電撃ブックハンター

本の話題、もしくは関連すること関係ない事を書きたい放題です。

転売ヤー

2020-05-12 22:07:24 | 日記
忘れもしない今年の1月29日、朝出かける時に母から「マスクが買えなくなってるみたいだけど」という話を聞き、
「ドラッグストアでいくらでも売ってるじゃん?」
と軽く考えて、仕事帰りに杏林堂に寄ったんですが、見事に品切れになっていました

思えば私にとってのコロナ禍は、この日が始まりだったような気がします。


それからすぐにアルコール消毒液が店頭から消え、トイレットペーパーが無くなり、ティッシュペーパーの棚が空になりました。
さらに米が売り切れ、インスタントラーメンなど保存食までもが品切れに。
必需品が買えなくなるという不安に加え、それを煽るデマが広がったためです。


この機に乗じて蠢いていたのが不足品を大量に買い占めて高値で転売する連中、いわゆる「転売ヤー」です。
アマゾンやヤクオフを見たら、コンビニで一袋300円のマスクが4000円で売られていたから驚きです。
消毒液なんかも10倍以上の値がついていました。

そしてついに、転売ヤーは書籍の世界にまで足を踏み入れてきたのです。




私が本を買う際の情報源の一つが前回もご紹介したビデオニュース・ドットコムの「マル激トークオン・デマンド」です。
テレビや新聞が取り上げない社会の問題点を専門家を招いて徹底的に議論する番組なんですが、ソース元としてゲストの方が書かれた書籍を紹介しているのでなるべく購読することにしています。


2020年4月25日放送の第994回「人類は新型コロナウイルスといかに共生すべきかを考える」を見た直後、ゲストの山本太郎・長崎大学教授の著書を購入すべくアマゾンのページに飛んだところこの岩波新書(定価:720円+税)が、なんと2400~4000円で販売されていました。


いくらなんでもボり過ぎなので、他のサイトでも確認してみます。

ところが・・・

セブンイレブンで受け取れる「オムニ7」→売り切れ・在庫なし
紀伊国屋オンライン→在庫なし
他・数カ所のネット書店→在庫なし


といずれも品切れ・・・。
ついでにヤフーオークションを見てみたら「4月購入の新品」というのが1400円で売られていました。


どうもそこら中でこの本を買い占めて、転売している奴らがいるらしい。
この本だけでなく、コロナ禍に乗じて「感染症」「ウイルス」「免疫」関連の書が軒並み荒らされていたのです。


うおらーっ!
ブックハンターなめんじゃねえええーーーっ!!
だれがてめえらなんかから本買うかーーっ!!!



こんなクソ共に金を払うぐらいなら死んだ方がマシです。
ブックハンターの意地にかけ、あらゆるツテを駆使して欲しい新刊を全て定価で手に入れました。

うらあ!
●「感染症と文明」 山本太郎・著 岩波新書


どりゃあ!
●「ヒトがいまあるのはウイルスのおかげ!」 竹村政春・著 さくら舎


おりゃあ!
●「免疫力を強くする」 宮坂昌之・著 講談社ブルーバックス



どうだ!ざまーみやがれ!バーカバーカ!
うははははははは!

・・・ハアハア。
張り合って新刊だけで1万円ぐらい買ってしまった。
なんて虚しい戦いなんだ・・・。



混乱に乗じて儲けるなんてのは有史以来フツーに行われてきた事なんですが、それにしても昨今の「転売」はミミッちいです。
しかも迷惑極まりない。

マスク無くなったら花粉症の人、困るでしょう?
トイレットペーパー買えなかったらどうやってお尻ふくの?
法律に違反してなかったら何やってもいいの?
自分が迷惑かけられた側になったらどういう気分になると思う?



