働き方改革関連法ノート

労働政策審議会(厚生労働大臣諮問機関)や厚生労働省労働基準局などが開催する検討会の資料・議事録に関する雑記帳

求人サイト(検索エンジン・SNS含む)規制強化を職業安定法など改正案に

2021年12月08日 | ブログ管理者ノート
雇用仲介事業の在り方について(厚労省労政審)
本日(2021年12月7日)、厚生労働省「労働政策審議会(労政審)職業安定分科会労働力需給制度部会」が開催されたが、議題は「雇用仲介事業の在り方について」。

共同通信(「求人サイトを法規制対象に 厚労省、届け出制導入」2021年12月8日配信)は「インターネット経由で求人情報を提供するサイトなどを巡り、厚生労働省は(12月)8日、労働政策審議会の部会に規制案を示し、了承された。サイト運営者の届け出制度が柱。個人情報保護違反や、偽情報で人を集めた場合に罰則を科す。職業安定法などの改正案に内容を盛り込み、202022年通常国会にも提出する。22年度中の施行を目指す」と報じた。

「雇用仲介事業に関する制度の改正」報告書案
本日の労政審労働力需給制度部会の資料1は「雇用仲介事業に関する制度の改正について(報告書)(案)」。

「雇用仲介事業に関する制度の改正について」報告書(案)の第1基本的な考え方の4には「雇用仲介事業の機能強化と募集情報等提供事業の適正な運営を確保し、もって労働市場が的確かつ効率的に機能するための基盤を整備するため、雇用仲介事業に関する制度の改正を行い、次のような具体的措置を講ずることが必要である」と記載されており、雇用仲介事業(雇用仲介サービス)に関する法令の改正が行われるようだ。

雇用仲介事業制度改正報告書案・基本的な考え方
「雇用仲介事業に関する制度の改正について」報告書(案)の基本的な考え方としてはまず「IT技術等の進展に伴い、多種多様なサービスを提供している雇用仲介事業者が労働市場において果たす役割を積極的に評価し、労働市場において需給調整機能の一翼を担う者として位置づける必要がある」としている。

また「職業安定機関は、労働市場全体の需給調整機能を高め、実効的な雇用対策を講じることが重要であり、多様な雇用仲介事業者とも情報の共有や連携を進めていくことが求められている」と。

そして「雇用仲介事業者の位置づけを確固たるものとしつつ、利用者が安心してサービスを利用することができる環境とするため、雇用仲介事業者が依拠すべきルールをより明確にすべき」と提言。

さらに「AIやマッチングアルゴリズムの使用に係る留意点、労働条件の明示等その他の論点についても、今後、今回講じる具体的措置の状況を踏まえ必要に応じて検討を進めていくことが適当である」と指摘。

雇用仲介事業制度改正報告書案・具体的な措置
「雇用仲介事業に関する制度の改正について」報告書(案)は、報告朱(案)基本的な考え方に基づいて次のような具体的な措置を提案してる。

「雇用仲介事業に関する制度の改正について」報告書(案)
第2 具体的措置

1 雇用仲介事業者が依拠すべきルール
(1)募集情報等の的確性
ア 募集情報等の的確性を確保することは労働市場が的確かつ効率的に機能するために重要であり、職業紹介事業を行う者、求人者、労働者の募集を行う者、募集情報等提供事業を行う者及び労働者供給事業者は、雇用形態等の労働条件が実際と異なることがないよう、募集情報等や事業に関する情報を提供するに当たって、虚偽又は誤解を生じさせる表示をしてはならないものとすることが適当である。
イ 雇用仲介事業者が募集情報等を的確に表示することができるよう、求人者及び労働者の募集を行う者は、募集情報等について、正確かつ最新の内容に保たなければならないものとすることが適当である。
ウ 職業紹介事業を行う者、募集情報等提供事業を行う者及び労働者供給事業者は、募集情報等について、正確かつ最新の内容に保つための措置を講じなければならないものとすることが適当である。

(2)個人情報の保護
ア 雇用仲介事業者を利用する求職者等が、自らの情報がどのように使用されるかを理解し、納得してサービスを利用することができるよう、募集情報等提供事業を行う者を含め雇用仲介事業者は、業務の目的の達成に必要な範囲内で、当該目的を明らかにして求職者等の個人情報を収集し、当該収集の目的の範囲内で求職者等の個人情報を適切に使用しなければならないものとすることが適当である。
イ 募集情報等提供事業を行う者を含め雇用仲介事業者は、業務上取り扱ったことについて知り得た他人の秘密を漏らしてはならないものとすることが適当である。
ウ 募集情報等提供事業を行う者を含め雇用仲介事業者は、上記イのほか、その業務に関して知り得た個人情報等について、みだりに他人に知らせてはならないものとすることが適当である。
エ 我が国における個人情報保護法制との関係にも留意しつつ、個人情報の取扱いに関して本人の同意を得る場合の望ましい方法等について、指針において明確化することが適当である。

2 労働力需給調整の円滑化
(1)官民の連携
円滑な労働力需給調整のため、職業紹介事業者に加え、募集情報等提供事業を行う者についても、職業安定機関と雇用情報の充実等に関して相互に協力するものとすることが適当である。

