数撃ちゃ当たる~80:20の法則~ | ブログ・ザ・不易流行

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自分のための言葉を見つける旅

 アラン・ピーズ&バーバラ・ピーズ『ブレイン・プログラミング』という本を読んだ。同類の自己啓発書の中では良書だと思う。なかでも、「80:20の法則」という項目には、啓発されるところが多かった。「はじめに」で作者が書いているように、この本は「人生で心から望むことは何なのかをはっきりさせて、それを手に入れるための方法」について述べた本なのであるが、そのためには各人が持っているところの、自分で思い通りに「プログラミング」できるシステムである「脳」に、夢を実現させるために必要な新しい考え方を何度も入力し、浸透させることが大切だという。
 
 願望実現のためには、まず「自分の望みをはっきりさせる」こと、そしてそのための明確な目標・計画・期限をきちんと定めることが大切である。特に「期限」は重要だ。作者によれば、脳には「期限にあわせようとする力」がもともと備わっているらしい。逆に言えば、期限を設けることなしには物事の成就は難しい。例えばある作家は言っている。「締め切りがあるから原稿が書ける」のだと。
 
 その他にもこの本には、目標を完遂するためのノウハウがいっぱい詰まっている。少し紹介してみよう。
 
 ・他人がどう思い、何をしようが、なんと言おうがやりぬくこと。目標を達成しようとすると、いろいろな人、特に親戚や友人なんかが押し寄せてきて「待った」をかけるが、彼らのネガティヴな発言に耳を貸さないこと。
 ・自分の人生に責任を取ること。「生まれつき」や他人のせいにしない。不満を言うと、不満だらけの状況を呼び寄せる。
 ・目標を視覚化(ビジュアライズ)すること。脳は「現実」と「想像」を区別できない。
 ・アファメーション(言葉による自己暗示)の威力を活用すること。
 ・古い習慣を脱ぎ捨て、新しい習慣を身につけること。その際、「マイナスの人」から離れると「プラスの人」が現れる。
 ・人生を成功に導く「数の法則」(80:20の法則)を知り、活用すること。
 ・ストレスに打ち勝ち、「笑い」のある生活を送ること。
 ・恐怖と不安を克服すること。
 ・絶対にあきらめないこと。
 ・どん底からでも再出発すること。努力の「20パーセント」だけが結果を生む。
 
 上記の項目のうち「数の法則」が特に私には面白かった。作者によれば、人生で手がけることには、何回挑めばそのうち何回成功するかという確率がある。作者が11歳の時、ゴムのスポンジを1個20セントで一軒一軒売り歩いた時に覚えた数字は「10:7:4:2」だったそうだ。10軒の家をノックすると平均7軒が扉を開けてくれる。そのうちの4軒が売り込みを聞いてくれて、2軒がスポンジを買ってくれる。作者はこの法則に気づいてから、売るときのストレスが無くなり、焦らなくなったという。なぜなら、10軒まわれば2軒の家が買ってくれることがわかっているからである。そして作者は、この「80:20の法則」つまり、「努力の20パーセントだけが結果を生む」という考え方は、セールスだけでなく人生諸般にもあてはまると言う。
 
 思うにこの「80:20の法則」は、あくまで比喩的な数値で、厳密なものではないだろう。「70:30」の時もあれば「99:1」の場合だってあるはずだ。ここで作者が言いたいのは、「可能性がゼロではない」という姿勢で、あきらめずに淡々と努力を継続していくことが大切だと言うことなのであろう。もちろん、ある程度の努力をしても、それがどうしてもうまくいかない場合などは、「見切り」をつけて次の対象に向かっていくことも大切だ。けれども、大きな志を抱いて願望を実現しようというような場合、この「80:20の法則」、すなわち「80パーセントはうまくいかないけど、気にするな」「数撃ちゃ当たる」というスタンスが効を奏するだろう。「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」ということわざもある。我々はこのように「数のゲーム」を楽しむ必要があるのだ。
  
 この歳になって思うのは、何度もトライし、それを継続的に続けていけば、それが世間一般の常識ではかなり実現の難しいようなことでも、結構なんとかなるのではないかということである。例えば、大学時代私の周りには詩人や小説家になりたいと言っている友人が何人かいたが、実際に彼らはそういった物書きになっているのである。多くの者はなんとなくそういった願望を持ちつつも、実際に書き続けるということはしない。さまざまな形で社会に出て行き、実際的な仕事に従事する中で、いつしか自分が何か書きたいと思っていたということさえ、こころの奥に引っ込めてしまうのである。実際に詩人や小説家になるなんて夢のような話に過ぎないという言い訳めいた諦めの気持ちとともに。だが、一握りの者たちは、なかなか諦めない。いつまでも夢を追うことの気恥ずかしさや、才能が無いのではないかという不安に打ち負かされることなく、ひたすら書き続けて、機会があれば積極的に○○賞といったものにも応募する。その結果、まがりなりにもある程度の地位を得た詩人や作家になっていることがままあるのである。
 
 ここで大切なのは、あせらずに淡々と続けるということだ。うまくいくかいかないかに一喜一憂し、その度ごとに感情のうねりを見せていては、疲れてしょうがない。数を撃てばかならず成就することはわかっているのだから、いちいち心配せずに心の余裕を持って事を進めよということだ。ローリング・ストーンズも歌っているではないか。「You Can't Always Get What You Want(欲しいものがいつも手に入るとは限らない)」と。その後彼らは続けて歌う。「But if you try sometime you find. You get what you need(でも何度も挑戦すれば、うまくいくこともあるだろうさ)」。
 
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