働き方改革関連法ノート

労働政策審議会(厚生労働大臣諮問機関)や厚生労働省労働基準局などが開催する検討会の資料・議事録に関する雑記帳

厚生労働省・精神障害(疾患)労災認定基準専門検討会(第1回)

2021年12月07日 | パワハラ防止
精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会
本日(2021年12月7日)、厚生労働省「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」(第1回)が厚生労働省議室にて開催されるが、議題は「精神障害の労災認定の基準について」。

なお、「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」開催要綱などの第1回専門検討会・配布資料が昨日(12月6日)厚生労働省のサイトに公開された。

第1回「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」資料
資料1 専門検討会開催要綱
資料2 精神障害の労災補償状況等
資料3 精神障害事案に関する審査請求・訴訟の状況
資料4 精神障害の現状(患者数、自殺者数)
資料5 精神障害の労災認定に関する関係法令
資料6 精神障害の認定の基準の改正の経過
資料7 精神障害の労災認定に関する関係通達
資料8-1 精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会報告書(平成23年11月8日)
資料8-2 精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会報告書(令和2年5月15日)
資料9-1 令和2年度ストレス評価に関する調査研究報告書
資料9-2 令和2年度業務上疾病に関する医学的知見の収集に係る調査研究(精神障害)報告書
資料10 精神障害の労災認定の現状・課題と論点(案)について
資料11 精神障害の労災認定の考え方について
資料12 ICD‐10準拠「疾病、傷害及び死因の統計分類」第V章精神及び行動の障害
資料13 精神障害の労災認定の考え方に関する最近の裁判例


第1回「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」資料(厚労省サイト)

精神障害労災認定基準専門検討会・開催要綱
「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」開催要綱によると、今回の専門検討会の検討事項は「パワーハラスメント対策の法制化を踏まえた認定基準の検討」および「精神障害に関する最新の医学的知見等を踏まえた認定基準の検討」など。

精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会開催要綱
1 趣旨・目的
業務による心理的負荷を原因とする精神障害については、平成 23 年 12 月に策定した「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(以下「認定基準」という。)に基づき労災認定を行っているところであるが、精神障害に係る労災請求件数は、平成30年度には 1,820 件にのぼり、6年連続で過去最多を更新しており、今後も増加が見込まれる状況にある。
また、認定基準の策定以降、働き方の多様化が進み、労働者を取り巻く職場環境が変化する中、令和元年6月にはパワーハラスメント対策が法制化されるなど、新たな社会情勢の変化も生じている。
このような状況を踏まえ、大臣官房審議官(労災、建設・自動車運送分野担当)が、臨床精神医学者や労働者災害補償保険法等に精通した専門家に参集を求め、最新の医学的知見に基づき、専門的見地から認定基準について検討を行うこととする。

2 検討事項
(1) パワーハラスメント対策の法制化を踏まえた認定基準の検討
(2) 精神障害に関する最新の医学的知見等を踏まえた認定基準の検討
(3) その他

3 検討会の構成等
(1) 本検討会は、別紙の医学及び法学専門家を参集者とする。
(2) 本検討会には、座長をおき、検討会を統括する。
(3) 本検討会の座長は、参集者の互選により選出する。
(4) 本検討会には、必要に応じ、別紙参集者以外の関係領域の専門家の参集を依頼することができるものとする。また、必要に応じ、分科会を開催することができる。

4 その他
(1) 本検討会は、原則として公開とする。ただし、検討事項に個人情報等を含み、特定の個人の権利又は利益を害するおそれがあるときは非公開とする。
(2) 上記(1)ただし書きの場合において、本検討会に参集した者は、本検討会で知ることのできた秘密を漏らしてはならない。また、検討会終了後も同様とする。
(3) 本検討会の参集及び運営に関する庶務は、厚生労働省労働基準局補償課職業病認定対策室で行う。
(4) 本要綱に定めるもののほか、本検討会に関し必要な事項は、本検討会において定める。


