健康ランド、及び温泉で憧れているもの。

それは マッサージ。

いかにも 経験を積んだ雰囲気の女性に

凝り固まった 身体の隅々を

もんだり 擦ったりしてもらえたら

どんなに心地良いだろうと

バキバキに凝った肩を

グリングリン回しながら

看板を眺める。


料金表を見やれば

¥3000ナリ。

うーむ。

ビールも飲みたいし。

ビール飲むなら唐揚げとか食べたいし。

枝豆も。あと、ユッケも。

あと、大根サラダも。

あと、塩焼きそば(しらす入り)も。

あ、あと、あと、レバの甘辛煮、

あ、まってまって!えー、この

胡瓜塩麹漬けってのもいっちゃうー?


てなわけで

マッサージ代より飲食代に消えるわけで。



だが!

今日は!

至福の時間を味わうために

そらまめ、300円握りしめてますのん。

3000円じゃなくて。


最新式のマッサージチェアが

いつもの温泉に導入されたんだよーん。

きゃっほーーい!!

人間からマシンに代わっただけで10分の1のお値段に。

なのに、ポスターには


【無重力チェア もみもみ玉太郎

 まるで人の手のぬくもりのよう】


と、書いてある。


広告に偽り無しや?

もみもみ玉太郎ッ!

証明するために、このワタシの鉄板のような

肩を揉みほぐすが良い!

出来るものならばなっ!


そらまめ、鼻息荒く チェアに身を埋め

スイッチをオンした。

するとですね、モニターに


(貴方の身体の状態をスキャン中です。

 動かないでください)


なんて、文字が浮かび上がってですねえ、

ウイーンって、背もたれが倒れるんですよ。

なになに?

なにしてるの?玉太郎??


振動音が ふっと途切れ

しばしの沈黙の後、


玉太郎発動!


複数の大小様々なモミ玉が

背中と言わず

足の裏と言わず

ワチャワチャ動き出すの。


ひゃーーはははは!

ひい!

ダメダメそこだめー!

はう!


ういーーー、!い?

いっいいい?


あ、よい。

うん、そう、そこだ!

玉太郎。わかってんじゃん。


あー、肩よ、肩。玉太郎、ナイス。

しばらく 肩をマッサージされて

トロ~ンとなってたら

モミ玉が少しずつ 下にずれ始めましたよ。

んー、腰も張ってるから

い、

あれ?

腰通過?

どこ行く?玉太郎?



なんと、玉太郎は

あろうことか、そらまめのおいどのあたりを

もみ始めたのよ。


そこ、凝ってないよ?!玉太郎?!

むしろ、体の中で一番緩んでるよ?

何してる?玉太郎っ!


違うぞ

玉太郎っ!

玉太郎っ!オイ!




結局、所定の15分間のうち

肩をマッサージしてくれたのは

3回。

おいど

5回。


おいどが凝ってるとスキャンされた

そらまめたのだった。



なるほど。

あの人間の方の値段設定には

おいどは もう結構と

断るお代が含まれておるのだな

と、

深く納得したことだよ。