この3人の医師の対応で分かるように、
最初の医師の、
「抜けるだけ抜いていいよ」は、
明らかに、
「治療よりも、患者をラクにしてやって」
という、
『もはや治療不能宣言』でした。
北関東にある市民病院勤務の、
中年医師にとって、
夫のような、重篤症状にまみれた患者は、
「死」を逃れることなど、
出来ない存在であり、
行く末がどうなるかは、
分かっていたのでしょう。
この中年医師の診察を受けていた、
今から10年前の2014年は、
国内で初めて、
生体肝移植が開始されてから、
四半世紀(25年)足らず。
そして、
肝移植手術が保険適応になってから、
まだ、10年しか経っていませんでした。
地方の肝臓専門医にとって、
『生体肝移植手術による再生』という、
究極の起死回生の治療方法など、
(知識としては、
当然知っていたのでしょうが)
現実味のないものだったのでしょう。
「もしも、この病院にとどまり、
腹水を、抜けるだけ抜き続けていたら」
と思うと…
夫にはとても、生還など出来る体力は、
残らなかったでしょう。