【2021年9~11月】石川県加賀市 獅子舞取材 二ツ屋町

10月12日

18:00~ 二ツ屋町

区長の田村圭一さんにお話を伺った。獅子頭が2つあり、新しい獅子頭の方は昭和54年8月に京都の井筒商店で作られ、その際に蚊帳も作ってもらったことが箱に書かれている。獅子頭はTの字のような持ち手の縦棒が少し削られており、持ちやすくなっている。こちらの獅子頭の髪の毛は長い。雌獅子と言われている。古い獅子頭は耳が取れてしまった。内部をテープや布などで補強してある。蚊帳の模様は京都で作られたからか、加賀市内ではかなり珍しい柄だ。地域のお宮さんである白山神社を示す矢のマークがデザインとして使われているほか、矢を当てる的のような赤色・黄色・茶色の丸を描くデザインが採用されていた。蚊帳の中は赤色をしている。このような蚊帳を使う地域は今のところ他に見たことがない。太鼓は獅子頭より古そうな大きなものが1つあるが、実際の年代はよくわからない。獅子舞用の小さめの太鼓も合わせると、2つの太鼓がある。

f:id:ina-tabi:20211012235706j:plain

二ツ屋町は現在、町内に24軒の家がある。昔は青年団が獅子舞の担い手を務めていたが年齢が定かではなく、田村さんが30歳の頃に引越ししてきた時に青年団に誘われなかったので、それよりも若い人たち青年団をしていたと思われる。若い人がいなくなり、10年前から保存会が獅子舞を運営している。この保存会には現在、20代から60代までの人が所属している。最年少の人は社会人になり仕事の関係であまり参加できなくて、町外に住んでいる状況だ。保存会の会長さんが3年前に職を降りたので、次の人を立てねばならず、話し合いの場を設けて新しい人を探そうとしているところだ。

現在は、コロナ禍で2年ほど獅子舞を実施していない。2019年の夏に実施したっきりである。祭りの日は8月の第3日曜日だ。一時期、涼しい10月に時期をずらしたことがあったが、やはり夏に祭りがないのは寂しいということで8月に戻した。いつも11時ごろから神社でスタートすることが多いが、神主さんの都合で13時から始まったこともある。町内全部を回ったのは、10年前が最後だ。ご祝儀は平均5000円ほどなので、他町と比べて比較的高い。

獅子舞の演目は1つで呼び名はない。舞い方は激しく、低い姿勢が多いので体力が必要だ。玄関に入って口をパクパクさせるシーンがあるが、獅子頭を上に向かせて入るので、鼻の頭をぶつけることが多く、新旧共に獅子頭の鼻がすり減っている。また、玄関に入れるように、太鼓の位置は中央ではなく、獅子から見て右か左の片側に寄せる。太鼓2人(小バチ・大バチ)と獅子3人という構成だ。2018年10月7日に神社を新しくした際に、獅子舞を舞った時の動画を拝見した。獅子が終始上を向いているのが印象的だった。下を向いて睨みを効かせるような獅子ではない。また、太鼓の方に向かって終わるのではなく、後ろに下がって舞いを終えるというのがユニークだと感じた。

f:id:ina-tabi:20211012235333j:plain