むすんで ひらいて

すべてが帰着するのは、ホッとするところ
ありのままを見て、気分よくいるために

なんで死んじゃったの

2024年04月06日 | こころ
12年前に知り合って、
愛情と「何か」がたしかにあって、
一年八か月の間、一緒に暮らし、
別れた人がいました。
彼のことを、ぱんだくんと呼んでいました。

ぱんだくんに一昨年の秋、
がんが見つかったと知らされました。

でも、連絡を取り合えない状況だったので、
間接的に、少なくとも5年は、
そしてもっともっと、生きられそうな現状だけを
2月末まで伝え聞いていました。

ぱんだくんとは、友愛のようなものはあったので、
何年後かに落ち着いたら、
また話せる気がしていました。

そしてこの2月末、わたしは以前ぱんだくんと
暮らしていた家から、新天地に引っ越しました。

そして3月末の深夜2時頃に、
わたしはPCに向かって動画の編集をしていました。
その時、隣の部屋のキッチンで
カサっと布の擦れるような音がしたので、
振り向きました。

闇の中になにか、ぼーっと青黒い、淡い影のような、
まぁちょうど成長したパンダくらいの大きさの
卵型のものを見たような気がしました。

4、50代の男の人だ。誰だろう。
この部屋に前住んでいた人かな。
と、ちょっと不安になって見ていると、
カウンターを回ってスーッと
こっちの方に移動してきて、
またふわぁっと気配がなくなりました。

わたしはそろそろと立ってキッチンに行き、
電気をつけてタオルか布か落ちたのではと
見回しましたが、床には何もありませんでした。

そういえば引っ越してひと月経つけど、
こんな気配を感じたことはなかったよな。。と、
なんだかへんな気がしましたが、
また編集に戻り、時々後ろを振り返っていました。

4月3日の夜。
知り合いから、ぱんだくんが
3月末に亡くなったと聞きました。
涙があふれて、それ以来わたしは、
ぱんだくんとの間にあった、さささやかな
よかったことを思い出してばかりいます。

またずっと先に、何かのカタチで
つながりを持てると思っていたから、
それが急に途切れて、じぶんの一部を
もぎ取られたような気がします。

こんなに早く亡くなってしまうことが、
もしわかっていたら。
いろいろな事情はあったけれど、ほんわかして
やさしいところは好きだったことを、
この後も元気でやっていてほしいと
思っている気持ちを、伝えておきたかった。

ぱんだくんは、50才で、
四月一日に誕生日を迎えるところでした。
ぱんだくんは、生きようとしていました。
ぱんだくんは、優秀なITエンジニアでした。
議論好きなところと、自分でも想像力がないと
言っていたところの、通じ合えなかった
あれこれで、わたしは悲しかったの。

でもね、童顔で、
ほっぺたが子供のようにふっくらしていて、
仰向けに寝転んで膝を立てた左足の腿に、
右足の脛をかけて携帯を見ている
くつろいだ姿が好きだったよ。
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