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あなたは、「保留コーヒー」って聞いたことありますか?
<保留コーヒーとは>
三人の弁護士が七杯のコーヒーを注文し、四杯を”保留”にしていった。
暖かい日差しの中、私はカフェの前にある広場の眺めを楽しみながら、コーヒーの”保留”について思いを巡らせていた。
すると突然、みすぼらしい服を着た物乞いの男がカフェのドアを抜け、店員に丁寧にこう聞いた。
「すみませんが、”保留”のコーヒーはありますか?」
それはとてもシンプルな答えだった。
人々は、暖かい飲み物を買う余裕のない誰かのために”先払い”をしていたのだ。
この風習はナポリで始まり、世界中に広まっていった。
今ではコーヒーだけでなく、サンドイッチやパンも”保留”できる場所が現れるようになったという。
思えば私がフランスパリで生活している間も、市民がホームレスを助ける姿は沢山みてきました。
今回は、私が実際にヨーロッパ生活中に体験したこと、見てきたことを踏まえ「保留コーヒー」について考えていきたいと思います。
Contents
ヨーロッパは困っている人を助ける文化
フランスのパリの路上や、地下鉄のホームには沢山のホームレスがいます。
私は現在日本に住んでおり、やはり新宿や大阪の新今宮などでは沢山のホームレスがいるのを見かけますが、そんな人たちへの対応の違いを感じるのです。
ホームレスを助けるパリ市民
日本ではあまり見られない光景かもしれませんが、パリのホームレスは「物乞い」をするのが通例となっています。
地下鉄に乗っていて度々遭遇するのが、ホームレスが車両に乗ってきて
「私は○○(名前)です!食べ物を食べたいのです!どうか助けてください!」
というようなことをまず叫び、その後小袋を片手に乗客1人1人にお金を求めてくるというもの。
これ、日本でやったとしても笑い者にされるか、関わりたくなくて目も合わせない人がほとんどだと思いませんか?
実際、私も
「怖い。関わりたくない。」
という気持ちが先行し、声をかけられても下を向いたまま首を横に振るようにしていました。
ですが、パリ市民の反応は全く違います。
バッグを開けて財布を出し、小銭を渡す人。
中には大きな額のお札を渡す方までいるんです。
私の友人は、物乞いの方に渡す用の小銭を常にズボンのポケットの中に忍ばせていました。
地下鉄で物乞いに遭遇するのは、私的に正直あまり良い出来事ではないです(まあ慣れてしまうのですが)。
でもホームレスを助ける、困っている人に手を差し伸べる、という素晴らしい考えが根付いていることを感じられる体験の一つでした。
キリスト教の教え
なぜ、「困っている人を助ける」という文化が根付いているのか。
それは、宗教の教えもあるのだと感じています。
日本で暮らしているとあまり宗教のことなど気にしませんが、一歩海外に出ると日本は特殊な国なのだと感じずには入られません。
日曜日に教会に行く人、食べる前にお祈りをする人、よく街で見かけます。
フランス人はキリスト教を信仰している方が多いですが、その教えの中に
「目の前で困っている人がいたら、隣人のように助けてあげなさい」
というものがあるそうです。
私が日本の東京で暮らしていて感じるのは、「人の冷たさ」です。
満員電車で人が挟まろうが、日常茶飯事で誰も助けようとしません。
混雑したホームでぶつかられようが、「すみません」と謝られることもほぼありません。
電車で席をゆずる光景にもあまり出くわしません。
フランス人は「クール・冷たい」なんて言われているので、意外かもしれませんが
駆け込み乗車で人が挟まったら、周りの人が一斉にドアを押し開けます。(何なら駆け込み乗車しようとする人を見つけたら、ドア思いっきり抑えて待っててくれる人います。)
ホームでちょっとでもぶつかったら「すみません」って言ってくれます。
お年寄りが乗ってこようものなら、周りの人が一斉に席を譲ります。
ちょっと話が逸れてしまったかもしれませんが、基本的には
「弱者を助ける」・「周りに困っている人がいたら迷わずに助ける」
ということが、当たり前のようにできているのだと感じさせられます。
日本では「見て見ぬ振り」というものがありますが
フランスではその「見て見ぬ振り」というものがないように感じるのです。
保留コーヒーを日本に導入したら?
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保留コーヒーは、イタリアのナポリで始まり、その後世界中へと広がっていったようです。
では、今後日本でも「保留コーヒー」という文化は根付いていくのでしょうか?
