先週の初夏の陽気から一転、寒の戻りは仏国の農家に深刻な状況をもたらしました。
月曜から始まった霜対策、何とか踏ん張っておりましたが
火曜は雪が降り、それが止んでしまって湿度だけが残され
水曜の明け方の冷え込みは−5度を切り、最悪の条件が揃いましたん。
 
 
 
 
昨年も同じ様な時期に、同じ危機がありましたが
幸いにもワタクシの住まう地域一帯は毎年難を逃れて、あったとしても最小限
やったんですけど
今年はボンクラなワタクシでもハッキリと分かるレベルのダメージざます。
このレベルは少なくともワタクシがこの地に住み始めて10年ちょっとの間はありませんでした。(恐らく90年代にあった記録的な被害以来やも知れませんわ)
被害の程はまだはっきり数値として出ておりませんけれども
 
 
母なる大自然の力の前に成す術もなく、全てが凍りつき我々はまるで無力だった。
 
 
コロナの影響で今年は新酒を奉納して神様に感謝を捧げ祝福を受けるはずのサン・ヴァンサンの祝祭が中止された事が、すぐに彼らの脳裏をよぎったそうです。
ワインの守護聖人のサン・ヴァンサンは酒の神バッカスにワイン農家の願いを届ける役目を担っているからざます。
彼らの願いが届かなかったのは、祭事が中止されたから(たとえ本気でそう思っていなくても)こんな不吉な事はこの祝祭が行われる様になった歴史始まって以来の異常事態でしたから、そんな事が脳裏をふとかすめても無理はないと思います。
 
 
 
 
写真だけを切り取って見ると、圧倒的で神秘的っぽいかも知れません。
映画の様にロマンチックでワクワクする様なことをかつて言った日本のワイン愛好家もいました。
確かにそれはもう悲しいほど美しいんですけれどね
この炎があるところには
果てしなく切なくて不安で、ただただひたすらに天に祈る様な気持ちで極寒の大地で火を焚き続け右往左往するしかない、切実な思いで葡萄の新芽を見守るしかないワイン農家の人々がおるわけです。
こんなに胸に迫り来る景色はないんですよ。
しかも、これはまだ今夜も続くんだな。
もしかすると来週も氷点下の夜が来ると、また。
 
葡萄畑の芽吹きが始まったばかりでこの晩霜被害が起こると、
出鼻くじかれ感ハンパありません。
全滅してないだけ、ありがたいのですが
まだ危機が去ったわけじゃない。
泣き面に蜂みたいなことにならんといて欲しいものです。
 
 
 
 
 
それにしても、コロナ禍と重なって厳しいねえ。
自然の仕打ちを見ていると、この手の原因と言われる気候変動も結局は人間のせいやねん。
自然は、別に意思を持って人間を含めて生き物にひどい仕打ちをしている訳じゃなくて、ただ人間が自分たちの都合をひたすら優先した結果こうなる流れになったに過ぎない、と感じざるを得ません。
 
ワイン飲まへんから関係ないし、
とか思っておる人は、農家はワイン農家だけじゃないことを思い出すがええわ。
農作物がダメになったら家畜にもおまいさんにもそのとばっちりがやって来るのを忘れてはいけない。
既にワタクシたちは先代のツケをこうして払っているわけで
次の世代はもっと深刻なツケを払わねばならない可能性を無視したらあきまへん。
それでなくても、コロナの影響で既に子供たちはワタクシたちがかつて当たり前の様に経験できた健全な学校・日常生活すらも奪われているんやものね。
 
 
 
 
はたして
来年の春の始まりにはワタクシはどんな状況を綴っているんやろう。
 
 
 
時系列で遡ったらホンマ毎年の話ね。(涙)
2020年の記事がないのは、厳格な外出禁止令だったからなだけで、若干の実被害は出ております。(かすり傷程度な)