はじめに
本ブログの目的は、ただしく「国家」の有り様、「日本のナショナリズムは稀なもの」であることを皆が理解することで、ただしい「国家観」を共有すること。
そして「国家」における「国防」が重要であることを明白にすることを目指します。

これを何回かに分けてブログで書いていこうという試みです。
前回は、「聖的なる領土」について歴史の中で形成された裏付けられた定義を、体系的に頭出しをしました。そして今話題になっている政治と宗教の問題について、多くの人たちが誤解しているだろう問題、そして政教分離がなぜ重要なのか、本来の民族的精神からくる聖的な信仰が、本来のあるべき神話であり宗教でなければならず、それらが自発的な源泉によるプラグマティズム、つまり「道」であることを解説しました。

今回は、「国家形成の理論」という根本の理論があることを紹介し、「軍事組織と国家組織」についてどういう構成要素になっているかというのを簡潔にまとめたものです。

この回では、すべてがグローバリズムが善という視点で捉えられている間違った考え方を、思いっきり覆して真実を見ようとする試みでもあります。これはMMT現代貨幣理論でもいえることですね。
専門的な文言が多くなっていますが、過去のシリーズを読み返してもらえると理解できる内容となっています。









前置きとして
国際情勢などを分析する際に多く使われる論法としては、
  • 人間の本性に求める「第一イメージ」論
  • 国内的な政治経済的要因に求める「第二イメージ」論
  • 国際協調や国家間の権力配分などで見ようとする「第三イメージ」論
というものが使われました。

いずれが正しいかといえば、人間がそう感じたとか、リベラルな個人主義の観点で物事を捉えるというよりは、国家間ですからやはり政治経済的要因が先行されます。

わかりやすくいえばあの国とは歴史上仲が悪いとか目の上のたんこぶだからという嫌いという理由で戦うなんて言うのは起こり得ません。

ましてや国際協調を守って自由貿易で大国に依存して国力を衰退させた国もあります。
これらを見誤った結果です。

緊縮を続けて国家を後進国化しているどこかの国を見ても分かる通り、政治的帰結で起こりうる国力の差から生じる要因は大きいです。経済も軍事力も強い国には逆らうことができなくなってしまいます。
イギリスという国土面積の小さい国が世界の覇権を握ったことからも、領土の面積の問題ではなく、いかに内需ビルドアップにより富国と強兵をしていったのかが重要です。

売れるものだけを売ればいいという自由貿易では、コストの低い国に合わせなくてはならず、ほとんどの産業が衰退し、輸入依存度により経済が低迷し、雇用の面において民が死に追いやられてしまいます。

外国との産業競争力というのをビジネスの肝のようにいう頭の悪い人がいますが、実態は、粗悪な資材でものを作り、安い賃金で人を働かせることに帰結するのを洞察できない人間の詭弁です。
実際に歴史を遡れば、産業革命後イギリスが衰退したのは、独占市場を牛耳った富裕層だけが富を得るように喧伝され、多くの国民が騙され、政治とカネの不正により、国策を自由貿易に特化したことが理由です。

今の日本の衰退した現状で学べるかと思います。同じ過ちを繰り返してしまったわけです。

そして、ここで説明する世界のパワーバランスを分析する「逆第二イメージ」論により「本質」を見ていくことが重要だということが明らかになったというお話です。



国家形成の理論
  • 国際政治学者のピーター・グルヴィッチ(ゴルヴィッチと記載される場合もある)のいう「逆第二イメージ」とは、「国際関係の圧力が国家を規定する」視点であり、 それは「国家が国際関係を決定する」という従来イメージをコペルニクス的に転回するものであった。ちなみにコペルニクス的転回とは天動説以外は考えてはダメだという間違った教義に対して、地動説を唱えたこと。つまり事実を持ってして正すことの意味である。
  • 近代国家の形成過程の解明は1970年代に歴史社会学分野で進展があった。 そして社会学の研究者たちに共通する視点は「逆第二イメージ」の視点であった。
  • 歴史を振り返れば「戦争は国家が引き起こす」わけで、「国家が戦争を生み、戦争が国家を生む」また「国際関係が国家を動かし、国家が国際関係を動かす」といえるわけです。
  •  世の中がきな臭くなると重宝される「地政学」とは、国際関係・国際紛争を扱う分野である。
  • 「国内の経済構造が、地政学的な国際情勢によって影響」され、その逆に「地政学的な国際情勢が、国内の経済構造によって影響」されるという 「逆第二イメージ」の視点で相互作用を解明する理論こそ「地政経済学」と呼ばれるべき理論が目指す地点である。
  • ちなみに、再評価されている、歴史家のオットー・ヒンツェの「軍事と国家組織」、経済学者の「ジョセフ・シュンペーターの「租税国家の危機」、 地理学者マッキンダーの「地理学から見た歴史の展開軸」「民主的理想と現実」は1900年初頭で同時期に刊行された。 彼らもまた「逆第二イメージ」を持ってして世の中を分析していた。