精神障害労災認定基準専門検討会・名簿
「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」開催要綱には参集者(委員)名簿が掲載されている。

「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」参集者名簿
阿部未央 東北学院大学 法学部 教授
荒井稔  日本私立学校振興・共済事業団 東京臨海病院統括産業医、特任精神科医
黒木宣夫 東邦大学 名誉教授、勝田台メディカルクリニック 院長
小山善子 石川産業保健総合支援センター 所長、金城大学 客員教授
品田充儀 元労働保険審査会 会長
田中克俊 北里大学大学院 医療系研究科 産業精神保健学 教授
中野妙子 名古屋大学大学院 法学研究科 教授
中益陽子 亜細亜大学 法学部 准教授
丸 山総 一 郎 神戸親和女子大学 名誉教授
三柴丈典 近畿大学 法学部 教授
吉川徹  独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 過労死等防止調査研究センター 統括研究員


精神障害(疾病)労災認定基準の改正経過
また第1回「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」配布資料の資料6は「精神障害の認定の基準の改正の経過」について簡略に記載されている。

精神障害の認定の基準の改正の経過
○ 昭和 59 年
設計技術者に生じた反応性うつ病を業務上と認定
○ 平成 11 年9月(策定)
「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針について」
「精神障害による自殺の取扱いについて」
・ 精神障害の労災請求が増加したことを背景に、事案を迅速・適正に処理するため、一定の基準を明確化する必要が生じたことから、判断指針を策定
・ 判断要件を示し、「職場における心理的負荷評価表」に基づき、心理的負荷の強度を評価
・ 業務上の精神障害を発病した者の自殺について業務起因性を推定
○ 平成 21 年4月(改正)
・ 「職場における心理的負荷評価表」の見直し(「ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」の追加等)
○ 平成 23 年 12 月(策定)
「心理的負荷による精神障害の認定基準について」
・ 精神障害の労災請求が大幅に増加したことから、審査のさらなる迅速化及び効率化を図るため認定基準を策定し、基準を具体化・明確化
・ 「業務による心理的負荷評価表」において、「強」「中」「弱」の心理的負荷の具体例を明示
・ 極度の長時間労働や「強」の心理的負荷となる時間外労働時間数を明示
・ 発病後に特に強い心理的負荷により悪化した場合は、業務上の疾病として取り扱う
・ 「セクシュアルハラスメント」を独立した分類とし、評価に当たっての留意事項を明示
○ 令和2年5月(改正)
・ 「パワーハラスメント」を「業務による心理的負荷評価表」に明示し、具体的出来事を明確化
○ 令和2年8月(改正)
・ 複数業務要因災害に対応


パワハラなどによる精神障害労災請求増加のため基準全般を検証
時事ドットコムニュースは「厚生労働省は(12月)7日、うつ病など精神障害の労災認定基準の見直しについて議論する検討会を開いた。業務の心理的負担やパワーハラスメントなどによる精神障害の労災請求件数が増加している。このため、基準全般に関して検証し、迅速で適切な審査の実現を目指す。抜本的な見直しとなれば、2011年に現在の基準が策定されて以来となる」と報じた。

厚生労働省は7日、うつ病など精神障害の労災認定基準の見直しについて議論する検討会を開いた。業務の心理的負担やパワーハラスメントなどによる精神障害の労災請求件数が増加している。このため、基準全般に関して検証し、迅速で適切な審査の実現を目指す。抜本的な見直しとなれば、2011年に現在の基準が策定されて以来となる。

厚労省によると、20年度に精神障害で労災請求された件数は2051件で、うち608件が労災認定された。10年前と比べ、請求件数は約1.7倍、認定件数は約2倍に増加。請求から認定までの審査が長期化している。(時事ドットコムニュース「精神障害の労災基準見直し議論 請求増加で―厚労省検討会」2021年12月7日配信)


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