町田市では、新たなごみ処理施設を2017年の着工から5年間かけて建設しており、ついに2022年1月から稼働開始となります。

 

この新たなごみ処理施設は、生ゴミからバイオガスを抽出し、エネルギーとして再利用する処理施設であり、全国的にも珍しく、稼働が開始されれば東日本唯一の最先端処理施設として全国の関係者の耳目を集めると確信しています。

 

町田市議会で、この新たな「町田市バイオエネルギーセンター」の効果について質問し、高効率に発電された電力の使い道についても提言させていただきました。

以下、議会でのやり取りです。

 

 

 

 

2021.12一般質問 新たなごみ処理施設(町田市バイオエネルギーセンター)について

 

 

【壇上 厳太郎】

項目番号2、新たなごみ処理施設(町田市バイオエネルギーセンター)について。

10月に野田環境資源部長ご案内のもと新たなごみ処理施設(町田市バイオエネルギーセンター)を視察させていただき、来年1月から本格稼働に入るとのことでした。

 

これまでの施設は稼働開始から39年を経過し、当時は珍しかったリサイクルという概念を文化にすべく、「リサイクル文化センター」の名称でこれまで市民に親しまれてきた清掃工場を建替え、新しい施設になるということで、町田市バイオエネルギーセンターについて大いに期待をしているところです。

 

私は、この新たなごみ処理施設がまだ検討段階であった9年前、国内のわずかいくつかの先進事例を視察し、平成24年の9月議会・12月議会と2回にわたり一般質問させていただき、生ゴミからエネルギーを生み出し、市民生活の向上に努める本事業は実現されれば大変素晴らしい未来だろうと思ってきました。

 

9年前ですと「バイオガス」との言葉の響きだけで何か恐ろしい人体に有害で危険な物と多くの方々が思われていましたが、今では馴染みのある言葉となりました。

 

生ゴミからバイオガスを抽出し、エネルギーとして再利用する処理施設は全国的にも珍しく、稼働が開始されれば東日本唯一の最先端処理施設として全国の関係者の耳目を集めると確信しています。

 

 まず、現在の工事の進捗状況を教えてください。

 

そして、新しい町田市バイオエネルギーセンターについて、施設整備におけるコンセプトや施設の代表的な特徴と、この施設が完成することによりもたらされる効果についてを伺います。

 

施設では集められたごみをバイオガス化することや焼却をすることにより、積極的に発電を行うとのことですが、発電した電力について、施設内で消費する電力の余った部分、いわゆる余剰電力について、どのように売電が行われるのかを伺います。

 

また、近隣市を見てもこれだけの大きな公共事業を行っている自治体は少ないのではないかと思っており、非常に大きな整備事業であると受け止めています。多くの費用が必要な事業であると思いますが、どのような補助金等を活用しているのかを教えて下さい。

 

あわせて、町田市バイオエネルギーセンターの周辺地区についても、健康増進温浴施設整備をはじめ、様々な取り組みが行われていると聞いています。これらの整備状況について確認させてください。

 

そこで、(1)「町田市バイオエネルギーセンターの特徴、完成による効果はどうか」について伺います。

 

 

 

【答弁~市長~】

項目2の「新たなごみ処理施設(町田市バイオエネルギーセンター)について」の(1)「町田市バイオエネルギーセンターの特徴、完成による効果はどうか」について、お答えいたします。

 

2017年より着工した熱回収整備事業は、これまで5年に及ぶ長い期間の工事となっておりますが、順調に進捗しております。

新工場棟・新管理棟は、ほぼ完成しており、現在はプラント設備の最終的な試運転、性能試験を進めているところです。

 

町田市バイオエネルギーセンターの整備のコンセプトは、生活環境に配慮した施設、災害に強い施設、市民がともに学び・遊び・育むことのできる施設を掲げ、事業を推進してまいりました。

より環境に優しく、将来にわたる安心安全な施設運営を基本としており、地域に開かれた施設を備え、災害発生時の防災拠点としての機能も果たしてまいります。

 

町田市バイオエネルギーセンターの特徴といたしましては、主に、事業実施にあたってDBO(デザイン・ビルド・オペレーション)方式による契約を行ったこと、最新の施設機能を有していること、地域に開かれた貸出施設を備えていること、災害発生時に防災拠点としての機能を持つことなどが、本施設の大きな特徴です。

 

DBO(デザイン・ビルド・オペレーション)方式による契約につきましては、施設の設計、建設から運営管理までを一括して事業者に実施していただくもので、今後約20年間の運営管理を含め株式会社タクマと契約をしているものです。

 

施設機能としましては、ごみ焼却施設、不燃粗大ごみ破砕処理施設の他、生ごみなどからメタンガスを発生させるバイオガス化施設で構成されており、従来と同様のごみ焼却熱による蒸気発電に加え、バイオガスによるガスエンジン発電も併せて行うことで、ごみから高効率でエネルギーを回収することができる施設です。

 

バイオガス化施設と焼却施設を一体的に整備した施設は、東日本では初めて稼働することになります。

 