軍事組織と国家組織
まず前提として、軍事と国家の関係についてフローを整理したヒンツェの説をみていくと
  • 「あらゆる国家が元々は軍事組織、すなわち戦争のための組織であった」というのが歴史を紐解けばことの始まりであった。この軍事の意味が攻撃なのか防衛なのかはさておき、目的のための手段の話である。
  •  次に組織の枠組みの中で、農業が行われるようになり、人が土地に根付き、人口が増え、交易や技術発達していくという人類の経済生活が変化していった結果、軍事活動と非軍事活動の分業が生じ、階級は、戦士と非戦士とに分化ていった。
  •  こうした経緯により、肥大化する国家組織の中において分業により、国家組織があって分業として軍事組織に変貌していった。
みんなで集まって力を結集して戦っていくための共同体を作り、組織つまり国家という共同体の中で人々が基本的な生活をしていくために、いくつかの役割が必要となり、軍事が国家の役割の一つという位置付けになったのは必然的である。


 国家における軍事的領域と経済領域の関係
 経済自由主義のパラダイム

次に、これら第一から第三のイメージにより国際情勢の分析を間違ってきた帰結ともいうべきグローバリズムにによる国家破壊のフローを見ていく。
  •   ハバード・スペンサー曰く、「人類の進歩により軍事的領域が後退し、経済的領域が優位を占めることで、世界は平和な秩序へと向かうであろう」と言っている。
  •   リチャード・ローズクランスは指摘する、「近代世界の国家において、「軍事・政治国家」あるいは「領域国家」から「通商国家」へと転じていくだろう。 1990年代後半の半ばになると、彼らは自らの国家理論をさらに推し進め、グローバリゼーションによって領土は無意味なものとなり、国家はついに「仮想国家」となるだろう。
  •   冷戦後の世界においてアメリカはグローバリゼーションを推し進め、中国のWTO加盟を後押ししたが、 この戦略も国際通商関係の深化による平和な世界秩序をもたらすというパラダイムに基づくものであった。
ここでは経済自由主義が行き過ぎると国家破壊に陥ることを暗示している。

実際に世界はEUや日本の自由貿易参加などを含め国防をおろそかにし自由貿易による国際秩序による平和という妄想を追い求めているのは、まさに一神教の宗教によくあるユートピア思想に近いと私は思います。

一部のものが得をするように喧伝され力を増し、政治を利用して増大する、一神教のカルト的宗教と自由貿易のカルト経済学の間違いは同じなんだと学ばなければなりません。
ローマ帝国の崩壊を見ればわかるかと思います。

少し話を進めてみましょう。いまは常に政治が利用される、「経済学の間違いと一神教宗教の間違い」について我々は思考を重ねなければいけません。

パラダイムとは、(科学上の問題などについて)ある時代のものの見方・考え方を支配する認識の枠組みのこと辞書で引ける。

従って上記のフローは、「世界秩序や国際協調に寄り添うパラダイム」を外交の柱とした結果、国家破壊が進んだという結論になる。売国したら国は壊れるという洞察力がなかったと言わざるを得ない。

従って、パラダイムシフトとは「その時代の最適解といわれていたものの転換」ということになるかと思います。革命でもなんでもななく、真実に向けた方針転換です。

もうすこしこのパラダイムシフトについてみていきましょう。

昔も今も鼻っから誰かの利益のために国を蹂躙するために作られた世の中の人を洗脳するための聖書ありきの宗教ですが、当時、一神教を正当化するために絶対とされていた教義の中においてくだらなすぎる「天動説」が支持された。宗教的占いを導くために天動説が利用されていたからであり、間違いであることを露呈してしまうからです。

そして「地動説」が正しいと言えるまでに、多くの科学者はキリスト教から弾圧され殺されたわけです。ガリレオ・ガリレイという立派な天文学者が宗教裁判で弾圧されたことは有名です。
正しいことを主張しているだけなのに、一神教を正当化する教義を絶対とする宗教というのは正しい道さえも認めないということがわかるかと思います。

