2021.12.5 KING CRIMSON「MUSIC IS OUR FRIEND」 | ヤンジージャンプ・フェスティバル

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11月下旬~12月上旬にかけて来日ツアーを敢行したキング・クリムゾン。

初日の東京国際フォーラム(→僕の感想はこちら)に引き続き、12月5日の立川ステージガーデン公演に行ってきた時の思い出を書いていきます!

 

さて、今回のツアー日程が発表された瞬間

『ん?立川?どこ・・・?』

と思ってしまった僕だったのですが、それもそのはず。

 

何しろこの会場。

昨年4月にオープンしたばかりの新しい会場。

そして、この会場での海外ミュージシャン公演は今回のキング・クリムゾンが初めてとのこと!

 

うわー!それは素晴らしい!

そんな歴史的瞬間に立ち会える瞬間にワクワクしつつ、恐らく生まれて初めて立川へ上陸!

 

会場へ向かう道はどことなくシャレオツなイキフン。

本当にこんな雰囲気の場所でクリムゾンのライブがあるのかなぁ・・・と思いつつ歩いていきますと・・・・。

 

 

Wow!なんてこった!

こんなオシャレなスクリーンなんかが設置してある街で、本当にクリムゾンが演奏するのか・・・?

と訝しみつつ、しばらく進んでいくと・・・・・

 

ようやく会場に到着!

 

会場付近にはどことなく馴染みのある中年男性を中心とした観客たちが開場を待っている状況なんだけれども、前回の国際フォーラムよりも女性や若者(10代とおぼしき少年の姿も!)が多めかな・・・って感じ。

そんな老若男女な観客たちが、今か今かと開場を待ちわびている雰囲気がなんとも素敵でした!

 

というわけで、僕も会場入り。

 

国際フォーラムと比べると、ロビーも客席もどこか手狭。

しかも、1階席は可動式の客席で、同じ列の人がちょっと動くと振動が伝わってくる・・・みたいな、少々心許ない造り。

 

ん-、これじゃあ演奏に集中できないかもだな・・・と嘆きつつも、諸君。聞いてくれたまえ。

今回の僕の座席。

前から6列目のほぼセンターという、完膚なきまでに素晴らしい良席!

 

こんな素晴らしい場所で、トリプルドラムの音圧を全身に浴びることが出来る・・・という喜びに震えているうちに、定刻通りにライブスタート!

 

現行クリムゾンのオープニングはトリプルドラムの掛け合い曲・・・というお約束なんだけれども、やはりこの位置で聴くととんでもない迫力!

 

メンバーがスティックを振り下ろした瞬間、会場のスピーカーから出てくる音より前に耳に飛び込んでくる生ドラムの音の美しさとパワーにすっかり打ちのめされているうちに、僕の耳に聴こえてきたのは本日の2曲目『太陽と旋律 PartⅠ』のイントロの禍々しいギターフレーズ。

 

一週間前にもこの曲は聴きましたし、その時は僕が初めてライブで聴いた『太陽と旋律pt.1』だったことも相まって、それはもう素晴らしい演奏だったわけですが、今回はそれ以上に凄まじい演奏!

 

先週のライブの感想で「メンバー全員で楽曲が崩壊する直前までどれだけ型破りな演奏ができるか・・・を争うチキンレースでもやっているのでは?と思わずにはいられないほど、限界まで攻めたスリリングな演奏」といったことを書いたわけですが、今日の演奏はその時以上にスリリングで、これはもはやメンバー全員が、自分が楽器を始めた10代の頃の気持ちに戻って、衝動の赴くままに楽器を弾き散らかしているのではないか・・・と思ってしまうほど。

 

・・・と書いてしまうと、まるでグチャグチャな演奏だったのか?と誤解されてしまうかもだけれども、そこはさすがに百戦錬磨のベテランミュージシャン集団。

ギリギリの危うさを保ちつつ、複雑な曲を崩壊することなくしっかりと演奏する・・・という奇跡的なバランス!

前回はあんまり聴こえなかったジェレミー・ステーシのピアノが映える『Red』の暴力的な美しさ、そして第一部ラストの『エピタフ』~『21世紀のスキッツォイド・マン』の壮絶さといったら・・・・。

 

古今東西、プロアマ問わず、世界には数えきれないほどのロックバンドが存在するわけですが、これほどまでに凄まじい演奏ができるバンドはほとんどいなかったはず。

そんな素晴らしい演奏にスタンディングオベーションで応える観客の姿が、また印象的だったのでした!

