1月26日まで開催されていた、横浜のみらい美術館「異素材の交響曲‐ガラス、陶磁、彫刻の芸術」展の鑑賞レポをお届けします。

みらい美術館はルネ・ラリック、エミール・ガレ、ドーム兄弟などのガラス工芸や陶磁器等を、展示ごとに手を変え品を変え見せて下さる小さな美術館です。
今回は終了した展示のレポになってしまいましたが、「ここに来ればこういう系統のガラス工芸が見られるんだな」の参考になれば・・・(画像はすべてクリックで拡大します)

もう美術館のシャンデリア自体がラリックであったりするのが素敵。スタッフさんが気さくでご親切で、いつもみんな楽しそうにお仕事しているところも良いと思います。画像も「どうぞどうぞSNSに!」という勢いで、撮影可能を向こうから教えてくださる。恐縮です。
ルネ・ラリック

小さくて静謐な展示室。左を見るとラリックの作品がずらりと並びます。

アール・ヌーヴォーのジュエリー製作から、新たに香水瓶の制作を始めたことでガラス工芸に触れ、その後アール・デコのガラス工芸の巨匠となっていくラリック。



こうして見るとどの作品もラリックの趣がありながら、柔らかなアール・ヌーヴォースタイルやシャープでモダンなもの、いろいろな作風があり、本当の意味でクリエイティブであったことが伺えます。


レッツ・ヴィトヴェ工房
ヨハン・レッツ・ヴィトヴェ工房は、アール・ヌーヴォー時代に活躍したチェコの工房だそう。

ラスター彩が美しい花器がずらりと並びます。

エミール・ガレ(ガレ工房)
今回はエミール・ガレの「蝶文双耳花器」が特別展示されていました。

日本の着物をモチーフにしたというジャポニズムスタイル。花のつぼみの一つひとつや蝶の触角まで本当に緻密で、全体のバランスから細部まで隙のない傑作でした。
下の茶色い部分には北斎漫画の蛙が潜んでいます。単眼鏡があるとより堪能できますよ。

360度鑑賞できるようクルクル回っていた「コモ湖文花器」。他の作品はラリックのような浮かび上がるライティングが多いんですが、こういう展示手法も面白いですね。
浮かび上がる+クルクルだったらもっと素敵な気もするけど、やっぱり難しいのでしょうね・・・

すやすや眠るネコちゃんの陶器。動物にも造詣が深かったガレは、犬や猫の陶器も多く制作しています。
ちなみに下の画像は2024年に開催されていた松涛美術館「没後120年 エミール・ガレ展 奇想のガラス作家」で唯一撮影可能だったネコちゃんの陶器。

私はこのネコちゃんを見てちょっとだけ「ギャッ」となってしまったので、今回の「眠り猫陶器」のほうがより好きです・・・
様々な素材の彫刻にも注目
こちらはフランスの彫刻家ラウル・ラルシュのブロンズ彫刻「水の精」

みらい美術館を扱った産経新聞の記事によれば、名刺置きなんだそうです。お洒落ですね。

脚の曲線と布のドレープが美しい、モーリス・ブバルの「花を持つ女性」

もうランプとしての実用性を美術品の側面が上回ってしまっているレオ・ラポルトブレルジーの「妖精」

これ、とても美しいけれど実際使ってみるとそんなに明るくないと思う。でもいいの!いいんです!この方が美しいから!
照明類もぜひお見逃しなく・・・!
今展示に限らず、天井にはガレなどのすばらしいシーリングランプも展示されていますので、ぜひ上もじっくり見てください。



みらい美術館は金・土・日祝のみ開館しており、企画展開催期間以外は休館しています。次回の企画展は4月からだそうで、スタッフさんのお話では今回よりもアール・ヌーヴォーの美術品が多いそう!いまから楽しみにしたいと思います。