拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

コトバ -春- 2024

春の風を覚えていますか

春の色を覚えていますか

春の匂いを覚えていますか

 

その髪を揺らす爽やかな空気を

その瞳に映る鮮やかさを

鼻を擽る甘い香りを

覚えていますか

 

寒い冬を過ぎ

やがて

暖かな春を迎えれば

あの子との

外遊びの幅も広がって行きました

 

自転車に乗って

男同士の2人旅

 

これはいつかのあなたが思いついた遊び方

 

あの子と2人で見たこの世界の景色を

あなたは覚えていますか

 

男同士の旅へ出発する2人の

楽しげな声も笑顔も

私は今でもよく覚えています

 

あの旅の中で

あなたがあの子に教えた言葉は

今でも

あの子の胸の真ん中に置かれている言葉

 

遊びを通して

あなたはあの子に

生きる上での大切なことを教えてくれました

 

男同士の旅の中

どんな場所で何を見て来たのか

楽しそうに話す2人の声に

耳を傾けながら

ただ笑っていたあの頃の私は

あなたに何を伝えることが出来たでしょうか

 

 

www.emiblog8.com

 

 

私が暮らす場所

あなたへ

 

凄く綺麗だね

どこで撮ったの?

 

これは、昨夜のあの子から届いたメッセージです。

 

昨日撮った写真を、早速あの子に送ったらね、驚いていましたよ。

こんな場所があったんだねって。

 

私が暮らすこの辺りは、

何もない場所なのだと、ずっとそう思っていました。

でも、本当はそうではないのかも知れないなって、

昨夜の私は、

あの子からのメッセージを眺めながら、考えていました。

 

何もない場所のように思えても、

実は、季節限定の景色が隠れていたり、

その時間帯でなければ見ることの出来ない景色が隠れていたり。

 

ほんの少しだけ視点を変えてみるだけで、

そこにしかない素敵なものは、そこら中に隠れていて。

 

何もない場所なんて、本当はないのかも知れませんね。

 

昨年の私が初めて、

桜の木が並んだ土手の上をいつもよりも遠くまで歩いたことで、

次の桜の季節になったら、

見てみたい場所を見つけることが出来たように、

そして、いつかのあなたが見せてくれた朝の景色を、

それまでの私が知らなかったように、

どんなに長く暮らした場所であっても、

その全部を知ることなど出来なければ、

ある年齢に達してからでないと、

見えない景色というものも、きっとあるのでしょう。

 

幼い頃から当たり前に暮らして来たこの地に対して、

好きかどうかだなんて、考えたこともありませんでしたが、

私は、とても素敵な場所に暮らしているんだなって、

この地が好きかも知れないなって、

昨日の私は、初めてこんな気持ちを見つけました。

 

きっと、この辺りには、まだまだ私の知らない素敵な場所が、

たくさん隠れているのでしょう。

 

私はこの地で、あと幾つくらい、

素敵な景色を見つけることが出来るでしょうか。

 

あなたにも見せてあげたい素敵な景色を、

もっとたくさん集めることが出来たのなら、

私は、この地をもっと好きになることが出来るのかも知れませんね。

 

 

 

www.emiblog8.com

 

 

 

桜の木が並んだ土手の上 -2024-

あなたへ

 

長い修理期間を経て、先日、漸く車が戻って来ました。

やはり、自分の車は良いものですね。

 

いつの間にか、自分にとって、

しっくりと来るようになっていた運転席に満足しながら、

今日の私は、久し振りにお出掛けをしました。

 

行き先は、桜の木が並んだ土手の上です。

 

先日の私は、あの辺りの桜たちが満開を迎えるのも、あと少しだと、

こんな手紙を書きましたが、

あれから間も無くに満開を迎えました。

 

既に散り始めを迎えていますが、まだまだ見頃。

ピンク色の景色も、風に乗ってヒラヒラと舞う花びらも、

とても綺麗でした。

 

自分のペースで、のんびりと歩きながら思い出していたのは、

あの子の笑顔ばかりがたくさん詰まった、昨年の春の始まりでした。

毎日、バタバタと過ごしていたけれど、本当に楽しかったなって。

 

昨年の私には、

のんびりと、桜の景色を楽しむ時間などなかったけれど、

本当に、特別な春の始まりでした。

 

あれから次の桜の季節を迎え、

またのんびりと桜の景色を楽しむ時間がやって来たのだと、

あれからの時間の経過を、改めて感じました。

 

今日のこちらでは、綺麗な青空が広がり、

とても暖かく、お花見日和でした。

ピンク色に染まった土手の上は、とても賑やかでしたよ。

 

家族連れやご夫婦。

それぞれに桜の景色を楽しむ人たちを眺めれば、

もしもあの夏の運命が違っていたらと、

見ることの出来なかった景色を思い描いてしまった私ですが、

僅かに俯けば、

何故だか、ふわりと暖かな風が私を包み込んで。

 

ねぇ、あなた。

大丈夫よ。

私はもう、泣いたりはしないから。

 

本当は、あなたと一緒に歩きたかったあの場所で、

今年の私は、密かに持っていた小さな夢をひとつ、

叶えることが出来ました。

 

ピンク色と黄色の組み合わせは、やっぱりとても素敵。

 

あなたにも見せてあげたかった景色を、

またひとつ、大切に集めることが出来ました。

 

 

 

www.emiblog8.com