久しぶり、旅に行こうよ 14-3 | Blue in Blue fu-minのブログ〈☆嵐&大宮小説☆〉

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嵐、特に大野さんに溺れています。
「空へ、望む未来へ」は5人に演じて欲しいなと思って作った絆がテーマのストーリーです。
他に、BL、妄想、ファンタジー、色々あります(大宮メイン♡)
よろしかったらお寄りください☆

 

 

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そして夜中、さすがに腹が減って、ゴソゴソと布団を這い出した。

 

脱ぎ散らかしたネルシャツを引き寄せて、乾いたナニかが貼り付いてパリパリ突っ張ってる裸の腰に巻く。

 
いかにも事後って感じがまじ恥ずい。

空っぽの胃袋はちょっと死にそうなレベルだけど、まずこのベタベタでカピカピのカラダをなんとかしないと。

 

おいしょと立ち上がれば、膝が情けないほどにガクガクと震える。

 

くそ、思い切りヤりやがって。

 

「おれ、露天♪」

 

横にくっついてきた能天気な元凶。

 

「一緒に入ろーぜぇ」

 

ニマニマ誘うけど、空腹と倦怠感と節々の痛みMAXのオレ。

んなんで露天入って、ヨロヨロ岩場でスッ転ぶとか、そんで頭ぶつけて気を失って救急車とか…。

 

あり得る。

 

終わる。

 

色んなモンが秒で終わってしまう。

 

そんな危険を冒すわけにはいかない。

もうすぐ20周年もくるというのに。

 

「…オレ、内風呂にする」

 

 

なんとかクローゼットまで辿り着き、木箱に畳んで置いてある浴衣を手に取る。

 

「えー、なんでー?」

 

背中に貼り付くばか一名。

 

「入ろーぜぇ」

「…めんどくせーし」

 

察しろ。ばか。

 

「せっかくなのにぃ?」

「いーからとっとと行けって!」

 

誰のせいだよ。ばか。

 

後ろ手に揃いの浴衣を押し付ける。

 

「んじゃ、朝な! 絶対だかんな!」

 

口尖らして残念そうに歩いてく裸の背中に、飛び蹴り喰らわしたらさぞかしスッとするだろうな。

…多分、5ミリも飛べねぇけど。

 

痛てて、と腰を伸ばせば明るい照明の下、体に浮き上がる数えきれないほどの執着の跡。

 

そりゃもう、上から下まで…。

 

慌てて目を逸らす。

 

ほんと、あのおばかさんはオレのことが好きなんだ。

 

多分真っ赤になってる耳に、おおー、って窓の外から無邪気な声が聞える。

 

来いよー、ってまだ言ってるけど、ぜってー行かない。

どーせ、ロクでもないコト考えてるに決まってる。

 

露天でナニとか。

 

前科があるだけに容易に察しが付く。

 

ほんで、おばかなオレはあんあん悦んじゃうんだよ。

 

そっちも簡単に予測がついてしまうのがちょっと残念。

 
はぁ…

 

緩んだ顔で溜息つきつつ浴室に向かう。
 
どっちもどっち。
 
おばかがふたり。
 
 
 
 
 

ゴシゴシ体洗って、それでも落ちない花をアチコチ咲かせたままトプンとお湯に浸かる。

 

うぅ~、なんておっさんらしく唸ったりなんかして。

 

手足伸ばしてぼーっとしてたら、いつの間にか寝てしまったらしく、ブクブクそのまま昇天してしまいそうになって、ハッと慌てて現世に舞い戻る。

 

やべやべ。20周年どころか目前のクリスマスさえ迎えられないとこだった。

 

慌てて上がってろくに髪も拭かないまま部屋に戻る。

 

あ…

 

足の裏で触れる畳の感触が、サラサラ気持ちいい。

 

 

こんなんで旅に出たんだなって思う。

 

いつもカラスの行水な人がまだ戻ってない。

 

大野さんも旅気分味わってんのかな。

 

 

 

んん?

 

数時間前に素通りした時には気づかなかったけど、真ん中に据えてある立派な座卓の上には何も乗ってない

 

 

めしは?