そして現在起こっている経済的パラダイムのMMTも貨幣理論について真実を語っているだけなのに、古典派経済学主流派経済学の宗教的思想の間違った思考を持つ人たちからは、異端扱いにされているわけです。

なぜならこの現代貨幣理論が正当化され公共政策の考え方のベースに採用されれば多くの国民を救うことになるが、時代は繰り返すわけで、誰かの都合のためにつくられた「教義教典」から外れることは力のあるものからは受け入れられないわけです。


さて、先に挙げた経済自由主義(グローバリズム)からのパラダイムによりここまで世界そして日本が没落してきた理由について理解できたかとおもいます。
ここからはメインテーマである「逆第二イメージ」、つまり地政学と経済学を合わせた地政経済学の視点で得られる軍事と国家の関係の分析です。

■ヒンツェの「逆第二イメージ」
 「経済自由主義のパラダイムへの異論」
  • 世界は未だ恒久平和の用意がないことは世界の事象が明確に示している。予見可能な未来であり、問題は、これまでの歴史と同様に残り続けるであろう。
  • 国家組織の形式と精神は、経済・社会的関係や利害対立のみ決まるのではなく、主として防衛と攻撃の必要性、つまり軍隊と戦争の組織によって決まるということ

「国家と国際関係」
  • 国家組織の形態は、国際紛争の圧力で決まる。国際関係が重要な要因である。
  • 国際関係が国家を規定する。とりわけ戦争に備えるために国家は国内構造を変えてきた。 例えば古代の部族国家・中世の封建国家・近代の国民国家は、戦争に適応するために形成されてきた。

 「近代の「軍国主義」時代」
    ◆第一期:15世紀〜17世紀
  • 貨幣経済の発達と戦争という政治的需要から、騎士に変わり傭兵を用いるようになる
  • 傭兵を用いることから軍事問題は財政問題の色彩が濃くなった
  • 軍事組織は、常に準備している国家組織としてではなく、必要な時に専門の人を発注するという国家組織ではない外側に位置付けられていた。つまり傭兵は必要な時に集めるということだったということ。

 ◆第二期:17世紀〜18世紀
  • 度重なる戦争期で大陸ヨーロッパの国家は絶対王政の形式をとり、常備軍を有する
  • 常備軍の維持が国家財政機構の主たる任務となり税収増大が必要となる
  • 国内経済の発展に関心が向けられ、貿易などで貴金属や貨幣を蓄積する「重商主義」思想が生まれた。
  • (例えばイギリスは)島国故に戦争の危険性が相対的に低かったので大規模な常備軍を必要としないので絶対主義化をしなかった。(絶対的な権力を振るう体制。独裁政治・専制主義・ファシズムなど)


    ◆第三期:フランス革命以降
  • ナショナリズムが発生した。つまりナポレオンはナショナリズムを軍事利用し愛国心に駆り立てられたマス・アーミー(国民皆兵)が編成され絶対王政下の常備軍に代わる
  • 国民は皆兵であり、兵士と市民の二つの側面を持つことになる
  • 19世紀の民主化とは軍国主義の原則である国民皆兵であり、民政に拡大、中央集権的な行政機構が整備された。これもまた軍事組織の運営の原則が応用されたもの
  • (例えば当時のイギリスは)守りやすい島国であったため、当時は防衛面から見れば戦争の危機が少なく、常備軍を持たず必要な時に調達する志願兵制度であった


   「まとめ」
  • 国際関係からの圧力・戦争が、国内の政治構造を形作る主たる要因であることを明らかにした。
  • 各国の政治構造の相違も、地政学的な環境の違いから生じると主張した。(ヨーロッパ大陸とイギリスの違い)
  •  このヒンツェの逆第二イメージによって1906年に予測した通り、8年後の第一次世界大戦では、軍事的領域と経済的領域が一体となった総力戦として行われることとなった。

ナポレオン組織



ー今回はここまでー
本内容については、中野剛志著「富国と強兵」で提唱した「地政経済学」の理論の妥当性について、歴史を巡り立証していく中で、現在我々日本国民が知る必要があるだろう要点を、私のフィルタを通して端的に抜き出したものであるため、さらに真実を知りたいすべての方が本書を購入し、その深い洞察と壮大な歴史事実の社会学の世界に親しむことをお勧めします。

一家に一冊常備しておくといいほどの素晴らしい本ですね。
おそらくは、日本が支那中共に侵略をされず続いているのであれば、この本が日本を救う一助になった啓蒙書として歴史に名を残し、語り継がれるでしょう。そうなればいいですね。
中野剛志氏はそういう思いからこの本を書いています。

