2025年01月25日

『まいまいつぶろ 御庭番耳目抄』(村木嵐・著)

パリッシュ0125。 時代小説の本を選んでいて、表紙の“御庭番”の文字が目立ち、隠密の妖しい話を楽しみに『まいまいつぶろ 御庭番耳目抄』(幻冬舎・刊)を読みました。
 面白く読みましたが、この記事を書くときに、本書が『まいまいつぶろ』シリーズの2作目で、スピンオフ作品となっていることを知りました。
「二間先の音まで聞こえるが、上様の言葉だけ聞き取れない。
 せめて、お心は解したい--。」
 青名半四郎。又の名を、万里。
 徳川吉宗・家重の将軍二代に仕えた御庭番は、江戸城の深奥で、何を見、何を聞いたのか?
 隠密秘話に胸熱くなる、『まいまいつぶろ』完結編。

 麻痺を抱え、廃嫡も噂されていた九代将軍・徳川家重と、彼の言葉を唯一聞き取ることができた側近の忠光。二人の固い絆を描き、日本中を感涙の渦に巻き込んだ『まいまいつぶろ』から一年。
 徳川吉宗の母・浄円院の口から出た孫・家重廃嫡の真意とは。
 老中首座を追われた松平乗邑が向かった先は。
 家治が父・家重の言葉を聞き取れなくなった理由。
 折り紙一枚も受け取るなと厳命された忠光の妻・志乃の胸の内。
 そして、全てを見てきた隠密、万里が最後に会いに行った人物とは……。
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 本書を手にしたときには気づかなかった、題名にある「まいまいつぶろ」は、蝸牛(かたつむり)のことでした。
 次の将軍を継ぐべき長福丸には、半身に麻痺がある。たいそうな難産だったそうで、そのときの障りで口は動かすことができず、手は震えて筆も握れぬという。
 そのため長福丸は己の考えを伝えることも、侍女に指図することもできない。
(略)
 第9代将軍となる徳川家重(幼名・長福丸)が呼ばれた陰口(?)でした。

 “御庭番”は、第8代将軍の徳川吉宗が設けた幕府の役職で、将軍から直接の命令を受けて秘密裡に諜報活動を行いました。
 本書は、徳川家重と通詞の大岡忠光に関わる人々、出来事について、御庭番の「万里」(青名半四郎)が耳にしたこと(聞いたこと)、目にしたこと(見たこと)の5つの物語です。

 前作や史実を承知しませんが、どの物語も読み切りとして楽しめますし、連作としてわくわくして読めました。
 前作を読んでいれば、スピンオフ作品として、新たな楽しみがあったものと思います。

 徳川吉宗、徳川家重、徳川家治、大岡忠光、浄円院、松平乗邑、田沼意次…
 家重の生きた時代、江戸の政を味わってみませんか。
 お薦めの時代小説です。

   目次

将軍の母
背信の士
次の将軍
寵臣の妻
勝手隠密



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Posted by ガク爺 at 17:00│Comments(0)読書
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