 

不思議に思ったけど、

 

…ああ、ね。

 

脇に置いてある小型の保冷庫と保温庫と冷蔵庫にちゃんと仕分けして収まってた。

 

 

どーせすぐにコトに及ぶんでしょうから、終わってからゆっくりお召し上がりくださいね、ってことだよね。

 

気が利いてんだか嫌みなんだか。

 

ま、素直におもてなしだと思っとこう。

 

 

 

 

 

 

ゴトゴト料理を並べてたら大野さんが戻ってきた。

 

「気持ち良すぎて寝ちまって危うく逝っちまうとこだった。腹がグーッて鳴って目ぇ醒めた」

 

なんて、へらりと笑って座布団に胡坐かく。

 

「…いっそ、逝ってみりゃよかったじゃん

 
そこまで同じって恥ずかしすぎるだろ。
一人前の小さな鍋の着火剤を覗きこんでる大野さんを、赤い顔隠して揶揄う。
 
「そんときゃ一緒だろ?」
 
ライター手に、カチカチ音たてながら大野さんがボソリと呟いた。
 
…え?
 
「今更、離れることなんて、出来やしねぇから」
 
カチカチ
 
…なにそれ。
 
カチカチ
 
「点かねぇな…」
 
重いわ。
 
そんなヘビーなセリフ、ついでみたいにさらりと言うなや。
 
カチカチ
 
「おお、点いた点いた」
 
…点いた。
 
リュック放り投げて走ったあの日から、長年グツグツ煮込まれて、
もう喜びも悲しみ笑顔も涙も何もかも一緒くたになって、
ただ、ただこの人の傍らにずっと転がってたいっていうそれこそ執着のカタマリ。
 
まるで炭みたいに真っ黒になったソレに、また火が点いた。
 
これ以上、煮詰まらせてどうすんのさ。
 
「え? なん泣いてんの?」
「…ばか」
 
デリカシーの全く無い手が、オレのおでこをグイッと持ち上げ、切羽詰まった情けない顔を晒す。
この人は自分が言った言葉の重さをちっとも分かってない。
 
 
…それとも、あなたの中じゃ、そんだけ当たり前のことなの?
 
「あなた、大ばかだよ。そんなこと言ったらもう一生へばり付いてやるからな」
 
全然迫力の無い涙声。
 
「覚悟しろよ」
 
「…おまえ、超絶かわええな」 
 
もちろん、脅しにも何にもなってないって分かってるけどさ、少しは引けよ。
生涯ストーカー宣言してんだから。
 
ギロリと睨みつけたら、
 
「んふふ、まあ待てって。飯食お。それからもっかいな♡」
 
おばか1号はとんだ勘違いで、今日一の笑顔になった。
 
 
いやいや、さすがにもうムリだから。
いくらおばか2号でも我が身は可愛い。
 
 
「まず、ビール♪」
 
でも、ご機嫌な大野さんを否定するのも気が引けて、口尖らしたままビールをプシュッと開ける。
 
「これからもよろしくなっ!」
「…はいはい」
 
おざなりに乾杯返してグビグビ一気に半分ほどを空ける。
 
くーっ、効くなー。
 
すっからかんの胃の中で炭酸とアルコールがガンガン暴れる。
 
あ…、あれれ…?
 
「え? あ、おい、にの!」
 
くるりと部屋が反転して冗談みたいにぶっ倒れてしまった。
 
 
何やってんだ、オレ。
 
 
露天でもないのこのザマ。
 
 
さすが、2号だな。
 
 
 
 
トんだのはほんの一瞬だったらしく、気が付けば目の前に大野さんのどアップ。
 
「ばかかおまえ、空きっ腹に一気にアルコールなんて!」
 
ホッとした顔でぺちんとデコピンされて抱え起こされる。
 
「ほら、喰お。まじで逝くぞ」
 
だれだよ。
そんだけヤったのは。
 
「だからー、喰ってからな♡?」
 
睨んだら、また頭グリグリされたけど、一体オレはどんな顔してんだ?
そんなシ足らなそうな顔してんのか?
 
 
 
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程よいアルコールと美味いメシと、適度…、じゃなくて過度な運動。
三大欲とはよく言ったものだ。
アレの欲と食欲が満たされたなら残りはただ一つ。
 
結局二人、ヨタヨタと寝床を目指す。
原始の欲求に勝てるワケがない。
 
二つ並んだ布団のキレイな方に潜り込んで、ダブルサイズじゃなくて二組である必然性を知る。
 
寝ころんだ視界に入り込んでくる、グチャグチャ寝乱れた隣の一組。
 
あした、ちゃんとするから、普通に寝具として使いましたって風にしとくから、取り敢えず、今は寝てもいいかな。
 
「にのぉ♡」
 
ほら、二つの欲満たした1号がふにゃふにゃな声で背中にくっ付いてくるからさ。
 
 
 
 
おやすみ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
続く。

 

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