タイトルのとおりです。5年前に記事にしたレコでしたが、
「5年かかりました~!」
ではない。このレコに出会ったのは、自分がまだ20代後半の頃。そのことは以前のブログに書いたとおり(でも書いた内容は忘れました…笑)。
”私的名盤”という言葉があるんだろうか?もしあるとすれば、このレコが私のそれに当たる。このStanley Steamer というバンド。9人編成の大所帯USバンドで、当時USあるあるのブラス・ロックバンドである。手に取るまでこんなバンド知らなかったんですが、これを上の記事にある様にたまたま試聴できる御茶ノ水(神保町)のレコ屋で購入。それ以来の愛聴盤である。
因みに海外にはこの”ブラス・ロック”という言葉がない。大抵Jazz-Rock, Jazz-Funk みたいな言葉に置き換わっている。確か同じように”スワンプ・ロック”という言葉もない。"Brass Rock", "Swamp Rock" という言葉を検索すると、出てくるのは日本語のサイトばかりです。(…違っていたらご指摘プリーズ!)
ただしこのバンド、ブラス・ロックと言ってもシカゴ、ブラッド・スウェット的なコテコテ感がしない。一曲一曲ドラマを感じさせる展開で、特にB面全てを使った " Three Humours Of Man "は、ジャズ・ロック+プログレ+クラッシック…な大曲(約18分!)。これは凄い!と当時驚いたんですが、いかんせんジャケットと盤のコンディションが悪い。ジャケットは底が抜け、天は半分くらい裂け、しかも盤はキズがチラホラ(涙)。それ以来、これを買い替えるのが私にとっての一つの使命となった。
しかし…とにかくそれ以来このレコに出会えない。そもそもこのバンドが何なのかが分からない。ガイド本はおろか、いかなる音楽雑誌にもこのレコは登場しなかった。時は流れてこのブログを書きだした頃?やっとDiscogs の存在に気付く。それまで海外から買うとしても ebay ばかりだったので、こんなサイトがあるとは知らなったんですな。
知って直ぐにこのレコのことを調べたら、やはりというかこのバンドのメンバー名以外殆ど分からない(涙)。この1枚を1973年に出したという事しか分からかったけど、その相場が10~20ドルくらいで買えることは分かった。今時海外から1枚レコを買うだけで、下手すると25~30ドルくらい送料を取られる。なのでこのレコに関しては、とにかくレコ屋巡りで買おうと決意。安レコはレコ屋巡りで見つけるのが一番です。
それ以来レコ屋に行って気を付けて見ていると、偶にではあるが、このレコと遭遇するようになった。一番安かったときで、D店で500円。高かったときで3000円近く(H店)。このレコはDiscogs によれば、一切の再発もない。当然?CDにもなっていない。なのでその値段の違いはコンディションである。500円で見つけたときは流石に、
「ウワッ!」
と小さい声が出てしまったが、やはりというか検盤してみるとジャケットは裂け、盤にもキズありのトホホ盤。持っているレコと同じやがな(涙)。H店の2800円盤にもそそられたが、もっと安く出てくるのは分かっていたのでスルー(見た目がピンピンなら買ってましたが)。
そして先月、何気なくあまり利用しないヤフオクで、"Stanley Steamer" と打ち込んでみた。すると1件ヒット!オオッ、売ってる奴がいたか!と見てみれば、大量に出品しているレコ屋さん?で値段は即決の400円!マジかよ?…D店でも似たような値段で見つけたので、嬉しい反面これがこのレコに置かれた現実なのだと悲しくもなりましたね。
よく見れば何と私の大好きプロモの白(レーベル)!
「買ってぇ~なぁ~、旦那はん!」
と誘われているようなものである。ヤフオクあるある(?)ですが、安レコなので、ロクな説明が書かれていない。ジャケットに裂けはないのか?等聞きたかったんですが、エイヤッ!で購入。送料500円余りを入れても、レコ屋で遭遇してたら買うなと。それがこれ:
Stanley Steamer - S/T ( Jolly Rogers JR - 5002 ) US PROMO LP 1973年 400円
送金して2日後に到着。ネット購入は何ともあっけない。もうこれを20年以上探していたのにだ。
どうやらこのレコ屋さんは北海道の店らしい。多分1000円位でお店で長年放置されていたのではないか?北海道民に見向きもされず、「ヤフオクで400円なら売れるっぺ!」と出品されたのか?因みに大量に出品されているこのレコ屋さんのリストには、100円レコ定番のゴダイゴ帯付きが500円で出ていた。ゴダイゴにも敗北を喫したこのレコ。即決で400円でも私が購入するまで放置されていたんだから、どこまで世間から相手にされていないか分かるでしょ?(涙)
開封して早速気になるコンディションを見れば、肝心のジャケットは裂けや底抜けはなし(フ~)。裏ジャケにはしっかり"DJ NOT FOR SALE" プロモ・ステッカーもあるし。しかも盤は…想像していたよりきれいだ!キズもないし。もちろん大好きな白(レーベル)に、"Special Disc Jockey Record NOT FOR SALE" 表記もある(ハァハァ…)。
早速聴いてみると…
(B面の大曲 " Three Humours Of Man "は、19:49~)
作品は良いんですよ、作品は。しかしその音を覆うようなこのサーフィス・ノイズは一体何なんだ⁉ 私は未だかつて、これ程ノイズの入るレコを聴いたことがない(涙)!例えるなら、全ての溝という溝に砂利が詰まっている様な音(トホホ)。嘘だろ…と焦りながら盤をシコタマ洗ってみると…幾分ノイズは減りましたが、元々持っていたキズ盤より音が酷い!…よくコレクターさん達が、
「プロモ盤はやっぱり音の鮮度が良くてさぁ~」
とか言う人がいますが、鮮度以前にコンディションだろ?こういう人達は盤が傷だらけでも、
「オリジナルは音が違うよね~」
とか言うんだろうか?(=答え:言いますね。確かに違うし…笑)
…というわけで、400円でプロモ盤を見つけてヒャッハー!状態になりましたが…もうこのレコをターンテーブルに乗せることはないでしょう。このオークションの説明文には、
『盤に少しの擦り傷がありますが普通に聴けます。 』
傷…なんてものは見当たりませんでした。それよりこれを”普通に聴けます”なんてことないやろ!? と少々怒りを禁じえませんでしたけど、高々400円でクレーム付けられたら、レコ屋さんも嫌になるだろうしなと。見た目は良いしね。また良コンディションのこのレコを探すのでしょうね。
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(おまけ)
プロデュースはあのカントリー界の御大・ケニー・ロジャース!
そもそもこの"Jolly Rogers" という謎レーベル、Discogsによれば19作品リリースされていて、そのうち15作品がケニー・ロジャースのアルバムだ。因みに "Jolly Roger" というのはスカル&ボーン(ガイコツ+骨)の海賊マークのことらしい。それにKenny Rogers を掛けたんでしょうか?
しかしどこをどう聴いても、このアルバムにケニー・ロジャース的なものは感じませんでした(完!)。
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