ガンダムの劇場版新作の公開が決まり、そのタイトルが『ククルス・ドアンの島』と聞いた時の衝撃・・・。

 

『ククルス・ドアンの島』と言えば「ファースト・ガンダム」と呼ばれている、初代：機動戦士ガンダムの第15話で、シリーズ全体のストーリーとは外れているサイドストーリー的な、ちょっと奇怪なエピソード。

あってもなくてもシリーズ全体には影響がない上に、ファンの間ではストーリーよりも作中に登場するザクの顔が異常に長い・・・・という、作画の崩壊っぷりが有名な回。

 

そんなエピソードが果たして劇場版として成り立つのか？

ちょっとだけ怖いもの見たさな気持ちもありつつ、劇場へと向かったのでした。

 

 

【あらすじ】　

1979年に放送されたテレビアニメ「機動戦士ガンダム」の第15話「ククルス・ドアンの島」を映画化。テレビシリーズを再編集した劇場版3部作には含まれなかった伝説的エピソードを、「機動戦士ガンダム」のキャラクターデザイナー＆アニメーションディレクターで、近年は「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」も手がけた安彦良和が監督を務めて新たに映像化。「機動戦士ガンダム」の主人公アムロ・レイや乗艦ホワイトベースの仲間たち、アムロが駆るRX-78-02ガンダムなど、ファンにはおなじみの登場人物やメカニックが最新のアニメーションで描かれる。

ジオン公国と地球連邦による一年戦争が繰り広げられていた宇宙世紀0079年。ジャブローでの防衛戦を耐え抜いた地球連邦軍は、ジオン地球進攻軍本拠地のオデッサを攻略すべく、大規模な反抗作戦に打って出る。アムロたちの乗るホワイトベースは、作戦前の補給のためベルファストへ向けて航行していたが、その途中、ある任務を言い渡される。それは、通称「帰らずの島」と呼ばれる無人島に潜む残敵の掃討任務だった。島に降り立ち捜索を開始したアムロは、そこにいるはずのない子どもたちと一機のザクと遭遇する。ザクとの戦闘でガンダムを失ってしまったアムロは、ククルス・ドアンと名乗る男と出会うが……。

(映画.comより)

 

いや、もう本当に申し訳ない・・・・。

 

この作品を観終わった時の僕の気分はまるで『走れメロス』のセリヌンティウス。

『安彦監督、私を殴れ。私はこの数か月の間、たった一度だけ、ちらと君を疑った。「さすがにククルス・ドアンはないだろ」と、はじめて君を疑った。君が私を殴ってくれなければ、私は君と抱擁できない。』

・・・といったところ。

 

まさにこの時代にリメイクされるに相応しい。

素晴らしい作品でした！！

 

観るまでは「あの地味な30分のエピソードを、2時間の作品としてどう見せてくれるのか？」というところに期待を持ちつつ、そこのところが不安要素だったのですが、観終わった今では、このエピソードを語るには2時間という尺が必要だったんだな・・・と実感しているところ。

TV版が中途半端な印象なのは、そもそもこのストーリー自体を30分にまとめるってのが無理だったからなんだなぁと感じたのでした。

 

というわけで、今回の劇場版。

 

ドアンがなぜあの島にいるのかとか、なぜ唐突にジオン軍がこの島に攻撃を仕掛けてきたのか？といった、TV版ではいまひとつ理解できなかった部分がしっかりと語られるのはもちろん、ドアンがかつて所属していた部隊のメンバーとドアンとの因縁だとか、アムロと島にいる面々との交流がしっかりと語られていくので、登場人物たちへの感情移入がどんどん深まっていきますし、その上で観るクライマックスの戦闘シーンとか、ガンダムがドアンのザクを沈めるラストとか、内容自体はTV版とほとんど変わらないのに、まるで全く違う作品を観ているようで超絶感動！

いやー、ククルスドアンがこんなに素晴らしく生まれ変わるんだったら、たとえば『大西洋、血に染めて』あたりもリメイクしてもらえないかなぁ・・・なんて期待もしてしまったり。

 

とにかく、少しでも気になっている方はぜひ劇場へ！

機動戦士ガンダムという作品の魅力を改めて感じられること間違いなし！です！
(2022年6月11日 １０９シネマズ湘南にて鑑賞)