さて、
サボり癖が出ぬうちに続編を書き記しておきたい思います。
この前のお話
生前の友としっかり話し合って用意をし
準備万端のつもりで挑んだ大使館での届出でござんすが、
まさかの予想外の展開(というより確認不足ともいうけど)
で、「友人」枠では届出資格がないワタクシからの死亡届は基本的に受理不可という如何ともし難い現実が待っておりました。
できれば存命中、準備している段階で確認しておくべきでしたけれども、
この手の情報ってほぼ出てこないんだな。
身寄りのない邦人の死亡に伴う届出に友人が出向くというケース自体が少ないのやも知れません。
仏人の知り合いしかおらんかったら、ここに辿り着くこともないかも知れぬので
そういう立ち位置の方たちはお亡くなりになられたらどうなってるんやろう、気になります。
ワタクシとしてはノーテンキに
届出人が友人やった場合は書類の欄のどれ位当てはまるか行ってから窓口で相談したらええかな、くらいに甘く考えておりました。
ひとまず事情を伺うということで窓口ではなく戸籍担当者と別途面談する運びになり
新たに登場された担当官さんは大変感じのよい物腰の柔らかい方でござんした。
が、やはりこのケースは厳しいようで
ワタクシの家で亡くなったという証明(死亡証明書の死亡場所に記載されとります)
があろうとも、本人署名捺印入りの委任状や遺言状があろうとも、裁判所(或いはこちらのノテール)が認める公的証明書のない代理人からの届け出は基本的に日本の法律では受理不可なのです。
と非常に丁寧にかつ申し訳なさそうに言い放たれたんだな。
なんてこったい。(涙)
ただ、担当官さんが何か言いたげな様子も感じ取ったので(見逃さない)
そこでワタクシも後々後悔が残らぬようにダメ元で
(礼儀正しく穏やかに謙虚な態度を保ちつつ)もう一度担当官さんにワタクシがここに至るまでの諸事情を説明させて頂きましたところ
お相手もまるでセラピストか修道女の様に優しくこちらの気持ちに寄り添って耳を傾けて下さいました。
友は仏国に親族身寄りは一切おらず、しかもこの委任状を認めた時には
やや元気とはいえもう回復の見込みがない事がはっきりした末期癌状態であり、
かつ
ジャポンの親族は残念ながらもう何十年も疎遠になっており、生前死後問わず
親族に頼る事が困難などうしようもないケースであることを丁寧に伝えましたんよ。
ここで門前払いされたら、この人はジャポンの戸籍上では永遠に生き続ける消息不明のまるで無縁仏のようになってしまうやおへんか。
ここまで来て、門前払いはあまりに酷な話ではござらぬか。
仏国で揉まれてきた関西のオバハンの人情に訴える交渉力を今発揮せずいつ発揮するねん、と密かに心奮い立たせるの図。
しかし案ずるより担当官さんは、本当に親身に耳を傾け一緒に考えてくださり、このケース何とかしてあげたいという思いのようなものが感じ取れましたので、ワタクシも踏ん張れたわけです。
委任状の日付を確認して頂き、その時期からすでに本人がワタクシ(たち)に
今後に待ち受ける終末期から死後に至って様々な希望を手書きの書面に認めていた間柄であること、
これらの書類をノテールで公式に作成する意思があって相談もしていたけれど(仏国における手続きだけに観点をあてていた為彼女のケースに限っては)必須ではないというアドバイスがあり結局作らなかったこと、
最終的に我が家で看取り、実際に仏国の死後の手続きも、家の整理も託された通り実行していること等をまずはしっかり説明。
正式な書類にならへんかったけれど(←しつこい)
本人の遺言状、
我が家で終末ケアに入る際にうちのオットが後見人になることにサインしていたので
念のためにその書類のコピー、
(この書類はあくまでも我が家で医療行為(終末緩和ケア)をするにあたって本人の承諾が必要なために用意されていたものなので恐らくジャポンに対して法的な効力はないだろうが)
ご遺体処理からの火葬までの肩代わりをした明細書もあるので、公式な書類はないが間違いなくそれに匹敵する存在であることだけは担当官さんにはとりあえず証明できたとは思います。
その後、少し考えてから担当官さんが
「先ほど申し上げました通り、本当は親族や公的に認められた者以外からの受理は難しいところなのですが、しかし、実は『特別な事情』のケースである、と大使館側において判断された場合に限り外務省〜管轄の役所に受理を働きかけることが出来ることがあります。
ただし、この方には実の兄弟の方が存命されていらっしゃいますね、その方は書類の届人一覧でいう「②同居していない親族」にあたるため
本来ならこれらの書類をその方に送っていただいて、届出人の欄は兄弟の方に記載署名捺印して頂き役所に提出して頂くようにお願いしなければならないのです。
どうでしょう、そういう事はお願いできそうでしょうか?」
ここで、また難題かよ、おまいさん。
担当官さんも薄々分かっておったと思うが一応規則として最終確認的に聞かれたんやと思います。
そもそもハナからそれが出来るなら、ワタクシがここに来る必要などないねんから。
「残念ながら、これまで疎遠やった事情を思うとこちらからそんな単純にお願いできる状況にないように感じておりますんで、それでワタクシができる限りこうして動いておるわけなのです。どうしたものでしょう。」
と切に訴えましたところ、担当官さんは、うんうん、と頷きながら
「そうですね、どなたも大変お辛いですね、お察しいたします。。。
それでは、特別な事情として取り計らえるかどうか私の方から今一度部署に戻って確認させて頂きますのでもう一度お待ちいただけますか?」
と、これぞ人道的な言葉が返ってきたでござるな。
ワタクシは頭を深く下げまくり、気がつけば、
大変お手数をお掛けして申し訳ありませんが、本当に助かります。
何卒、何卒よろしくお願い致します。を連発しておりました。(日本の選挙かよ)
思った以上に長編になっとりますが、(引っ張るの嫌いやねんよ)
今度こそ最終編に続かせて頂きやんす。