pHが7より高いアルカリ性の水が「アルカリイオン水」といった名前で販売され、「胃腸の働きを助ける」といった効能・効果をアピールしているが、ハーバード大学医学大学院の健康情報サービス「Harvard Health Publishing」の主任医学編集者を務めるハワード・E・ルワイン氏は「アルカリイオン水を選ぶことを支持する証拠は存在しない」と述べ、安全な水道水やボトル入り飲料水とアルカリイオン水の間に健康上の差はないと断言。また、ノースウェスト大学で栄養学を研究するサロメ・クルーガー教授も「アルカリイオン水と普通の水には、有意な差はない」と明言している。そもそも、アルカリイオン水はpH8~9のアルカリ性の水で、自然環境で採取できることもあれば電気分解によって人工的に作り出すこともできる。「pH8~9のアルカリイオン水を飲めば、体の中の水分をアルカリ性にして何らかの効果を得られるのでは?」と考えがちだが、人間の胃酸はpH1.5~3.5の強い酸性であり、アルカリイオン水は胃に到達した時点で中和されてしまうのだという。アルカリイオン水を大量に飲めば胃酸のpHを高める可能性があるが、その変化は一時的であり、すぐに胃酸はもとのpHに戻ってしまう。また、仮に大量のアルカリイオン水を飲んで血液のpHが高まったとしても、腎臓の働きによって血液のpHは正常値に戻ってしまう。こうした体の生理作用によって、「アルカリイオン水を飲むことで体がアルカリ化する」という現象は決して起こり得ないのだという。くれぐれもダマされないようにご用心!