冬の天狗岳「稲子湯唐沢橋登山口(みどり池入口)から、東天狗岳・根石岳・箕冠山を反時計回りで周回」

スポンサーリンク

天狗岳とは?

 天狗岳(てんぐだけ)は、長野県茅野市にある標高2,646m(西天狗岳)の山。日本二百名山、信州百名山の一つ。穏やかな山が多い北八ヶ岳の中では険しく、雪山登山初心者の鍛錬の場として知られています。冬季は、西側の唐沢鉱泉や渋ノ湯からのコースが人気ですが、今回は東側の稲子湯から登ってみました。

 難易度的には、雪山登山初級~中級者向けとなります。雪崩・滑落・凍傷・低体温症のリスクがありますのでご注意下さい。積雪期に登山をする場合には、滑り止め等の一般的な雪山装備が必要です。

*悪天候での雪山登山は大変危険です。 天狗岳~根石岳間は爆風で知られており、遭難死亡事故も起きています。天気予報を確認の上、慎重にお楽しみ下さい。雪山散策に適したシーズンは、12月下旬~3月下旬頃だと思います。

・アイゼン(クランポン)12本爪
・ピッケル(アックス)必要
・ハードシェル必要
・冬山用登山靴厳冬期は必要
・ワカン(スノーシュー)降雪直後は必要

駐車場・アクセス

駐車場1: 稲子湯唐沢橋登山口(みどり池入口)の駐車場を利用。無料、15~20台。厳冬期でも除雪されるため、降雪直後を除けば、FFスタッドレスでも大丈夫だと思います。トイレはありません。

駐車場2:稲子湯旅館の有料駐車場を利用。300円、20台程度。稲子湯唐沢橋登山口(みどり池入口)の駐車場まで、0.5km・30分ほど。公衆トイレあり。稲子湯の温泉(鉱泉)は良質らしいです。

アクセス:マイカーでのアクセスは、Googleマップ大先生に聞いて下さい。村営バスがありますが、11月~4月まで運休になります。公共交通機関をご利用の場合には、JR小海駅からタクシーをご利用下さい。稲子湯に宿泊の方は送迎サービスがあります。

稲子湯:http://www12.plala.or.jp/Inagoyu/

今回のコース

稲子湯唐沢橋登山口(みどり池入口)標高1,572m
↓120分
本沢温泉・中山峠分岐 標高2,047m
↓110分
中山峠 標高2,408m
↓100分
東天狗岳 標高2,640m
↓35分
根石岳 標高2,603m
↓15分
箕冠山(みかぶりやま)標高2,590m
↓20分
夏沢峠 標高2,440m
↓40分
本沢温泉 標高2,108m(温泉旅館! 日本最高所の露天風呂)
↓60分
本沢温泉・中山峠分岐 標高2,047m
↓90分
稲子湯唐沢橋登山口(みどり池入口)標高1,572m

標準コースタイム 9時間50分 距離:13.9km
(ロガー測定値:9時間37分・15.9km)
*雪の状態によって、時間や難易度が変わりますのでご注意下さい。
私レベルの普通体力だと、1泊2日が妥当なコースだと思いました。

撮影:2023年2月中旬

2月の東天狗岳・根石岳・箕冠山に登ってみた♪

 2023年2月中旬、東側から天狗岳に登るため、稲子湯唐沢橋登山口を目指して車を走らせた。道中は除雪されており、全体的に勾配も緩い。降雪直後でない限り、FFスタッドレスでも問題無いと思う。


「朝焼けの天狗岳」

 途中で本沢温泉入口方面(本沢林道入口)の前を通ったら、バリケードで封鎖されていた。この時は道路工事のためだったらしいけど、ここの林道は冬季通行止めになるのか謎なんだよな~。雪が無ければ通れるんだろうか? ……と思いつつ、前を通過した。


「稲子湯唐沢橋登山口駐車場」

 登山口までの道は凍結していたので、念のため慎重に運転して、午前7時頃に稲子湯唐沢橋登山口の駐車場に到着。しらびそ小屋や、本沢温泉に宿泊する人達も利用するため、土日祝日は混雑するかもしれない。


「稲子湯唐沢橋登山口」

 散策の準備が整ったら、午前7時半頃に駐車場を出発。しばらくは、ノーアイゼンでも行けると思うけど、チェーンスパイクを装備しておいた。なお、登山届入れは、林道のゲートを抜けた右側にある。事前に申請していない場合には提出しておこう。