貸出施設につきましては、新たに市民貸し出し用の会議室を整備いたしました。

この会議室の貸出し開始は2022年4月からとなりますが、「まちだ施設案内予約システム」から予約をすることができます。

通常の会議を行えるたけでなく、ミニキッチンを備えた会議室や和室も貸し出し施設として備えております。

 

市民の皆さんにはこの会議室を有効に利用いただきまして、町内会・自治会活動をはじめとする地域の活動が、より活発になることを期待しております。

 

防災面での機能といたしましては、災害時等に電力会社からの電力供給が途絶えた場合においても、施設内で電気を発電することが出来ますので、施設機能の維持が可能であり、防災拠点として活用することができます。

 

また、災害時に活用できる施設機能としまして、防災倉庫やマンホールトイレ、炊き出し用に利用できる、かまどベンチを設けております。

更に、施設内にある会議室等を、避難スペースとして使用することが可能となっております。

 

町田市バイオエネルギーセンターの完成による効果といたしまして、施設の排ガスは国の規制値を大きく下回る自主規制値を設定し、周辺環境に配慮した、よりクリーンな施設となっていること、また、先ほど述べました防災拠点としての機能を充実させることにより、市民の皆様にとって災害時にも安心をお届けできる施設となっていることなどがございます。

 

更に、新しい施設での電力の発電につきましては、バイオガス化施設によるガス発電とごみの焼却熱を利用した蒸気発電を合わせると、一日あたり8万4千キロワットアワーの電力を作り出すことができます。

 

これは一般家庭の消費電力に換算すると、約8千4百世帯分に相当するものです。

今までの施設と比較しますと、ごみ1トンあたりの発電量は、約1.7倍と高効率になっております。

 

バイオガス化施設で発電された電気については、再生可能エネルギーの固定価格買取制度、いわゆる「FIT(フィット)制度」を利用することができ、一般に電気を売る場合に比べ、より高い単価で電気を売電することができます。

これにより、現段階での想定ではありますが、バイオガス発電と蒸気発電を合わせ、年間約2.7億円の売電金額を見込んでおります。

 

本施設の整備事業につきましては、今後実施する旧清掃工場の解体や緑地保全を伴う外構工事等を含め、総事業費約310億円もの費用を要する一大事業でございますが、国や東京都に積極的に働きかけを行ったことにより、約107億円にも及ぶ循環型社会形成推進交付金の交付を得ることができる見込みとなっています。

 

売電による収入と国からの交付金と合わせて、市の負担軽減に繋がっているところです。

 

また、町田市バイオエネルギーセンターの整備を契機とし、その周辺においても地域の魅力を高める様々な取組を行っております。

 

2022年4月にオープン予定である「健康増進温浴施設」を始め、最終処分場の上部を活用する「忠生スポーツ公園」や「蓮田緑地」の整備等を進めることにより、賑わいを生み出し、魅力のある街とすることで、この地域は益々発展をしてまいります。

 

 

 

 

【再質問1 厳太郎】

新たに建設された町田市バイオエネルギーセンターは、周辺環境に配慮した、よりクリーンな施設で、災害発生時に防災拠点としての機能を有し、その発電量は、一般家庭の約8千4百世帯分に相当し、年間約2.7億円の売電金額をとなることが解りました。

 

また、総事業費は国に積極的に働きかけたことによりの3分の1は国費によって賄われたことが解りました。

 

以前は生ごみから抽出したバイオガスをゴミ収集車やコミュニティバスの燃料としての活用や、貯蔵して災害時のエネルギーとしての活用、プロパン化し販売することも検討されてきたと思うのですが、全て発電にあてていき売電していくという方針は諸経費を勘案した結果と、クリーンエネルギー価格である売電価格が高値であることによるものだと思いますが、合っていますか?

 

また、バイオガス化施設による発電に加え、ごみ焼却熱を利用した蒸気発電も併せて行うことで、ごみから効率よく発電するとのことでした。

ここで発電する電力は、CO2排出係数としてはどのようなレベルのものとなるのか。

 

また、余剰となる電力は実際にどのようなスキームで売電するのか、そして、この余剰電力を市内の公共施設などで使うことができるのかを教えてください。

 

 

【再答弁1】

まず、バイオガス化施設で発生するバイオガスの燃料としての活用方法についてでございますが、2013年に策定いたしました「資源循環型施設整備基本計画」で、バイオガスエネルギーの利活用方法を、今後の検討課題といたしました。

 

検討にあたり、施設の安全性と災害発生時に防災拠点としての機能を果たすこと優先事項とし、バイオガスの活用について、「発電機により電力で活用する」、「自動車燃料として活用する」、「都市ガスとして活用する」、3つのケースで検討をいたしました。

 

議員からのご指摘の通り、自動車の燃料と都市ガスとしての活用には、ガス精製施設や供給施設の整備を伴うことから、経費が膨らみます。

 

一方で、バイオガス化施設で発電された電気については、市長からの答弁の通り、再生可能エネルギーの固定価格買取制度、いわゆる「FIT(フィット)制度」を利用することができ、1キロワットあたり39円で売却することができます。

