CAPTION:パリコレクション春夏
Uはパリに到着して、コレクションが行われるギャラリーの中の控え室で、入念にデザイナーやスタイリストと打ち合わせをしていた。デザイナーとは英語で衣装合わせをし、スタイリストとも鏡に顔を映してメイクを施されていた。
→鏡に映る自分の顔のメイク、大鏡に映る衣装を着たU
そして、大勢の選び抜かれた海外のモデルが集結していて、ひょいと小話を挟む。どこの国出身なのかとか、身長はどのくらいなのかとか。
そして、いよいよ筆頭デザイナーが登場し、モデルたちに挨拶をして、このコレクションに対する意気込みを語る。
筆頭デザイナー:「You enjoy the show!」
モデルたち:「Yes!」
そして、いよいよパリコレクションが始まり、モデルたちが次々にランウェイを優雅に、そして、軽やかにウォーキングする。大勢の観客が席を陣取り、春夏の衣装を鋭い批評眼で見る。
そして、ついにUの出番が来た。Uはやや緊張を隠せない様子だったが、念願叶ってこのランウェイを優雅に歩く。モデル事務所で何度も行ってきたウォーキングの成果が現れ出る。そして、日本の鳥取のモデル事務所の女性社長のNが言っていたように、またアイダホのモデル事務所の社長のSも念押ししていたように、宝石の州アイダホを意識して、左手の薬指には夫となったXから受けたダイヤモンドの指輪が、首にはあのスター・ガーネットのネックレスがつけられ、それらは高貴に輝いていた。麗しいジュエリーたちがひときわ目立つ。
Uはパリコレクションのランウェイを歩き、ある地点で足を止めてポージングを取ると、大勢のカメラマンから無数のフラッシュを浴びた。
27歳のU(V.O.):「私は今、パリコレクションに出ている。紛れもなく。苦しかったモデル事務所での練習。何度も諦めかけた。それでも、私は諦めなかった。Never give up on your dream。あなたの心は限りなく」
そして、再び歩き出し、軽やかな足取りで威厳あるモデルとしてストロボが焚かれている。
CAPTION:ミラノコレクション秋冬
→場面をパリからミラノに移し、季節も春夏から秋冬へと。先ほどのパリのランウェイを歩いている春夏の衣装を着たUから、ミラノのランウェイを歩く秋冬の衣装を着たUへ→ミラノの街並みをWide Shot
ミラノコレクションのランウェイを軽快に歩く。本当にここまで来るのに長年かかったし、苦労も人一倍してきた。この2つのコレクションの様子は日本でもテレビで放送され、鳥取にいる父と母はしっかりと娘の晴れ舞台を見届けた。
ミラノでもカメラマンから無数のシャッターが切られ、その中央にUがいる。腰に手を当て、威厳高くポージングを取る。もちろん、体には宝石の光輝くジュエリーがつけられている。
コレクションの終わりに、モデルが総出で出てきて、ランウェイを一斉に歩く。Uのその中にいた。そして、最後に筆頭デザイナーが出てきて、多くの観客の拍手を浴びる。拍手喝采で幕を閉じた。
その後も、Uはロンドンコレクションやニューヨークコレクションにも出演し、瞬く間に世界のモデルへと成長を遂げた。
27歳のU(V.O.):「自分でも信じられない。夢が叶った瞬間は言葉が出てこないと言うけれど、私は喜びのあまり、身が震え上がった。しっかりとした足取りで、ランウェイを歩いたつもりだけど、これほど忘れがたいウォーキングは後にも先にもない」