(2)国による労働市場に関する情報の収集、提供
ア 国は、公共及び民間を通じた労働力需給調整の状況を把握し、公表することが適当である。
イ 国は、多様化する雇用仲介事業の実態を把握するとともに、人材サービス総合サイト等を有効に活用することにより、利用者にわかりやすく公表することが適当である。
ウ 国は、雇用仲介事業の実態に即した優良事業者認定制度の検討を通じ、利用者にとって優良な事業者がわかりやすくなるようにするとともに、優良な事業者の利用を促進していくことが適当である。

(3)事業者団体等との協力
ア 事業者団体等は、当該団体に属する職業紹介事業者又は募集情報等提供事業を行う者の事業運営が適正に行われるよう、団体に属する事業者に必要な協力等を行うことが適当である。
イ 国は、事業主団体等と協力し、職業紹介事業者又は募集情報等提供事業を行う者の適正な事業運営を確保することが適当である。

3 募集情報等提供
(1)定義
現在の職業安定法においては、以下のような場合については、募集情報等提供には該当しない。
・ 労働者となろうとする者又は労働者の募集を行う者若しくは募集受託者以外に対して労働者となろうとする者に関する情報又は労働者の募集に関する情報を提供する場合
・ 労働者となろうとする者又は労働者の募集を行う者若しくは募集受託者からの依頼を受けないで、労働者となろうとする者に関する情報又は労働者の募集に関する情報を提供する場合
このような場合であっても、以下のような場合については募集情報等提供に該当するものとすることが適当である。
ア 職業紹介事業を行う者又は募集情報等提供事業を行う者から依頼を受け、労働者となろうとする者に関する情報又は労働者の募集に関する情報を提供する場合
イ 職業紹介事業を行う者又は募集情報等提供事業を行う者に対して労働者となろうとする者に関する情報又は労働者の募集に関する情報を提供する場合
ウ 労働者となろうとする者の職業の選択を容易とすることを目的として労働者の募集に関する情報を収集し、労働者となろうとする者、職業紹介事業を行う者又は募集情報等提供事業を行う者に提供する場合
エ 必要な労働力の確保を容易とすることを目的として労働者となろうとする者に関する情報を収集し、労働者の募集を行う者、職業紹介事業を行う者又は募集情報等提供事業を行う者に提供する場合

(2)募集情報等提供事業者の把握
ア 労働者になろうとする者に関する情報を収集して募集情報等提供事業を行う者については、労働者になろうとする者と接して事業を行っていることから、より適切な事業運営の確保と指導監督のためにも届出制を導入し、その実態を把握することが適当である。
イ アの事業者について、以下のような事業の概要を定期的に職業安定機関が把握するものとすることが適当である。
(ア)提供している労働者の募集に関する情報や労働者となろうとする者に関する情報の規模
(イ)提供しているサービスの内容
(ウ)適正な事業運営のために取り組んでいる事項
ウ 届出等の手続については、事業者の過大な負担となることがないよう簡素なものとすることが適当である。
エ 指針に規定されている職業紹介事業と募集情報等提供事業との区分について、現状を踏まえ判断基準を明確化することが適当である。

(3)苦情処理
現在、職業紹介事業者においては紹介責任者が苦情処理を統括管理することとされている。募集情報等提供事業を行う者においても適切かつ迅速な苦情の処理に当たって必要な体制を整備しなければならないものとする
ことが適当である。

(4)求職者等からの報酬受領の禁止
募集情報等提供事業を行う者が、募集に応じた労働者から報酬を受領してはならないという指針の内容については、法令において規定することが適当である。

(5)事業情報の公開
利用者が納得して事業者を選択することができるよう、募集情報等提供事業を行う者は、取り扱う情報の的確性と個人情報保護のために取り組んでいることやサービス内容について積極的に公表するよう努めるものとすることが適当である。

(6)違反への対応等
ア 募集情報等提供事業の適正な運営の確保のため、ルールへの違反については、現行の助言・指導、報告徴収に加え、改善命令、停止命令、立入検査について法律に規定することが適当である。
イ (2)の労働者となろうとする者の情報を収集して行う募集情報等提供事業の届出の手続の法定に伴い、届出義務違反等に対する罰則規定を設けることが適当である。
ウ 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で募集情報等提供を行うことや、虚偽の広告をして募集情報等提供を行うこと等に対する罰則規定を設けることが適当である。

4 関係法制度の必要な整備
このほか、関係法制度について、必要な整備がされることが適当である。(厚生労働省サイトより)


追記:求人サイト、規制強化へ 検索エンジン・SNSも対象(朝日新聞)
朝日新聞デジタル(「求人サイト、規制強化へ 検索エンジン・SNSも対象」2021年12月9日は「転職サイトなど人材サービスの求人内容や個人情報の扱いをめぐる法規制が広がる見通しになった。利用者や求人企業の保護を図るため、求人の検索サービスやSNSも法規制の対象とすべきだ、とする報告書を厚生労働省の有識者検討会が8日まとめた。改正案は来年の通常国会に提出される予定だ」と報じた。

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