【若草のみち 短歌】
缶コーラ置き忘れてる自由席だれかが脱皮し終えたように
(第41回全国短歌大会大松達知選者賞)
夕立に濡れて乾いた地図帳の波打っている大陸仕舞う
(第41回全国短歌大会尾崎まゆみ選者賞・佳作春日いづみ選)
青いまま落ちるどんぐり初めからそういう役であるかのように
(第4回角川全国短歌大賞大賞特選馬場あきこ選・秀逸岡井隆選・佳作佐佐木幸綱選)
飛んでいる鳥の翼の逆光は見上げる人のためだけにある
(第4回中城ふみ子賞次席「回路」より)
フーセンをねじって出来たプードルがどこに置いてもだんだん弱る
(第56回短歌研究新人賞最終選考通過作品「ひとつの季節」より)
ふと空を見上げる理由あるならば例えばそれは息継ぎに似て
生きるため死ぬ細胞のあることをからだなんでもなさそうにして
出はいりの多い大きな建物は等身大の鏡が多い
(第60回角川短歌賞次席「遠い公園」より)