長唄三味線/杵屋徳桜の「お稽古のツボ」

三味線の音色にのせて、
主に東経140度北緯36度付近での
来たりし空、去り行く風…etc.を紡ぎます。

そのとき折しも鏑木清方が…(和楽器ライブのお知らせ)

2022年05月15日 15時55分05秒 | お知らせ
数年前まで黄金週間最終日の催し物としてお知らせしていた、
武蔵野邦楽連盟による邦楽演奏会でしたが、
昨年度より風薫る5月下旬の開催となりまして、
今年は来る5月22日(日)、吉祥寺駅南口ほど近くの武蔵野公会堂、
パープルホールで行います。

和楽器である三味線が活躍する、伝統長唄や現代曲、
筝曲や尺八など、全16番を予定しております。
開演は12時、終演は17時ごろ。
入場無料、お出入り自由ですが、
感染症対策として入場時の検温・消毒などご協力を賜りたく、
(ドレスコードはマスク着用にて)
どうぞよろしくお願い申し上げます。

当杵徳社中は、長唄「竹生島」、同じく「五色絲」、
そして杵屋徳衛作曲の三味線と十七絃による
現代曲「吉祥天女伝説/上の巻・白羽の矢」
を出曲いたします。

長唄「五色絲(ごしきのいと)」は、江戸時代の嘉永五年=西暦1852年、二代目杵屋勝三郎の作曲です。
旧暦七月七日、七夕の節句の乞巧奠(きっこうでん:巧みになることを乞い願うための祭り事)のお供え、飾り物の数々を、縁語や類語を鏤めつつ風雅に詠い込んだ嫋やか(たおやか)な曲です。

先月、同曲の場内放送のための解説原稿を調え、ホッとした私は、
世間の花見の狂騒も大方過ぎ、春の嵐に見舞われた四月中旬のとある雨の午後、
20世紀末、たつきの為に通っておりました一ツ橋へ至る懐かしい竹橋の、
国立近代美術館(これまた懐かしい…昭和の頃はいっときフィルムセンター〈現在の国立映画アーカイブ〉の仮舎がありまして、戦前の珍しい映画フィルム上映会にも行きました)にて開催されております、
鏑木清方の没後50年回顧展へ。

ここ二年ほど、仕事への責任もあり、
美術館・博物館、劇場など、
人の集まるところへは極力伺わずにおりましたので、
人気の同展へも二の足を踏んでいたのですが、
もとより大好きな清方の絵画、
荒天で人が疎らだったこともあり、
画伯の世界との久々の嬉しき逢瀬となりました。

そこで…なんということでしょう、
初めてお目にかかった、大倉集古館所蔵の昭和四年作「七夕」屏風絵。
つい先日書き上げた、五色の糸の世界、そのままの絵が私の目の前に…

実は、唄われる五色の糸が何色を示すのか、
文献を何冊も調べたのですが、
決定的な著作にめぐり合えず、
白青黄赤黒と書いて送稿していたのです。

清方描く乞巧奠のしつらえは、十三絃の向こうに青黄白赤緑の
糸を巻き付けた苧環(おだまき)。
なんという有難い廻り合わせでございましょう……
あらさ、黒じゃなくて緑の黒髪の方だった…と慌てて訂正を先様へお伝えしました。
本番に間に合って有り難いことでした。

そんなわけで、曲間にアナウンスされます解説にも
お耳を傾けて頂けましたなら、尚うれしく、
ご来場をお待ちしております。



供え物の瓜に蜘蛛が巣を張ると、願いが叶うとのこと…
写真は先月より檸檬樹に居着きました当家のささがに、オーチャード・スパイダーです。

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