それからの二人の関係は、風子が諦めの境地で欣一が、
 
「あの時は騙すつもりも隠すつもりもなく、妻とはかなり前から冷えきっていて、
でもだからといって君に遊び半分でちょっかいを出したわけではない、
僕は正直な気持ちを君に告げたかっただけなのだけど、器用な男ではないから順番を間違えてしまったのかもしれない。
妻とは別れるから待っていて。」

と言うようなことを何回か言われた。

順番を間違えた‥

それって、不倫の言い訳によく使われる言葉なんだろうか?

それとも?

何が本当で、何が嘘なのか、彼の本当の心が読めずにいた。

妻と冷え切っていたのは、事実なのかもしれない。

でも、それを黙ってその気にさせてこんな関係になるだなんて。

妻がいるのに。

それなのに私と?

恋愛経験もほとんど無い、そんな私だったがために今回ばかりはいろいろと打ちのめされていった。

誰にも言えない悩みだったから。

でも、それで本当に良いのだろうか?彼女はかなり迷い戸惑った。

でも、自分の気持ちに素直にひた向きに、そして彼を信じたかった。

でも、不安や罪悪感も抱えて、つぶれてしまいそうになる気持ちを一人で抱えるには人生経験がかなり不足していた。
「何か確かなものにすがりたい…」

そして、風子は『護符』にたどり着いたのである。