長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『スピリテッド』

2022-11-30 | 映画レビュー(す)

 ほとんど宣伝されない体制のため全ての作品がSneakPeakのようなappleTV+で何とウィル・フェレルとライアン・レイノルズが共演するクリスマスコメディが配信中だ。フェレル扮するクリスマスの精霊が対立を煽る炎上マーケティング会社の社長レイノルズを改心させようとする現代版『クリスマス・キャロル』で、しかも本格ミュージカル!『プロデューサーズ』『ユーロビジョン』など、歌わせても可笑しいフェレルを担ぎ出していることはもちろん、レイノルズが歌って踊るのも嬉しく、ショーン・アンダースとジョン・モリスの監督コンビによる演出は気合十分。手数の多いミュージカル演出から“お約束”を逆手に取ったメタ的ギャグまでバラエティ豊富で、昨年の活況から一転、弾不足のジャンルにおいて“2022年ベストミュージカル”の座を獲得したと言ってもいいだろう。彼らが手掛けた脚本もツイストが効いていて(時に効きすぎてクドくもあるが)、最後まで楽しく観ることができた。

 ライアン・レイノルズは近年『フリー・ガイ』『アダム&アダム』等、捻りの効いたプロットに『デッドプール』由来の人を食ったギャグ、それでも最後はフィールグッドな後味の“ライアン・レイノルズ映画”を確立させた感がある。ウィル・フェレルを御せるのはマーク・ウォルバーグくらいしかいないと思っていたが、ここでは配役の妙も活かして先輩の胸を借り、のびのびと歌う相性の良さに改めて得難い個性を持った俳優だなぁと思った次第である。ヒュー・ジャックマンをウルヴァリン役で呼び戻すディズニー製作下の『デッドプール3』で、この才能は最高作を生むだろう。楽しみに待ちたい。


『スピリテッド』22・米
監督 ショーン・アンダース、ジョン・モリス
出演 ウィル・フェレル、ライアン・レイノルズ、オクタヴィア・スペンサー
※appleTV+で配信中※

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