過呼吸の原因は不安・緊張から起こる「二酸化炭素の出し過ぎ」

 

過呼吸になると、なぜ息が苦しくなるのでしょうか。「不安」や「緊張」を強く感じると、心と体が「興奮状態」になり、全身に酸素を含む血液をたくさん送ろうと、心臓を"ドキドキ"させたり、息を"ハアハア"させたりします。すると、息苦しくて不安になり、さらにたくさん息を吸おうとします。運動もしていないのに必要以上に多く呼吸をすると、体内の酸素が増え過ぎ、逆に二酸化炭素が少ない状態になってしまいます。

二酸化炭素が少なくなると、通常、ほぼ中性に保たれている血液がアルカリ性になります。すると、一時的に血管が収縮したり、細胞が正常に働かなくなったりするため、頭がぼうっとしたり、手足がしびれるなど、さまざまな異変が起こってくるのです。

過呼吸が起きそうになったら「ゆっくり呼吸法」

過呼吸が起きそうになったら、ストレスの原因になっているものから距離をとり、落ち着くこと。そして、静かに座って、リラックスできる姿勢をとり、「ゆっくり呼吸法」を行います。まず、5秒間息を止め、呼吸を一度落ち着かせます。次に3秒かけて息を吐きます。このとき、息を吐くことに集中し、心の中で「リラ~ックス」と唱えます。次に3秒かけて息を吸います。あわてて息を吸おうとしないこと。これを5分ほど続けます。過呼吸を何度も起こしている人は、普段から練習しておくとよいでしょう。

 

リラックスできるイメージで過呼吸を予防

 
 

過呼吸はストレスにうまく対処することで予防できると考えられています。1日の中で緊張している時間が長過ぎると症状を起こしやすいので、リラックスしている時間を増やすことが大切です。例えば、軽い体操やヨガ、散歩、お風呂、食事、睡眠などでリラックスするのがよいでしょう。

★リラックスできるイメージの例

「砂浜のきれいなビーチで横になっている。青い空、青い海、穏やかな波の心地良い音・・・。」
「森林に囲まれて、やわらかい日差しに包まれながら森林浴。」
このようなイメージを目を閉じて30秒ほど想い浮かべ、実際にリラックスできるように、普段から練習しておきます。

 

 

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適応障害とは?症状や治療法

 

適応障害は、強いストレスによって、日常生活を送ることが困難になるほどの"こころの不調"が現れる病気です。誰にでも起こりうる心の病気の1つで、うつ病の〝手前〞の状態だと考えられています。早めの対処が必要です。

こころの症状には、憂うつな気分で落ち込む、不安感で神経質になる、焦る気持ちなどがあります。行動面に影響が出ることもあり、涙もろくなって泣く、わめくなどの行動がみられることもあります。これらの症状によって日常生活に支障が出て、仕事を続けられなくなったり、学校に行けなくなったりする場合もあります。

特徴は、ストレスとなる出来事が明らかなことです。ただ、このような症状が現れるのは一時的で、長くは続かないのが特徴です。もし6か月間以上続いているようなら、うつ病などほかの病気の可能性もあります。原因となるストレスからうまく離れることが、改善・回復のポイントです。

抑うつや不安感などが強くなり、家事ができない、学校や会社に行けないなど、通常の社会生活を送りにくい状態が1〜2週間続く場合は、精神科、心療内科、メンタルクリニックなどを受診することをお勧めします。産業医やかかりつけの内科でもよいでしょう。

適応障害の原因となるストレス

 

ストレスを感じる原因で多いのは、学校や職場、家庭内での人間関係です。結婚や昇進など、客観的には好ましい出来事もストレスの原因になります。病気自体のストレスだけでなく、治療生活による環境の変化もストレスの原因になります。

適応障害の治療

 

治療で重要なのは、(1)環境を調整する、(2)ストレスを減らした状態に適応できるようにすることです。

(1)環境を調整する
ストレスのもとを減らすことが基本です。例えば、パワーハラスメントを受けていたり、職場になじめないようなら、部署や人の配置を変えてもらうなど、環境を変える方法(環境調整)を考えましょう。また、休職も有効な選択肢の1つです。休職期間は、最初は2週間〜1か月間程度の短期間が勧められます。その間に会社側も環境の改善に動くことができます。