「崩壊でルートが変わったらしい」

 ゲートから先の林道も除雪されていた。そこをテクテクと歩いて行くと、登山道に入る道があるんだけど、見過ごして林道をそのまま行ってしまった。ただ、登山道は林道をショートカットするだけで、全部林道を歩いても上の写真の場所までは行ける。


「霧氷の森」

 当日はそこそこ(ー16℃)冷えていたためか、霧氷の花が僅かに咲いていた。朝日に照らされた木々を眺めながら、のんびりと歩いて行く。


「ここから急登になる」

 ゲートから1時間ほど歩くと、ミドリ池まで0.6kmと書かれた道標が出てくる。ここから、少しだけ急登になるため、0.6kmは思ったよりも遠い。


「凍結したみどり池と天狗岳」

 しらびそ小屋には、午前9時頃に到着。登山口から普通に歩いて1時間半程だった。しらびそ小屋は通年営業(要予約)の山小屋で、キャンプ場も併設されている(1,000円)。立ち寄らなかったけど、トイレの利用料は200円だった。

*しらびそ小屋は定休日があるようです。立ち寄りたい場合には、ホームページで調べてからお出かけ下さい。
しらびそ小屋:https://shirabisogoya.com/

「本沢温泉方面との分岐」

 しらびそ小屋に宿泊していた、スノーシューハイクの人達がウロウロしていたため、居なくなるまで休憩しながら待ち、撮影を済ませてから先に進んだ。


「中山峠手前は急登です」

 本沢温泉方面との分岐を中山峠方面に進んで行くと、徐々に傾斜がキツくなる。チェーンスパイクでは苦労するようになったため、12本爪アイゼンを装備。途中で装着すると面倒なため、しらびそ小屋で準備することをオススメする。


「中山峠直下の鎖場」

 急登をひたすら登って行くと、鎖場がある場所が現れる。ここは、かなり急だ。それほど危険では無いけど、ぶっちゃけ、東天狗岳の斜面よりも急なんじゃないかなと思う。

雪質トレースの状態にもよりますが、チェーンスパイクだと苦労すると思います。

「中山峠」

 急斜面を登り切ると中山峠だ。ゆっくりと歩いて、駐車場から3時間半だった。ここで休憩を取った後、ピッケルとハードシェルを装備して、東天狗岳を目指して歩き出した。


「良い天気でした」

 しばらく平坦な道を歩き、少しだけ急な斜面を登ると、目的の天狗岳が綺麗に見える。風が少し強いけど、煽られるようなレベルではないため、計画通りに歩けそうだ。


「雪が少なかった」

 天狗岳の斜面はそれほど急ではないものの、ストックではなく、ピッケルを装備しておいた方が良いと思う。まあ、雪質が良ければストックでも問題無いんだけど、雪山登山をしている気分的な部分でも重要なのだ。

*12本爪アイゼンとピッケルが基本の装備です。当日の状況によっては、持っていないと危険なことがあるため、持たずに入山するのは控えて下さい。なお、短めのピッケルだと、持って歩くだけになります。

「東天狗岳山頂手前」

 休み休み登って行くと、やがて東天狗岳の山頂が見えてくる。本格雪山登山入門として人気の山だけあり、その展望は中々のものだ。時々、足を止めて、景色を堪能しながら歩いた。


「東天狗岳山頂から西天狗岳」

 東天狗岳の山頂には、午後12時20分に到着。駐車場からゆっくりと歩いて、およそ5時間掛かったことになる(ほぼコースタイム)。

*みどり池入口からだと、標高差が1,100m位あります体力の無い方は黒百合ヒュッテに宿泊して、1泊2日で縦走することをオススメ致します

「天狗の鼻」

 この日は晴れていたため、360度の大展望を堪能することが出来た。今回は時間の関係でパスしたけど、西天狗岳の方が若干、展望が良いので、体力と時間に余裕があったら往復するのがオススメ。


「出だしだけ急です」

 絶景を堪能した後は、根石岳方面に向けてプチ縦走をする。東天狗岳山頂から、最初の下りだけ急斜面になっているため、慎重に通過。この先も、雪の状態によっては危ないかもしれないので、ピッケルを装備しておいた方が良いと思う。