転売やっていくら儲かるのか知りませんけど、こういう事考えないんですかね?
いや、考えもしないし、心も痛まないからやるんだろうなあ
だから安倍みたいなのが総理大臣やってるし、人を踏んで金を稼ぐやつがヒーローになってしまうんだろうなあ。


どうせやるんなら知識と経験を磨いて、アイデアとオリジナリティに溢れる真っ当な商売をして欲しい。
買う方が、
「こいつはやられたな!」
と思わず膝を打つようなモノを売って頂きたいものです。



とにかく転売ヤー。
貴様らは本読みに喧嘩を売った。
だったら戦争だ。

お前らからは何があっても絶対に買わん!
そちらがいかに本を買い占めようが、ブックハンターが全てクリアしてくれよう。
在庫を抱えて溺れ死ね!
泣きながら撤退させてやる!


また本代が増えてこっちも泣きそうだけど!(涙













正しく恐れるために

2020-04-19 22:34:04 | 日記
私が勝手に勉強学の先生にしている佐藤優氏は、外交官としてロシアとの北方領土返還交渉に関わっていた時に権力争いに巻き込まれ、冤罪で東京拘置所に512日間も拘留されました。
絶望の事態ですが、師はその状況を最大限に利用したそうです。
すなわち、独房の中で読書と思索に没頭したのです。


この時の詳細は「獄中記」に書かれていますし、最近刊行された池上彰氏との共著でも触れられています。
佐藤師曰く、
「独房は最高の読書空間」
だそうです(笑。

●「獄中記」 佐藤優・著 岩波現代文庫



●「知的再武装 60のヒント」 佐藤優・池上彰 共著 文春新書



普通に生きているとなかなか独房に入れてもらえませんけど、コロナ騒ぎで家にいるしかない現況は閉じ込められている様なものです。
だったら我々もこれを最大限に利用するのが吉でしょう。
という訳で、まずタイムリーな分野から始める事にしました。


まずはコロナにやられてしまっては元も子もないので、正しく防ぐ知識を身に付けたい。
そこでこの1冊。

●「新型コロナウイルスの真実」 岩田健太郎・著 ベスト新書



ダイヤモンド・プリンセス号事件で一躍有名になった岩田氏ですが、そもそも感染症対策の専門家として世界中で活躍してきたプロ中のプロです。
この本の中では新型コロナ対策としてシンプルに2つのポイントを挙げています。
それは「距離」と「」です。


新型コロナウイルスは感染した人から咳やクシャミ、あるいは会話で「飛沫」として飛び出し、それを体内に取り込んでしまうと伝染るので、直接「飛沫」を浴びない距離を保つ事。
また、飛沫が飛んだ所を触れると手を通じて体内に入るので、とにかく「手を洗う」こと。
人間は何をやるにも手を使うので、手にウイルスが付いているという前提で行動する事が重要だそうです。
今、テレビで盛んに言われているのは、感染症予防のデフォルトだった訳です。


麻疹のように空気感染する病気だと家にいても罹ってしまうかも知れませんが、新型コロナは飛沫やウイルスが付着したものに注意しておけば大体OK。
逆に言ったら家に籠もっていれば伝染るチャンスがないのです。
だからこそ現在、外出規制みたいなものが掛かっているわけで、フラフラ遊びに行ってしまう人はそこら辺を理解していないのではないでしょうか。



岩田氏はダイヤモンド・プリンセス号に正式なスタッフとして追加で乗り込んだのですが、2時間で追い出されてしまいました。
その詳細もこの中で書かれています。
お役所の仕事、というかメンツにこだわって本質を見失う日本人ならではの悪癖が現れているように思います。


それからもっと核心的な話も書かれています。
「安心」を求める事の弊害、間違っていたらすぐに認めて正すこと、本当の勇気とは何か、などストレートに心に響いてきます。
新型コロナは迷惑ですけど、そのおかげで岩田先生に出会えたので、これも巡り合わせというものでしょう。