 

というわけで、第一部終了時点でほぼ放心&興奮状態の僕。

しばしの休憩の後、始まった第二部。

 

第二部のオープニングもトリプルドラムによる『Drumzilla』で、つづく2曲目は80年代クリムゾンの代表曲『Discpline』だったのですが、ここでロバート・フリップのギターがまったく出なくなるというトラブル発生!

 

他の曲ならまだしも、複雑怪奇なリフがギター2本で緻密に組み上げられた曲で片方のギターが聴こえなくなるというのは致命的・・・。

にも関わらず、いつギターの音が復活しても問題ないように淡々とギターを弾き続けるロバート・フリップ。

 

そして、なんとかしてトラブルを回復しようとするスタッフ。

 

その光景に感じる緊迫感と、互いにベストを尽くすプロフェッショナル2人の姿に打ち震えているうちに、曲は終了・・・・。

 

あぁ、結局ギターの音は復活しなかったか・・・と思っているうちに、ほどなくしてギターの音。ようやく復活!

続く楽曲は『太陽と旋律 PartⅡ』だったのだけれども、これまで以上に凶暴なフリップのギターに思わず戦慄。

 

途中のサックスソロの部分でも一瞬アンサンブルが崩れたりしたものの、その後はその緊迫感が功を奏したのか、本編ラストの『太陽と旋律 PartⅤ(Level5)』の凶暴なフレーズひとつひとつが本当に美しくて思わず落涙・・・。

これまでに聴いてきた、キング・クリムゾンのライブのどれとも違う、新たな魅力を改めて感じてしまった、そんな壮絶なライブでした。

 

というわけで、本編終了。

今回のツアーのセットリストからすると、アンコールは『スターレス』なんだろうなぁ・・・と思いつつメンバーの再登場を待っていると、何やらスタッフが慌ただしく動き始める・・・・ということは、もしかするとサプライズな展開があるかな・・・と思いつつのアンコール1曲目は、本編でトラブルがあった『Discpline』のリベンジ!

 

本人たちも不本意だっただろうし、観ている我々にもモヤっとした気持ちを残したまま帰すわけにはいかない・・・という彼らの気持ちに感動しつつ、続くラストは予想通りに『スターレス』。

 

これまでに何度となく聴き続けてきたこの曲ですが、何度聴いても心の奥にズシリと来る、そんな名曲だなぁと改めて感じたのでした。

 

というわけで、今回のライブは終了!

 

 

この後、追加公演として3回の公演があったわけですが、僕にとってはこれが最後の公演。

 

今回の来日は、本人が「COMPLETION(完了)」のツアーと明言しているので、おそらくこれが最後ということになるのでしょうし、ライブを観るまでは「観終わった瞬間にこの上なく寂しい気持ちになるんだろうな」と思っていたんだけれども、今となっては寂しさよりも、感謝とか喜びが勝っているなぁ・・・といったところ。

 

高校1年の時に出会って以来、何だかんだで30年くらい追い続けていたキング・クリムゾンでしたが、出会った当初は「とっくに解散した伝説のバンド」だと思っていたのが、何年か経ったら新作を発表するやら、時々は来日するやら・・・で、しっかり活動を追っかけることができたし、9回もライブを観ることができたし・・・で、本当に幸せだったよなぁと、つくづく。

 

今回の来日公演の最終日の感想をTwitterで述べている方がいて、シン・エヴァンゲリオンのコピーを引用して「ありがとう。全てのキング・クリムゾン」と仰っていたのだけど、僕の気持ちもまさにそれそのもの。

 

旧作でも、新作でも、アルバムを聴くたびに衝撃を受け、ライブを観るたびに刺激を受けて、このバンドのファンであったことを誇りに思えるなんてバンドはこれまでなかったし、これからもきっと現れないんだろうなぁ・・・・。

 

そう考えると寂しい気持ちもあるけれども、今はただ、このバンドが存在する世界・時代に自分が存在して、それを体験することができたという喜びでいっぱい・・・といった気持ちなのです!