大阪フィルハーモニー交響楽団 第564回定期 尾高忠明 ブルックナー 交響曲第7番 ほか | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

大阪フィルハーモニー交響楽団

第564回定期演奏会

 

【日時】

2023年1月19日(木) 開演 19:00

 

【会場】

フェスティバルホール (大阪)

 

【演奏】

指揮:尾高忠明

管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団

(コンサートマスター:須山暢大)

 

【プログラム】

池辺晋一郎:交響曲 第10番 「次の時代のために」

ブルックナー:交響曲 第7番 ホ長調 (ハース版)

 

 

 

 

 

大フィルの定期演奏会を聴きに行った。

指揮は、音楽監督の尾高忠明。

 

 

 

 

 

前半の曲は、池辺晋一郎の交響曲第10番。

この曲は、仙台フィルの委嘱で2015年に作曲され、翌年に尾高忠明の指揮で初演されたらしい。

つまり、初演者による実演を聴くという贅沢な体験をしたことになる。

 

 

初めて聴く曲だが、聴いてみての印象は、ショスタコーヴィチの交響曲を少しシェーンベルク寄りに晦渋にして、コンパクトかつマイルドにしたような感じか。

冒頭はシェーンベルクの室内交響曲第1番のように音が一つ一つ上へと積み重なって始まり、第1楽章の終わりにそれが再現されたから、耳当たりの良い曲ではないにせよ構成としては割と古典的なのかもしれない。

 

 

16型、三管編成のしっかりと大きな編成人数をもった曲であり、こういった昔ながらの「交響曲」を定期的に書く作曲家というのは、今ではもう絶滅危惧種と言っていいだろう。

いわゆる“第九の呪い”も乗り越えての交響曲第10番、そして今は第11番を作曲中とのこと。

末永い活躍を期待したい。

 

 

 

 

 

後半の曲は、ブルックナーの交響曲第7番。

この曲で私の好きな録音は

 

●フルトヴェングラー指揮 ベルリン・フィル 1941年2月2-4日ベルリンライヴ盤(CD) ※断片

●カラヤン指揮 ウィーン・フィル 1989年4月18-23日セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube1234

●ナガノ指揮 バイエルン国立管 2010年9月ヘントライヴ盤(Apple MusicCD

 

あたりである。

いずれも「神々しさ」と「厳しさ」を兼ね備えた名盤。

また実演では、2016年のメータ指揮ウィーン・フィルの名演を私は生涯忘れないだろう(その記事はこちら)。

 

 

今回の尾高忠明&大フィルは、上記の名盤たちのような「神々しさ」はあまりなく、どちらかというと軽快な解釈だけれど、「厳しさ」がしっかりあるため、浮ついた雰囲気になることなく質実さが滲み出る、そんな演奏だった。

「厳しさ」とは、具体的には、曲の局所的な美しさに囚われることなく、しっかりと流れを見据えてテンポや表現を律することである。

 

 

特に第1、3、4楽章が良く、サクサク進むがしっかり引き締まっており、すっきりと美しい。

第2楽章はさすがにもう少したっぷりと歌ってほしくなるが、クライマックス部もタメることなくぐんぐん進むのを聴くと、潔ささえ感じた(ちなみにハース版だが打楽器はティンパニのみあり)。

 

 

大フィルのブルックナー第7番というと、朝比奈隆&大フィルの1975年ザンクト・フローリアン修道院ライヴ盤が伝説的に有名である。

朝比奈隆&当時の大フィルの「神々しさ」は特筆すべきものだが、尾高忠明&今の大フィルの「厳しさ」のある第7番は、“朝比奈隆の呪い”を乗り越えたと言ってもいいかもしれない。

 

 

 

(画像はこちらのページよりお借りしました)

 

 


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