その他、これらの本を読み直してみました。


●「感染症と生体防御 ’08」 河原和夫・岸本忠三・岩本愛吉 編著 放送大学教材




●「公衆衛生’15」 田城孝雄・横山和仁 編著 放送大学教材



ご存知の方も多いと思いますが、放送大学はテレビ・ラジオ・インターネットを利用した授業を行う正規の通信制大学です。
看護師の資格を取るための補助的なカリキュラムもあって、これらはその講義に使われるテキストですので、医療従事者が身に付ける正しい知識を学べます。
ちなみにBSやラジオで誰でも放送大学の番組を視聴できますし、大きな書店やアマゾンでテキストを購入できますので、学位には興味はないけど知識は吸収したい人には超オススメです。
私も以前は放送大学の学生でしたけど、リーマンショックで金がなくなってからはテキストだけ買って拝聴しています(笑。


「感染症と生体防御 08」はちょっと古いですが、免疫システムの基礎や代表的な感染症について一通り展望できます。
放送大学の授業の後継は「感染症と生体防御 18」で新しいテキストも出ていて、前述の岩田先生も講義を一部担当されていますので、最新の情報を得たい方はこちらを読んでみてはいかがでしょう。


ただ最初の免疫システムの話が全く前知識がない人にはとっつきにくいかも知れないので、免疫について分かりやすい本として別口でコレをおすすめします。

●「絵でわかる免疫」 安保徹・著 講談社




「公衆衛生」はもうちょっと視点を高くして疫学や健康保健について俯瞰しています。
昔、コレラがイギリスで流行った時にスノウという医師が実態を見極めて感染を止めた事がきっかけとされる疫学は、今でも基本は同じです。
その手法を基礎から学べる一冊です。


その他、本ではないですが、インターネット配信のビデオニュース・ドットコムの番組、インタビュー動画は質・量ともに充実しています。
月550円(税込み)で全ての配信を視聴できます。
テレビや新聞では知ることができない様々な課題について徹底的に議論する、見る人は必ず見ている(中央官庁の役人も(笑)番組ですので、これを機に会員になってみてはいかがでしょう。


新型コロナという脅威は今の所、逃げ回る以外どうする事も出来ません。
今後も長い付き合いになってしまうのでしょう。
別の機会にウイルスについての本も紹介しますけど、この世界はウイルスで満ち溢れており、人間が活動範囲を広げれば広げるほど同じ様な騒ぎは起こります。
だったら正しく恐れて正しく回避するしかありません。


私の場合、せっかくの独房シチュエーションを活かして溜まりに溜まった未読の書を読み、思索し、自分のものにしていこうと思います。
貧乏人の強みは「転んでもタダでは起きない」ところですからね!(笑










今度こそ断ち切る

2020-03-08 22:37:29 | 日記
世の中はコロナウイルスで大騒ぎになっています。
どこもかしこも中止・自粛でイベントで集まることも電車に乗ることも憚られる今日このごろ。


ここに来て一気に感染が拡大したかに見えますが、実際のところ潜在的にはずっと以前から広がっていたと思われます。
国や東京都はオリンピックをやりたいがために検査をサボって感染者数を表面的に抑え、根本的な対策も取らず、市民は普通に満員電車で通勤して休日にはバーッと遊びに行っていた訳ですから、これで世界のまともな対策を取っている国々よりも感染が広がってないのは逆におかしい。
多分、他の国が収束に向かう頃に日本では破滅的な事態が起こるのではないでしょうか。


太平洋戦争では一面焼け野原になってから、ようやく国民は日本が無茶な戦いをしていた事に気付かされました。
2011年の東日本大震災では福島の原発が吹っ飛び、一帯が汚染されてやっと原発の問題に目を向けるようになりました。
実はこれらの国難を、時の政府や役人、有識者はかなり正確に予測していました。

太平洋戦争について。
おおよそ国力比較でアメリカは日本の10倍はあると算出され、もっとも戦略的な物資・石油はアメリカから8割近く輸入していましたから、そんな国と戦うのは無茶だ、という話を内々で議論していました。
特にもっとも石油を使う海軍は備蓄量も戦争で使う消費量も把握していて、1940年の9月の段階で近衛首相からアメリカと戦ったらどうなるか聞かれた連合艦隊の山本五十六長官は、こう答えたそうです。
「半年や1年は暴れてみせますが、それ以降は皆目どうなるか分かりません」
実際、戦争の2年目、3年目には燃料が足りなくて、ろくに訓練もできなくなったので、海軍の想定は正しかったと言えるでしょう。


