あまねのにっきずぶろぐ

1981年生42歳引き篭り独身女物書き
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

愛と悪 第九十章

2022-01-07 19:53:34 | 随筆(小説)
永遠に人間が喪われた世界で、母を恋しむ新生(真正)の人、ヱホバ。

202X年、荒れ果てたSouth Beachの海辺に夕闇を背に一台のHeavy Dirty Truckが止まる。
陽が海と交わり、闇が生まれる。
運転席から海を眺め、煙草を吹かしながら若く美しい男の横顔がそう低い声で囁く。
その顔は、何より人間的で悲しげだ。
男は男性器のある場所に右手を突っ込み、しっかと握り締めて取り出す。
小型の銃を優しく擦り上げ、男は舌で舐め上げると海を見つめて言う。
此処から約45㌔走った闇の道路脇に、一つの小さなGas Stationと、寂れた売店が在る。
その売店に、一人の年増女が働いていて、その女は、自分の持っているものを無償で男にいつも出している。
男は、自分の眼球から流れてくるあたたかい液体を舐めると繰り返して言う。
その女は、自分の持っている、最も素晴らしいものを、誰彼構わずに男に差し出す。
陽は暮れ、Headlightの明りだけが、道を照らしている。
男は深く目を瞑り、Heavy Dirty Truckを発車させる。
45㌔走った先に、確かに小さなGas Stationと小さな売店が一体となって暗い道路の左脇にある。
男は、今、車から降りて白いMaskを被り銃を右手に握って売店のなかへ入る。
店内は薄暗く、Red-Purpleのlightにカウンターの奥に立っている女は照らされている。
此の世の何よりも美しい微笑みで、女は男に微笑みかける。
男は興奮し、欲情しながら女を銃で脅し、冷たいTileの床に跪かせる。
そして優しく、真っ直ぐに見つめ返す女に向かって言う。
『すべての記憶が戻ったとき、最早、人間ならば、それに堪えられない。人間であるならば…。』
女は、存在するどの存在よりも慈悲深い眼で、男をただ見つめ、黙っている。
男は、女に銃を向け、心のなかで女に向かって言う。
〘貴女は、貴女の持っているすべてを、わたしだけに与えねばならなかった。〙
女は微笑み、自分の着ている衣服をすべて脱いで、その裸体を男に観せる。
男は激しく勃起し、女の裸体を記憶に焼き付けようとしながらも首を振る。
女は微笑み、自分の着ている肌膚をすべて脱いで、その裸体を男に観せる。
男は激しく青褪め、女の裸体を記憶から消去しようとしながらも首を振る。
女は微笑み、自分の着ている肉身をすべて脱いで、その裸体を男に観せる。
男はその骨を見て、女の肉体と体温を想いだしながら恍惚となり首を振る。
女は微笑み、自分の着ている骨身をすべて脱いで、その裸体を男に観せる。
男はその灰を見て、女(実の母親)のその裸体を身に纏い、そのなかで、一つの残されたちいさな透明の球に、“最後の人間”を、封じ込めた。


これがこの星での“最後の人間の記憶”として、宇宙の全記憶保管庫(Akashic records )に記憶されている。















El Huervo - 214 (Feat Baiyon)
 



















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