今回はRanking Joeのアルバム

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「Natty Superstar」です。

Ranking Joe(本名:Joseph Jackson)は
70年代から活躍するレゲエのディー
ジェイです。

70年代後半のルーツ・レゲエの時代から
80年代にかけて活躍したディージェイ
で、78年のChannel Oneからリリース
したThe Revolutionariesをバックにした
ルーズなトースティングが魅力のアルバム
「Weakheart Fadeaway」をはじめとして、
素晴らしアルバムを数多く残しています。

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Ranking Joe - Weakheart Fadeaway (1978)

ネットのDiscogsによると、共演盤を含め
て20枚ぐらいのアルバムと、190枚
ぐらいのシングル盤を残しています。

Ranking Joe (ランキン・ジョー)

今回のアルバムは1980年にUSの
Joe Gibbs Musicからリリースされた彼の
ソロ・アルバムです。

プロデュースはErrol Thompsonで、
バックはJoe Gibbsのハウス・バンドの
The Professionalsが務めたアルバムで、
この時代らしいスローなワン・ドロップの
リズムに乗せた、「Far East」や
「Tribal War」、「College Rock」などの
ヒット曲のリディムを巧みに使った演奏
に、Ranking Joeのナイスなトース
ティングが冴える好内容のアルバムと
なっています。

手に入れたのはJoe Gibbs Musicから
リリースされたLPの中古盤でした。

Side 1が5曲、Side 2が4曲の全9曲。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Musicians: Lloyd Parks, Sly Dunbar, Willie Lindo, Bo Pe,
Franklyn Waul, Winston Wright, Nambo, Dean, Chico, Madden,
Bobby Ellis, Tommy McCook, C. Brooks

Produced by: Errol Thompson, for Joe Gibbs Productions.
Recorded at Joe Gibbs Recording Plant, Kingston, Jamaica.
Engineer: Errol Thompson
Arranged by: Vin Gordon and Errol Thompson.
Art: Steve Radzi

Manufactured and Produced by: Joe Gibbs Music Corp., Miami, Florida

となっています。

ミュージシャンはおそらくベースに
Lloyd Parks、おそらくドラムにSly Dunbar、
おそらくギターにWillie LindoとWinston
'Bo Pe' Bowen、おそらくキーボードに
Franklyn 'Bubbler' WaulとWinston Wright、
おそらくトランペットにRonald 'Nambo'
Robinson、おそらくサックスにDean Fraser、
おそらくトランペットにJunior 'Chico'
ChinとDavid Madden、Bobby Ellis、
おそらくテナー・サックスにTommy McCook、
おそらくサックスにCedric 'Im' Brooksと
いう布陣です。

プロデュースはJoe Gibbs Productionsの
Errol Thompsonで、録音はジャマイカの
キングストンにあるJoe Gibbs Recording
Plantで行われ、エンジニアは
Errol Thompsonで、アレンジはVin Gordon
とErrol Thompsonが担当しています。

アルバム・ジャケットのアート・デザイン
はSteve Radziとなっています。
このSteve Radziという人ですが、ネット
のDiscogsを調べてみると、おもに
Joe Gibbsからリリースされたアルバムの
デザインを多く手掛けている人のようで、
Lui Lepkiの81年のアルバム「Late
Night Movie」や、Welton Irieの80年
のアルバム「It Feels So Good」の
ジャケット・デザインなどを手掛けていま
す。
(いずれもJoe Gibbs Musicレーベルから
リリースされたアルバムです。)

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Lui Lepki ‎– Late Night Movie (1981)

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Welton Irie – It Feels So Good (1980)

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裏ジャケ

さて今回のアルバムですが、Ranking Joe
らしい明るく陽気なトースティングが楽し
いアルバムで、内容はなかなか悪くありま
せん。

このRanking Joe70年代中頃から80年
代前半のアーリー・ダンスホール・レゲエ
の時代にとても活躍した人で、その
エネルギッシュでエンターテインメント性
のあるトースティングはとても魅力的
です。
すごく手慣れた感じのトースティングだ
なぁと思っていたんですが、ネットの
レゲエレコード・コムの彼のページを見る
と、「彼の父親が小さなサウンドシステム
を運営していた」んだとか。
生粋のサウンドシステム育ちで、若い頃
から聴衆の心を掴む感性が根付いていたん
ですね。

ちなみにこの80年にRanking Joeは4枚
のソロ・アルバムをリリースしていて、
これは彼の履歴の中でも最多のソロを
リリースした年で、彼の人気に火が付いた
絶好調の年だったんですね。