あらゆる計算が提出され、「長期的に見てアメリカと戦争するのは無理」という事が分かっていたのに、結局太平洋戦争は始まってしまいました。
陸軍は中国大陸での戦いを泥沼化させた手前、今更やめる訳に行かず、
海軍は膨大な予算をぶん取ってきた手前、今更「戦えません」とは言えず、
東条内閣は今まで散々国民に戦争を煽ってきた手前、今更「しません」と言えず、
権力者たちですら「空気」に抗えず、勝ち目が無い戦いに突入してしまったのです。


さらに言えば、陸軍は陸軍という組織のため、海軍は海軍のために、政府やその他の役所はクーデターが怖くて軍の言いなりで戦っていました。
日本という国とその国民を守るために働くという意識を関係者はほとんど持っていなかったのです。
戦争が終わった後も軍人のほとんどは戦争に負けた事や仲間が死んだ事には心を痛めていましたが、日本を滅ぼしかけた事や国民の命を危険にさらした事には無関心でした。
ただ一人、昭和天皇だけはなんとか戦争を止めさせようと最初から最後まで奮闘されていましたが・・・。


この辺りについて書かれた本はたくさんあって紹介しきれませんが、全体像を分かりやすく知るならこれがいいと思います。
●「戦略・戦術でわかる 太平洋戦争」 太平洋戦争研究会・編 日本文芸社




そして東条首相を影で支えた陸軍省・軍務局での開戦前の動きをドキュメント的に書いた傑作としておすすめなのがこちら。
●「陸軍省 軍務局と日米開戦」 保坂正康・著 中公文庫






福島第一原発は日本で初期に作られた原子力発電所で、老朽化もさることながら「津波に弱い」事は東日本大震災が起こる10数年前から指摘されていました。
これに影響され、他の何箇所かの原発では津波対策で防潮堤を高くしたり、電源を確保したりと「こっそり」対策をしました。
(対策していると公表すると原発は津波に弱いのか!?と騒がれるから「こっそり」と、です)

しかし当の福島第一を経営する東京電力はあらゆる指摘を無視しただけでなく、土木学会などに手を回して基準そのものを甘くするように働きかけていたらしい。
それも津波が来たらどうなるのか、かなり詳細に掴んでいて、全電源喪失する危険性がある事も分かっていながら、です。
その結果どうなったかは皆さんもご存知のとおりです。
本当に指摘された所をそのままトレースするように事故が起こり、今現在もメルトダウンした放射性物質を世界中の誰もどうすることも出来ていません。


なぜ津波がヤバいと分かっていながら東京電力は対策を取らなかったのか?
なぜそれを当時の原子力安全・保安院はチェックしなかったのか?
ズバリ「金」です。
稼働率が1%下がると100億円の損失が出る発電事業において、少しでも稼働に不利な情報は無視するのが一番の良策だったのです。
そして電力会社に天下りさせて頂いている保安院の方々も、東京電力様のご機嫌を損ねる訳にはいかなかったのです。


ここでも東電・保安院を始めとする電力事業者たちは、あくまで仲間を守るために働いていました。
そして放射性物質を撒き散らしてたくさんの人の住処を奪った後も、なお原子力をゴリ押ししようとしています。
日本という国やそこに住む人達は「仲間」ではないからどうでもいいのです。



福島第一原発の事故についてもかなりたくさんの文献がありますが、津波対策のサボタージュに対して特に参考になった本はこれです。
●「原発と大津波 警告を葬った人々」 添田孝史・著 岩波新書




70数年前と9年前の例からお分かり頂けるでしょうが、日本という国は昔から何も変わっていません。
今回のコロナウイルス騒動でも同じことを繰り返しています。


政府と関係機関は検査を抑えて感染者数を低く見積もり、表面的に「大したことがない」と見せていますが、いずれどうなるか正確に予測しているのではないかと思います。
たぶん、その通りになるでしょう。
太平洋戦争・原発事故のような未曾有の事態の再来です。
ヤバいと思いつつ、気づかないフリをして生活していた我々は、ある日を堺に地獄を見る事になるのです。
そうなった時でも、誰も責任を取るつもりがないのもこれまで通りでしょう。


