ラヂオ惑星モルファス

大江健三郎の訃に接し・・・



大江健三郎さんが亡くなりました。大江さんの書籍の言葉はいささか難しく、なかなか読み進めるのが難しかった記憶があります。
その反面、大江さんの語る言葉は優しくてまっすぐに理解できたように思います。当時の私も何か指針となる言葉を探していたのでしょう。
でもその一方で、三島由紀夫の揺蕩うような言葉の世界にも心を惹かれ、日夏耿之介の世界にも惑溺したものでした。
しかしそれだけでは自分の心にある何か固いものを理解することはできませんでした。

今ここに、2冊の本があります。小説ではなく岩波現代選書の「小説の方法」もう一冊は、岩波新書の新赤版「新しい文学のために」です。
現代選書はシリーズとして刊行された第一冊目だったと思います。就職して地方の「官僚」になって数年が経ち、心の中の硬い蟠りが何物にも変化しない中、何とかしたいという焦りがあった頃でした。
幾許もせずに結婚することになり「小説の方法」は忘れ去られて行きました。
さらに十数年が経ち、役人生活や日々の子育てに埋没し、自分の中にあったもののことさえ忘れかけていたころ「新しい文学のために」を買いました。

結局、この2冊の本は完全に読み終えることもなく本棚の中に居続け、何度かの引っ越しにも決して幾重不明にはならず、背表紙を見るたびに少し心に刺さったりしていました。

時代が変わり、大江さんのような厚みのある知的な存在がいなくなり、薄っぺらな言葉で声高に叫ぶ人々ばかりになりました。
ずっと置きっぱなしにしてきたものをもう一度考えることは、多分、私のように才能も見識もない者の辛うじてできることだはないかな?と思った次第です。

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