フランスのスーパーでの出来事
ある日、パリ市内のスーパーで買い物をしていたらボロボロの服を着て、穴の空いた靴を履いたホームレスのおじいちゃんがレジに並んでいるのが目に入りました。
何日もお風呂に入っていないのでしょう。
異臭は凄まじく、私は近くに近寄ることもできませんでした。
そのおじいちゃんのカートの上の買い物カゴの中にワインが5本ほど、そして下のカゴにわずかな食材が入っていました。
物乞いで集めたお金を持ってスーパーに来たのかもしれませんね。
そして、そのおじいちゃんがレジをするタイミング。
ヨボヨボとおぼつかない足取りだったので、買い物カゴの中の重いワインをレジに置けるのか、正直不安に思いながら見ていました。
周りの人も気になっていたのでしょうか。
すぐに手助けに入ったのは、買い物客で近くにいた綺麗なお姉さんでした。
異臭がするにもかかわらず、そのお姉さんはおじいちゃんをつきっきりで手助けし、何事もなかったかのようにその後自分の買い物も済ませていました。
たとえそのお姉さんが助けなくても、他の人が迷うことなく助けに入ったでしょう。
他の買い物客もそのおじいちゃんを遠巻きにするでもなく、普通に受け入れているように見えたので。
日本人が受け入れることは難しいのではないか
カフェで静かにコーヒーを飲んでいたとします。
そこに、ホームレスの方がやってきて「保留コーヒー」をくださいと言い、隣の席に座ったとします。
その人は何日もお風呂に入っておらず、もちろん異臭も漂ってきます。
あなたはこの状況を受け入れることができますか?
おそらく受け入れられないという意見の方が多いのではないでしょうか。
そのカフェには行きづらくなってしまうかもしれません。
中にはお店に苦情を言う人まで出てくるかもしれません。
フランスのパリでは、ホームレスが普通に電車やバスを使い、スーパーで買い物をする姿も度々見かけました。
周りの人がそれを避けるようなそぶりをほぼ見たことがありません。
でも、これが日本だったら。
パリのようにはいかないのではないかと思わざるを得ません。
日本式保留コーヒーの実践
そんな中、日本でも保留コーヒーを実践している店舗があるようなので、紹介していきたいと思います。
そのお店が、川崎市にある「トラットリア・レ・サルデ」です。
トラットリア・レ・サルデ
川崎駅から歩いて6分ほどのところにあると言う、「トラットリア・レ・サルデ」。
イタリアンのお店なのですが、店主は以前イタリアでも修行していた経験があり、「保留コーヒー」と言う文化を知っていたそう。
日本でもできないか、ということで保留コーヒーを始めたそうです。
でも、その形態は少し特殊なものでした。
募金という形
まず、募金という形でお客さんにお釣りを入れてもらいます。集まったお金の2倍の金額をお店からだし、募金総額という形にします。
その集まったお金をランチ券にして、NPO法人セカンドハーベスト・ジャパンにお願いして困っている人に渡してもらっています。
出典:http://www.pref.kanagawa.jp/docs/md5/cnt/f536320/p1123494.html
ランチ券は、母子家庭の人たちにお子さんの入学祝いや進学祝いとして渡され、利用されたようです。
保留コーヒーとして「募金」という形をとってみるのは、私たち日本人にも受け入れやすいですね!
また、物乞いとまではいかなくとも、生活に困っている人であれば
お店に「保留コーヒーをください」というのは気が引けますが、「ランチ券の利用」は気軽で良い考えだと感じました。
日本式保留コーヒー
ヨーロッパのようにカフェで受け入れるのは難しいかもしれません。
けれど、保留コーヒーとして各々のカフェで募金を集めて支援施設に送るなど、できることは沢山あると思います。
まずは、日本式に形を変えて浸透していけば、困っている人の助けになる場面は多いと思うのです。
良いところは真似しあって、向上していくのが1番ですよね。
ヨーロッパの素晴らしい文化として、今後日本にも浸透していけばと思わずに入られません。
まとめ
保留コーヒーとは、ホームレスや生活に困っている人がコーヒーを飲めるように、他の人が先に料金を支払っておくという制度。
ヨーロッパでは困った人を助けるという文化が根付いており、そんな素晴らしい文化から生まれたものなのかもしれません。
私はフランスに1年ほど住んでいましたが、日本人よりも「周りに困っている人がいたら助ける」という考えがしっかりと根付いていることを感じました。
ホームレスがカフェでコーヒーを飲めるように、というのは日本ではまだ難しいかもしれませんが。
募金などといった違う形で根付いていったら、素敵だと思うのです。
まだまだ認知度は低いですし、課題はあるかもしれませんが、日本にも浸透していってほしいですね。
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