しかし、今度はそういう訳にはいきません。
なんせ相手は肉眼では見えないし、話も通じない、忖度も遠慮もしないからです。
市民だろうが、官僚だろうが、総理大臣だろうが無差別かつ無慈悲に襲いかかってきます。
自分たちの不作為・無責任をウイルスに裁かれる事になるのではないでしょうか。


全てが終わった時、どうなっているのか私には想像もつきません。
しかし無事生き残った日本人は、戦争の時も原発の時もやらなかった事をやる責任があります。
皆が目を背け続けてきた様々な事柄について、真摯に真っ向から立ち向かう、という責任です。


「宿痾を断ち切る」
もう遅いのかもしれませんが、これが日本人にとって最後のチャンスでしょう。


陰極まれば陽と成す

2019-05-05 02:34:47 | 日記
東洋医学では人の体質を大きく4つに分けています。
すなわち「肝虚(かんきょ)・肺虚(はいきょ)・脾虚(ひきょ)・腎虚(じんきょ)」です。

「虚」というのは「欠けている」「足りない」という意味で、人間は必ずどこか足りない部分がある、特に足りない部分を「経絡」の考えで表したのがこの4つの分類です。
そして、その足りない部分を補おうとする行為が「生きる」という事です。
あちらを満たせばこちらが足らず、こちらを満たせばあちらが足らず、とエネルギーを動かしている状態こそ生命活動なのです。

どこもかしこも満たされて動きが止まった時が「死」です。
実際死ぬ前の人の脈を取ると平坦で乱れのないきれいな拍だそうで、昔の名医はこの「死脈」から余命を正確に当てたのだとか。
健康法の大家が割と早死するのは、健康になりすぎて「虚」が無くなってしまうからなのかも知れません。
調子が悪くなるのも、病気になるのも、欠けている所を補おうとする動きの現れで、生きている証拠と言えます。
「虚」があるからこそ生きていけるのです。


さて、本が増えすぎてしばらく購入を控えていた私ですが、ある時、
「ずいぶん本屋に行ってないから、買わないけどちょっとだけのぞいてみるかな」
と書店に立ち寄ってみました。

・・・この「ちょっとだけ」がよくありませんでした。

本屋に足を踏み入れた途端、何かがスパークしたのです。

久々に嗅ぐ新書の香り。
棚に並べられた瑞々しい果実たち。
に、本能を押さえることが出来ませんでした。
気がついたらお金を払って本を抱えていました。

買っちまったもんは仕方がねえ!
1冊も10冊も変わりねえ!
と逆上し、古本屋にも足を運んだら、しばし見てないうちに欲しかった本が山のように在庫されているではありませんか!

ダムの壁に入った小さな亀裂が一気に広がり、決壊するのにわずか数秒でした。

で・・・









とまあ・・・やっちまった訳で・・・その・・・。


そもそも狭い部屋にドドッと新たな書がなだれ込んで、冗談抜きで埋まりそうです。






蔵書管理の回でご紹介した様に1冊1冊にこの緑の付箋を張っているんですが、2500枚入のパックが底をつきかけています。






我ながら本当に恐ろしい。
人間の欲望は果てしないです。

あまりに大きな「虚」は、反転した時に猛烈な「実」を生み出します。
「陰極まれば陽と成す」
「災い転じて福となす」
のです。

「虚」を大きくし過ぎてはいけません。
我慢しているとその反動も大きくなります。
食べたくなったら食べるべき。
シたくなったらスるべきです。

という訳で、今後は欲望のままに本を買って「虚」を埋める事にしたのです。

(たぶん戦争って、こうやって起きるんだろうな)






古本まつりを浜松で

2019-03-03 01:17:36 | 日記
去年の話ですが、東京は神田・神保町の「古本まつり」に行ってきました。
通りに本を並べて古書ファンをおびき寄せ、ケツの毛までむしり取ろうというイベントですが、その意図が分かっていながら乗らざるを得ません。