富国と強兵―地政経済学序説
中野 剛志
東洋経済新報社
2016-12-09



今回は国家と戦争という構造についてその発展性について理解できたのではないでしょうか。
ようは戦争や緊張という外圧に対して国家がやらねばならないことは国防だということは、普通に考えてもわかるはずです。

強盗が来ているのに両手を上げて好きにしてくれとは言わないですよね。そのために何をするかといえば、警察の近くに住むなど治安を考えるし、防犯カメラをつける人もいるし、番犬を買う人もいるし、護身術を習う人もいるし、鍵を厳重にするでしょう。

しかし、このことを忌み嫌うおかしな人がいます。
反戦平和団体については単なる脳疾患であり、反政府主義であるため、実際の現実思考から遠ざかってしまっているわけで、これの根本解決は教育から変えていくしかありません。

そして、意図的に国防を意識させず国家という枠を取っ払い、ボーダーレス化を目指すような、いつまでも私利私欲に走りパラダイムの転換ができない頭の悪い人たちがいます。
同時に彼らは国民を殺しています。

これらが政治に結びつくと国家は国民を顧みず、富国と強兵を目指すことがなくなります。

具体的にいうと、カルト宗教団体は政治を通して勢力拡大を目指します。目的はローマ帝国を崩壊させたキリスト教と同じく国家の支配です。
あの頭の悪いトランプ大統領が「福音書」という印籠を縦に、国家をカルト宗教の「教典」に基づき構造を通うとしていたのは有名な話ですね。多くの宗教的制約を法的に矯正させようと大統領に圧力をかけ、統一教会と同じような全体主義傾向が目立ちました。

そして政治が国民よりも宗教に向くのは、大衆化が進んで選挙を宗教団体の力に頼ることで保身を図るからです。政治はこの無償の運動員の力を借りて選挙当選を確実にしようとします。

それではなぜ、自民党を筆頭に今の政治家は政治家を続けたいのかと言えば、「政治と金」です。
巨万の富を不正な献金や都合よく資金管理団体に食わせ、使途不明にしても財務省が忖度してくれればバレないという構図。

ですから国民に消費税増税を止めないのです。財務省は増税案が採用されると出世するためです。

アベノミクスでは、外国資本かを儲けさせるついでに、似非保守言論人や株乞食の賛同を得るために株価を上げる政策を続けましたが、実体経済にマイナスである「デフレなのにインフレ対策ばかりを行って世界最大の重税国」というお粗末な経済対策を続け「リフレという金融政策・量的緩和」政策で実体経済に金を回すことを止めてしまいました。

そうやって政治と連携して恩恵を受ける富裕層と呼ばれる人たちが、宗教カルト団体を否定できないのは、自民党と統一教会が結びついて自分達のメディア露出や株価上昇などをモラタされていることを理解しているからです。

もちろん支那中共は侵略という超限戦の一環として、おそらくは統一教会を利用していると思われます。ハイブリット戦というのは、なんでも使って物理的な戦争衝突の前に相手側を疲弊させる戦略ですので、今起きていることは明確なパラダイムシフトが起きているんだと思いますが、それも中国の工作活動によりマスゴミが「統一教会つぶしていいよ」という指示が出たんだと思いますね。

もちろん、自民党と統一教会の蜜月問題は絶対にあってはならない憲法違反と、詐欺行為を起こしている団体を政治利用した犯罪行為です。こんなやつらが国民のために仕事をするわけがありません。どんな力が働いていようとも、自民党という政党が消滅するまで弾圧することは、カビやウジ虫を放置することになるので、今すぐ除去するということです。徹底的にワイドショーなどでも取り上げてもらって、政治の浄化のために国民が悪政と戦わなくてはなりません。それが民主主義です。

日本を取り巻く問題については、出口は一緒なんですが、入口が多岐にわたり複雑化しています。
これは、政権与党が私利私欲のために政治をおこなっているので付け入る隙があるからなんですね。
つまり政治家がナショナリズムゼロベースだからに他なりません。

ではどうすればいいんだろうとか。
そういう場合は手っ取り早く原点回帰をすることが重要なんだと思います。

それにはまず国家とは国防とはナショナリズムとは何かを理解して、国家のために、国民としての自分の権利を守ってもらうために、くだらない思考停止の選挙いかねーとかいっているロジカル思考を持たない大衆に成り下がり、思考を止めて流されることが正義だと勘違いすることなく、国民という目線で政治を監視することが重要だとおもいます。




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中野 剛志
東洋経済新報社
2016-12-09