 

これは、一般に電気を売却する場合の現在の単価と比較しまして、約3.6倍の金額で取引をすることができます。

 

また、バイオガス発電機を備えることにより、災害発生時に送電系統が遮断され停電した場合でも、施設内で電気を発電し、施設機能を維持継続することができるメリットがございます。これにより、防災拠点としての機能も確保することができます。

 

これらの理由から、町田市バイオエネルギーセンターでは、バイオガスをガス発電機により電力に変換し、活用する方式を採用しております。

 

ごみ焼却による発電のCO2排出係数につきましては、一般的には、石油等の化石燃料を使用する発電に比べた場合、1/3~1/2程度のCO2排出係数レベルとなり、一般的な発電方法に比べクリーンな電力であるということが言えます。

 

電力の売電スキームにつきましては、

施設で発生した余剰電力は、すべて施設運営を行う特別目的会社(SPC=町田ハイトラスト)と連携する電力事業者を通じて、売電を行います。

 

公共施設等がこの電力事業者と電力の受給契約を結ぶことで、市内のごみから発電したクリーンな電力を市内で消費するという、電力の地産地消を実現できる仕組みとなっております

 

 

 

【再質問2 厳太郎】

市内から出た生ごみからバイオガスを抽出し、発電した電気を市内の他の公共施設が使用できる事は、まさに「地域循環型社会の構築」に寄与する事業だと思います。

 

町田市バイオエネルギーセンターで発電する電気は24時間変わらず発電され続けるようですので、町田市で一番電気代がかかり、比較的安い夜間電力を中心に稼働している下水処理施設などでの活用を考えれば、更なる経済効果を生むだけではなく、災害時のライフラインである下水処理施設の安定稼働となると思いますがいかがでしょうか?

 

また、町田市バイオエネルギーセンターの整備事業にあたっては、地域の方々と協働で施設整備を進めてきたと伺っています。

どのような形で地域の方の意見を集め、計画に反映されているのか。

また、今後は施設の運営に入っていくことになりますが、今後の地域の方々との関わりはどのようになるのか教えて下さい。

 

 

【再答弁2】

まず、余剰電力の供給先についてでございますが、

先ほどの答弁の通り、町田市バイオエネルギーセンターからの余剰電力は、公共施設との受給契約を目指しているところでございます。

 

地産地消の受給契約を成立させる上においても、温室効果ガス排出量の削減と財政面など考慮し、検討いたしたいと考えております。

 

町田市バイオエネルギーセンターは24時間稼働しておりますので、発電する量も昼夜を通して、ある程度一定の発電量が見込めます。この発電の特性に合う公共施設に電力供給を検討することも、活用を図る上で必要な要素でございます。

 

議員からご提案の下水処理施設につきましては、非常に有効な供給先の一つと考えているところです。

 

次に、地域の方々との関わり方についてでございますが、

公共施設町田市バイオエネルギーセンターの整備工事については、周辺地域の方のご理解とご協力の下、ここまで進めることができました。

地域の方々のご意見については、近隣の15町内会の代表者からなる、「町田リサイクル文化センター周辺地区連絡会」を組織し、これまで27回開催してご意見を伺ってまいりました。

この周辺地区連絡会では、新しい施設の外観デザインについてご意見を伺った他、国の基準より厳しい排ガス自主規制値を協議により設定するなどを、行いました。

この排ガス自主規制値などを盛り込んだ、「町田市バイオエネルギーセンター環境保全協定」を2019年3月に町田市と近隣15町内会で締結をいたしました。

 

今後は、施設の運営段階に入っていきますので、組織を「町田市バイオエネルギーセンター運営協議会」と改め、引続き町田市と近隣15町内会で情報共有を図り、理解をいただきながら施設運営を行ってまいります。

 

 

 

【まとめ 厳太郎】

 ご答弁ありがとうございました。町田市バイオエネルギーセンターが立派に完成し、稼働を開始するとのことでした。

 

これまで、検討当初から長年尽力されてきた田後元施設建設担当部長をはじめ多くの関係者の皆様も感慨ひとしおのことと思います。

 

特に、

・バイオガス化施設と焼却施設を一体的に整備した施設は、東日本では初めて稼働するということ

 

・排ガスがよりクリーンになり環境にも優しくなること

 

・市民が利用できる貸出施設があること

 

・災害時の防災拠点としての施設であること

 

・ごみによる電力の発電も、より効率的になり、地産地消の仕組みも検討していること等が、特徴的であると感じたところです。

 

施設運営を行う特別目的会社(SPC)では町田市民を「一定程度以上雇用する事」も条件に契約されているとお聞きしています。

 

市民が捨てたゴミからエネルギーを抽出、発電し、電気として他の市内公共施設でも利用しつつ、売電し、更には、市内の雇用を生み出す本事業はまさしく「地域循環型社会の構築」にもあたいする事業だと思います。

 

施設稼働に向け、大いに期待しております。

 

ありがとうございました。