(2)ストレスを減らした状態に適応できるようにする
精神療法や心理療法が行われます。また、ストレスに対して自分がどのような考え方や行動パターンを持っているかに気づき、そのパターンを変えていく方法(認知行動療法)もあります。
病気による不安や孤独に対処するために、精神科などでカウンセリングを受けるほか、同じ病気の患者さんどうしが交流する患者会などに参加するのもよいでしょう。

 

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休養中の過ごし方

 

十分に休養する

ずっとベッドに横になっているのもストレスがたまるので、普通の暮らしを続けましょう。「早く治そう」と焦らず、適度に活動し、適度に休みながら、ゆっくりと回復を待つくらいの気持ちで過ごしましょう。

旅行は慎重に

旅行の計画を練ったり、遠くまで出かけたりするのは、実はかなりのエネルギーを使うため、心の不調がある状態ではかえってストレスになることもあります。旅行は元気を取り戻してからにしましょう。

薬は少量・短期で

症状が環境調整の妨げになっている場合や、環境調整を行ったあとも適応障害がすぐにはよくならず苦痛が強い場合には、薬物療法が行われることがあります。不安や不眠などに対してはベンゾジアゼピン系の薬、うつ状態に対しては抗うつ薬を使うこともあります。うつ病の治療でも使う薬ですが、適応障害の場合は、より少量を短期間使うのが基本です。

自分でできる認知行動療法の例

適応障害と診断されたAさんの例

  • Aさん 30歳代
  • コンピューターのソフト開発の仕事から営業の部署に異動。
  • 十分な引き継ぎや研修はなく、新しい部署での仕事が強いストレスとなり、落ち込むことが多くなる。
 
  • 朝がつらくなり、欠勤が続くようになった。
 

「ストレスに関する問題を解決する方法」の例です。本人のできる範囲で行い、周囲の人は無理強いしないでください。

【1】リラックスする

問題解決に取り組む前に、まずは気持ちを落ち着けることが大切。自分がリラックスできる方法をいくつも書き出し、できそうなことをやってみる。

【2】問題をはっきりさせる

何がどのように問題なのかを自分自身に問いかけ、問題をはっきりさせる。
(Aさんの場合:今の状況のままでは、会社に行ってもつらい状況は変わらないということが問題)

【3】解決案を書き出す

問題を解決するための案を、できるだけたくさん考え、書き出す。一見ばかばかしいと思えるようなとっぴな案でもかまわない。
(Aさんが考えた案:(1)思い切って会社を辞める(2)上司に事情を話して元の部署に戻してもらう(3)営業研修を受ける)

【4】点数化する

書き出した解決案について自分で評価する。それぞれのメリットとデメリットを自分なりに考え、それぞれ10点満点で点数化する。

(1)思い切って会社を辞める

≪メリット≫

  • これで、もうつらい思いをしなくて済む +5点

≪デメリット≫

  • 築き上げた人間関係が失われる
  • 再就職は大変
  • 転職を繰り返すようになってしまう -9点

(2)上司に事情を話して元の部署に戻してもらう

≪メリット≫

  • 自分に合った職種になる
  • 元気を取り戻せそう
  • 以前と同様に今度もうまくいきそう +9点

≪デメリット≫

  • 評価が落ちそう
  • 自分勝手だと思われそう -3点

(3)営業研修を受ける

≪メリット≫

  • ・営業を基本から学べる +5点

≪デメリット≫

  • 嫌な人にしごかれるかもしれない
  • 興味を持てないかもしれない -5点

 

【5】解決法を1つ選ぶ

問題を解決するための案のなかから、1つを選び出す。そのときに、メリットのプラスの点数と、デメリットのマイナスの点数を足し合わせて、合計点が最も高い方法を解決法とする。Aさんは、解決案(2)を選んだ。

【6】実行する

クヨクヨ悩まずに、問題解決のための行動を起こす。うまくいっても、いかなくても、チャレンジした自分を誇りに思い、自分に自信をもつようになる。

家族の寄り添い方

適応障害の場合、患者さんは生活を維持し、自分一人で解決できることも多くあります。家族など周囲の人は、戸惑い、解決のために協力したいなどと思うかもしれませんが、周囲の人が本人のストレスに向き合い過ぎると、症状が悪化することがあります。あまり深入りせず、温かく見守る程度の距離感で接するとよいでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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