*東天狗岳で恐怖を感じるほどの強風だった場合には、来た道を引き返して下さい。天狗岳と根石岳の鞍部は、さらに風が強く、行動不能になる可能性があります(遭難死亡事故も起きています)。

「アイゼンの引っ掛けに注意」

 少し先にある鉄の橋を渡る際は、アイゼンの爪が引っ掛かりそうになるため、足を上げるようにしてユックリと通過。その先は、それほど難しくはないけど、トレースや雪質によっては、少し危険な場合もあるかもしれない。


「東天狗岳と西天狗岳」

 今回は、トレースに変なところがあったため、ちょっぴり危険な感じのトラバースになってしまった。人のトレースを当てにせず、変だなと思ったら、自分で調整した方が良いと思う。


「白砂新道分岐」

 白砂新道(冬季通行止め)との分岐まで下りて来たけど、やはり風が強い。吹き飛ばされるようなレベルじゃないんだけど、八ヶ岳は他よりも寒い気がする。中厚手のスキー用グローブでは冷たさに耐えきれず、根石岳の岩陰で、久しぶりにソロイストを装着した。

*悪天候の場合には、雪山登山フル装備じゃないと耐えられないと思います。

「根石岳と南八ヶ岳の皆さん」

 のんびりと根石岳の急な斜面を登って山頂に立つ。道標は凍り付いており、少し剥がそうとしたけど無理だった。写真だけ撮って通過。


「カチンコチンで剥がれません」

 ここから先には、危険な場所は存在しない。テクテクと根石岳山荘の前を通り過ぎ、樹林帯を少し登って箕冠山(みかぶりやま)に到着。


「根石岳山荘と箕冠山」

 風は嘘の様に無くなるため、ここでハードシェルやピッケル、厚手のグローブをザックに仕舞った。今回は本沢温泉まで12本爪アイゼンで下りたけど、チェーンスパイクを持っている場合には、12本爪アイゼンも片付けてしまって問題無いと思う(高温で団子になりそうな時を除く)。

「箕冠山(みかぶりやま)」

 装備を片付け、休憩を取ったら、夏沢峠へ向けて進んで行く。ココって、コースタイムは20分なんだけど、かなり急がないと無理だと思う。休まずに普通に歩いて30分位は掛かった。


「夏沢峠」

 夏沢峠からは、本沢温泉を目指して樹林帯を下る。やや急な場所もあるけど、チェーンスパイクで問題無いだろう。本沢温泉が近づくと、硫黄の匂いが漂って来るのでわかるのが良い。


「本沢温泉」

 途中、本沢温泉露天風呂を上から望遠で撮影しようと思ったんだけど、おっさんが脱ぎ始めたので止めた(笑)。温泉に入る時間は無いので通り過ぎ、少し先にある分岐をみどり池方面に進んだ。


「しらびそ小屋」

 分岐から先は、少し登り返しがあるけど、大したことはない。ひたすら駐車場を目指して歩くだけだ。15.9km・9時間37分の素晴らしい雪山散策だった。

動画「10分で冬の東天狗岳・根石岳」

・暇な人はどうぞ……

関連記事

関連サイト

稲子湯:http://www12.plala.or.jp/Inagoyu/
しらびそ小屋:https://shirabisogoya.com/
黒百合ヒュッテ:http://www.kuroyurihyutte.com/
本沢温泉:https://www.yatsu-honzawaonsen.com/

まとめ

 北八ヶ岳の人気コースですので、晴天・微風(風速10m程度)・まともなトレースがある時を選べば、問題無く歩けるでしょう。ただし、体力に余裕が無い場合には、1泊2日で計画した方が良いと思います。体力が余っている人は、硫黄岳も一緒に歩くと丁度良いかもしれません。

 爆風の場合には、ガチな人じゃないと天狗岳~根石岳間の通過は厳しいため、初心者の方は計画を変更することをオススメ致します。本沢温泉に予約を入れている場合には、しらびそ小屋付近の分岐まで戻った方が良いでしょう。命を大事に……です。

*厳冬期は、軽アイゼンやチェーンスパイクでの登頂は控えましょう。条件が良ければ登れると思いますが、下りられなくなったり、周りに迷惑を掛ける可能性があります。

もう行った(行ってみたい)……と言う人は↓

にほんブログ村 アウトドアブログ 登山へ