リーマンショックが起こるまではよく足を運んでいましたけど、年収が半減して未だ回復しない近年は参加を控えていました。
なんせ行ってしまったらケツの毛をむしられるというより、自分でむしって差し出してしまいますからね。
金回りが良かった時なんか泊まり込んで手当たりしだい買いまくり、リュックから溢れた分は両手で抱え、それでも持ちきれない分はダンボールに詰めて宅配便で家に送っていました。

「バカじゃね?」と思う方、私なんかカワイイほうです。
本当にヤバイ人達の買い方はこんなものじゃありませんから。


さて、当日は別の用事もあって、そちらを軽く片付けてから神保町にハマり込むつもり・・・だったんですが。
その日ちょうどJR東海道線が工事か何かでブツ切れになっていました。
それを知らないでいつも通り在来線で上京してしまい、途中から横須賀線とかで迂回しながらようやく東京駅に辿り着いたのが正午。
のっけから予定狂いまくりでした。

結局、用事が済んだのが16時ごろ。
鈍行で帰らなければなりませんので、移動時間から逆算して神保町に滞在できるのは30分程度です。
何しに来たんだ・・・orz

それでも!
ブックハンターの意地にかけて、向かわざるを得ません。
荷物をコインロッカーに放り込み、地下鉄の最短経路を算出し、通路は風のように歩きます。

そしてついにやってきました。
ブックファンの聖地・東京神田神保町にっっっつ!!!

ここへ来たかったんだ。
俺は!
帰ってきたぞーーーっっつ!!!

カメラ持っていくのを忘れたので写真ありませんが、古書店街沿いに屋台みたいな書棚がズラッと並び、宵闇を提灯が照らして導きます。
まさに灯りに誘われる蛾の如く、古書ファンが吸い寄せられて行くのです。
私もやや自失気味にこの通りをフラフラと歩いていきました。

周りを見ると、どいつもこいつも本に釘付けになっています。
路地裏に据えられた大きな棚にビッシリ詰められた古書を、端から端まで舐めるように見ていく人の群れ。
そこには男も女も老いも若きも関係ありません。
野獣と化しています。
全国からやってきた古本を狩るケダモノたちです。
むろん私もその一匹だった事は言うまでもありません。

しかし30分で隅々まで見て回るのは無理があります。
結局ビニール袋一つ分ぐらい、目についた本を購入するのが精一杯でした・・・。

「うわーん!帰りたくないよー!!やだやだやだーーっ!!」」

と道に転がってダダをこねたかった。
もし私と同じ立場のブックファンだったら、絶対そう思ったはずです。
心の中で泣きながら古書店街を後にしたのでした。


いやーやっぱりいいわー神保町。
首都圏に住んでいたら毎週通いますね。

しかし静岡県に住んでいる以上、それは叶わない現実。
ならば!
こちらに作ってしまえばいいのです。
浜松駅の南側には寂れてシャッター街になったアーケードがあります。
ここを中部地区最大の古書店街にしてしまったらどうか、と勝手に考えています。

活字離れが進む日本ですが、それでもブックファンは根強く存在します。
どんなに電子化が進んでも紙の本は無くならないでしょう。
それを愛する人達も決していなくなりません。
なぜなら「本」は思い出のツールであり、未知の世界への入り口だからです。

紙の匂い、めくる時の感触、読んだ日の天気、その時の境遇、そしてそれらと内容の重なり。
書籍はその時々の自分を振り返らせてくれます。
それに、電子データと違って実物を手にするとワクワクします。
自分が体験出来ない事、知らない世界がギュギュッと押し込められている情報の爆弾ですから当然です。

そんな本がギッシリ詰まった町って、まさにワンダーランドではないでしょうか。

そういう場所を地元浜松にぜひとも作りたい。
寂れて久しい商店街を本の力で蘇らせたい。
本好きの聖地にしたい。
古本まつりを浜松で開きたい!

ブックファンの皆様、夢の国を私達の手で築いてみませんか?