お墓の承継・相続

現在の民法では、お墓の承継者についての規定はありません。

また、お墓は「祭祀財産」ですので、通常の「相続財産」とは取り扱いが異なってきます。



■お墓の承継者


通常、先祖代々受け継がれてきたお墓については、その子供(あるいは親戚)が受け継ぐものと考えられています。

しかし、戦前の家督制度とは違い、現在の民法ではお墓の承継者についての規定はないのです。


つまり、血縁者でない者を含めて、誰がお墓を受け継いでもよいことになっています。


とは言っても、法律とは別に、墓地所有者と結んだ「墓地の使用契約」の存在を無視するわけにはいきません。


「同姓の者に限る」「三親等以内の者に限る」などと規定されている場合があるので、もしもその規定に外れてしまうような場合は、事前に墓地所有者と話し合っておいたほうが良いでしょう。

特に少子化が進んだ現代では、第三者がお墓を承継することは十分にあり得る話になっています。



■相続財産との関係


家や土地などの不動産、そして預貯金などを合わせた「相続財産」に対して、墓地や墓石・仏壇・仏具などについては「祭祀財産」と呼び、別の財産と考えています。

名前だけの違いではなく、財産としての扱い方そのものに大きな違いがあるのです。


まず、第一に「祭祀財産」については相続税がかかりません。

そして、次に「祭祀財産」は分割して承継することができないのです。


「祭祀財産」の承継者は必ず一人である必要があります。


また、当然に「祭祀財産」を承継した者は、先祖代々を祀ってあるお墓を “維持し続ける” 義務を負うことになります。

「祭祀財産」の承継者が、「祭祀主宰者」とも呼ばれる所以です。



■お墓の承継の手続き


お墓を承継することが決まったら、まずは墓地管理者に連絡をします。

墓地によっては、届出があまりに遅れると墓地の使用権を失ってしまうこともあります。


そして、一般的には、次のような書類を用意して、名義変更の手続きをすることになります。

 ・申請書(名義変更手続き)
 ・戸籍(旧名義人の死亡が記載されているもの)
 ・承継者の戸籍、住民票(本籍の記載のあるもの)
 ・承継者の実印(印鑑登録証明書)
 ・墓地使用許可証(永代使用許可証)

その他、旧名義人の遺言等により承継する場合はその「遺言書」、親族以外の者が承継する場合は「理由書」が必要になる場合があります。


また、手数料が必要になることは言うまでもありませんが、お布施や寄附金が必要になる場合もあるようです。