すばらしき世界 | ヤンジージャンプ・フェスティバル

ヤンジージャンプ・フェスティバル

基本はシュミ日記です。
…遊びをせんとや生れけむ 戯れせんとや生れけん…
  

相変わらずちっとも進まない、観てきた映画の感想文。

一寸前なら憶えちゃいるが、1年以上前だとチト判らねェなあ・・・・

ってな具合ではありますが、今回は2021年のゴールデンウィークに、ジャンク・ヘッド(→僕の感想はコチラ)と同じ日に観たこちらの映画の感想です。

 

 

【あらすじ】 

ゆれる」「永い言い訳」の西川美和監督が役所広司と初タッグを組んだ人間ドラマ。これまですべてオリジナル脚本の映画を手がけたきた西川監督にとって初めて小説原案の作品となり、直木賞作家・佐木隆三が実在の人物をモデルにつづった小説「身分帳」を原案に、舞台を原作から約35年後の現代に置き換え、人生の大半を裏社会と刑務所で過ごした男の再出発の日々を描く。

殺人を犯し13年の刑期を終えた三上は、目まぐるしく変化する社会からすっかり取り残され、身元引受人の弁護士・庄司らの助けを借りながら自立を目指していた。そんなある日、生き別れた母を探す三上に、若手テレビディレクターの津乃田とやり手のプロデューサーの吉澤が近づいてくる。彼らは、社会に適応しようとあがきながら、生き別れた母親を捜す三上の姿を感動ドキュメンタリーに仕立て上げようとしていたが……。

(映画.comより)

 

かつて「ゆれる」を観て衝撃を受けて以来、すべてをチェックできているわけではないものの、注目している西川美和監督。

人間の嫌~な部分に焦点を当てつつ、それをエンターテインメント作品としてしっかりと見せてくれる・・・というイメージなんだけれども、今回も全くそんな作品でした。

 

人生の大半を刑務所と裏社会で過ごし、いわゆる「普通」の人生を歩むことが出来なかった男の半生を描く・・・といったストーリーなんだけれども、そんな主人公・三上と社会とのズレっぷりにはちょっとだけほっこりさせられつつ、そういう男の居場所は今の社会にはないんだなぁという恐ろしい現実を突きつけられて、背筋がゾワッとさせられたり。

 

そんな社会不適合な男が、紆余曲折ありつつも社会に適応し、最終的に勤めることになったあの職場。

そして、その直後にむかえるあの結末のやるせなさといったら・・・・。

 

スクリーンを通して主人公・三上の姿を見てきた観客にとって、この作品のタイトルはとにかく突き刺さるよなぁ・・・と感じずにはいられない、そんな作品でございました。

 

しかし、三上という男。

一言で言ってしまえば最低な男なわけですから、そんなヤツを語った映画なんて普通だったら胸糞悪いに違いないんでしょうが、役所広司さんが演じるとチャーミングであり恐ろしくもある・・・と言う魅力的なキャラクターでとにかく最高!

 

この映画が名作になったのは、役所広司さんの力によるものも大きいんじゃないかなぁと思いますし、共演した俳優さんたちも役所さんに負けず劣らずの素晴らしい演技だったなぁと。

 

そんなこんな。

映画として楽しめつつ、胸にズシリとした何かが残るような、そんな作品でした。

(2021年4月29日 横浜シネマリンにて鑑賞)