そんな彼が今回手を組んだのはJoe Gibbs
レーベルのErrol Thompsonで、当時絶好調
だったRanking Joeと、音楽愛の溢れる
楽曲作りに定評のあるErrol Thompsonの
組み合わせはとても興味を惹かれます。
「Far East」や「College Rock」、
「Tribal War」、「Bobby Babylon」など
のヒット・リディムを巧みに使い、この
時代に流行したスローなワン・ドロップの
演奏に乗せた、ちょっと早口で巻き舌も
入ったRanking Joeのトースティングは
聴かせどころ満載でとても魅力的です。

あえて言えばあまりにスキが無いのが、
逆に欠点といえるかもしれません。

Side 1の1曲目は「Pork In The Corner」
です。
リディムはBarry Brownのヒット曲
「Far East」です。
明るいキーボードと重いベースを中心と
したメロディに、Ranking Joeらしいラフ
でくだけたトースティングがイイ感じ。

Ranking Joe - Pork In The Corner (1980)


リズム特集 Far East/Jah Sharkey (ファー・イースト/ジャー・シャーキー)

2曲目は「Sister Pam」です。
リディムはBig Willeのヒット曲
「College Rock」として知られる
リディムで、オリジナルはJackie Mittoo
の「Freak Out」です。
明るいホーン・セクションとギター、キー
ボードを中心としたメロディに、流れる
ように滑らかなRanking Joeの明るい
トースティングがイイ感じ。

Ranking Joe - Sister Pam


リズム特集 Ballistic Affair/College Rock (バリスティック・アフェア/カレッジ・ロック)

3曲目は「Jump The Fence」です。
リディムはThe Heptonesの「Love Won't
Come Easy」。
刻むようなギターとキーボードのメロディ
に、ピュンピュンとしたトビ音の
エフェクト、ノビノビと歌うRanking Joe
の明るいトースティング。

Ranking Joe - Jump The Fence


4曲目は「Rock It On」です。
華やかなギターのオープニングから、
ギターと重いベースを中心としたメロディ
に、ノリノリのRanking Joe の陽気な
トースティングがイイ感じ。

Ranking Joe - Rock It On


5曲目は「Something On My Mind」です。
リディムはHorace Andyの同名曲
「Something On My Mind」です。
浮遊感のあるキーボードと刻むような
ギター、重いベースを中心としたメロディ
に、流れるようなRanking Joeの饒舌な
トースティング。

Ranking Joe - Something On My Mind (1980)


Side 2の1曲目は表題曲の「Natty
Superstar」です。
リディムはLittle Royの有名曲
「Tribal War 」です。
ピュンピュンとしたトビ音、刻むような
ギターと重いベースを中心としたメロディ
に、ガシっとしたスローなワン・ドロップ
のドラミング、ユッタリと語るような
Ranking Joeの味のあるトースティング。

Ranking Joe - Natty Superstar (1980)


2曲目は「Physical Fitness」です。
ホーンとキーボードを中心としたダブ
ワイズの入ったメロディに、トビ音、
Ranking Joeのナイスなトースティング。

Ranking Joe - Physical Fitness


3曲目は「See A Girls Face」です。
リディムはThe Paragonsの「Left With
A Broken Heart」。
ドラマチックなオープニングから、刻む
ようなギター、漂うようなキーボード、
重いベースのメロディに、早口で溢れ出す
ようなRanking Joeのトースティングが
イイ感じ。

Ranking Joe - See a Girls Face


4曲目は「Arleen」です。
リディムはFreddie McGregorのヒット曲
「Bobby Babylon」です。
キーボードの明るいメロディに、畳み掛け
るようなRanking Joeの明るいトース
ティング。

Ranking Joe - Leave Fi Mi Girl Arlene


リズム特集 Bobby Babylon/Hi Fashion (ボビー・バビロン/ハイファッション)

ざっと追いかけて来ましたが、Ranking Joe
の職人芸ともいえる味わいのあるトース
ティングがとても魅力的で、この時代の
彼の好調さがとてもよく出たアルバムだと
思います。
ある意味強烈なインパクトというよりは、
聴けば聴くほど味わいの滲み出て来る好盤
という印象です。

機会があればぜひ聴いてみてください。


Ranking Joe - Weak Heart Fadeaway


Ranking Joe @ Reggae Jam 8/6/2011


○アーティスト: Ranking Joe
○アルバム: Natty Superstar
○レーベル: Joe Gibbs Music
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1980

○Ranking Joe「Natty Superstar」曲目
Side 1
1. Pork In The Corner
2. Sister Pam
3. Jump The Fence
4. Rock It On
5. Something On My Mind
Side 2
1. Natty Superstar
2. Physical Fitness
3. See A Girls Face
4. Arleen

●今までアップしたRanking Joe関連の記事
〇Ranking Joe With Black Uhuru, Dennis Brown「Zion High」
〇Ranking Joe「Dub It In A Dance」
〇Ranking Joe「Weakheart Fadeaway」
〇Various「Can't Stop The Dread」
〇Various「Different Fashion: The High Note Dancehall Collection」