機械や道具が発達して、コンピューターやネットが発達して、簡単に、というか安直に、いろいろなものが手に入るようになった現代。でも、それによって人間は退化してきたとは思われませんか。それは音楽の世界でも。
こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。
漢字が書けない
パソコンやスマホが発達して漢字を書けなくなった
ナビが発達して地図を読めなくなった
ネットが発達して辞書の引き方を忘れた
そういうところって、ないですか。
「こんな漢字も書けない…!」って愕然とした経験、みなさんはないですか。
ぼくはありますよ。
ここまでに出てきた漢字、全部書けるかな…
少なくとも『愕然』は、きっと書けない…
最後に紙の地図を開いたのって、いつですか。
その地図をたよりに、知らない街まで行けますか。
家に国語辞典ありますか。
えっ、要らない?
それ、もしかしたらやっぱり退化の始まりかもしれませんよ…
今、小学生にもひとりひとつずつタブレット持たせるっていうじゃないですか。
絶対やめたほうがいいと思うのですがね。
これ以上字を書けない、辞書を引けない日本人を増やして、一体どうするのでしょうか!?
音楽の世界でも
そして音楽の世界でも…
チューナーが発達して響きを聞くことをしなくなった
音源が発達して楽譜を読むことをしなくなった
ネットに溢れている演奏をあてにして自分たちで音楽を組み立てることをしなくなった
これって真剣に、やばいと思うのですよ。
チューナーを使わずに音、合わせられますか。
音源をあてにしないでイチから楽譜読めますか。
楽譜を読み込んで音楽を組み立てること出来ますか。
やれば出来る?
そう思っていても、やらなければやり方を忘れますよ。
安直にYouTubeなどのネット音源に頼ること、ぼくも少なくないです。
ふと、これでいいのだろうかと思うのですよね…
やっぱり退化
参考音源に頼ってばかりいると、楽譜を『読める』ようにはなりません。
響きを聞けずともチューナーでぴったりになれば問題ないと思っている、そこのあなた、
人間の耳が音を調和させる精度と、チューナーの針の精度って、桁が違うと思うのですよ。
チューナーを見ながら、ぴったりになるように伸ばした音を録音して、
もういちど同じことをやった音と重ねたら、ぴったり合って聞こえる?
では、普通に吹いて録音した音を聴いて、それに合わせてユニゾンを吹いたら…
どっちが、より『合って』聞こえるのでしょう…
ましてや、なまの音同士でお互いに聞き合わせたら…
もうね、チューナーなんかで計れる精度を超えていると思うのですよ。桁が違う。
使わなければ
人間が持っている能力は、やっぱり使って鍛えてあげなければいけないと思うのですよね。
たしかに、「それだけ合ってなくて、よく吹いていられるな!」という人はいます。
でも、チューナーにばかり頼って『聞いて合わせる』ということをしなかったら…
永遠にそのままですよね。永遠に合わない…
音源に頼って楽譜をイチから読もうとしなかったら…
やっぱり永遠に、読めるようにはならない。
楽譜を読めるようになると、いいことがたくさんあるのに…
筋肉でもそうでしょう。使ってやることで発達するのです。
『人間をダメにするソファー』なんてものがありましたが、
世の中には、実際に人間をダメにするアイテムがたくさんあるように思うのです。
どうしたらいいの
では、そんな現代で人間が本来の能力?を取り戻すために、どうしたらいいのでしょう。
以前、4月に1週間ほどネット断ちをしたことがありました。
出かけるときにもスマホを持たない…
ネットもメールもすべてを断つのは現実的ではないかもしれません…
電話は、いいことにしましょうか。
もし可能であれば、やってみるのもいいのでは?
そして吹奏楽部でも、チューナー禁止期間をつくってみるのもいいのではないでしょうか。
音が合わなくなる?
むしろ、かえって合うようになるかもしれませんよ。
少なくとも長期的には、きっとプラスになるでしょう。
そして、音源禁止、YouTube禁止にするのです。
期間を決めてやってもいい。
譜読みに時間がかかるでしょうけど、『楽譜を読む』ということには取り組んだ方がいい。
人間は、能力を取り戻した方がいいと思うのです。自戒も込めて。
さて、あなたは退化していませんか。