてことにも気づく。
いや、マジで。
それくらい、神経こまやかな人。
どちらを
上吹きと下吹き、ぼくは…、どっちが向いているんでしょう…
こらそこ、「どっちもダメじゃん」とか言わない!
みなさんはどちらを吹きたいですか。
どちらに向いていると思いますか。