昔話の残酷場面のこと | ほんとうのピコットさん

ほんとうのピコットさん

子どもの本屋「夢文庫ピコット」店主です。
タイトル「ほんとうのピコットさん」については、
http://ameblo.jp/pikot/archive1-200711.html をどうぞ!

ひらけ、ごま!

 

というパスワード(?)は知られていますが、
このお話、小さい人たちに読んであげられる
これという絵本版が無かったのです。
が、ようやく、お奨めしたいと思える
新刊に出会いました。

 

 

 

アリババと40人のとうぞく

ナルゲス・モハンマディ 作 

愛甲恵子 再話

ほるぷ出版 本体1,800.

 

 

原作に忠実で、イラストもテキストも大満足。

けど、それゆえ、

ひょっとするとこの絵本には、

 

叫び 残酷だ
叫び 子どもには見せられない

 

のような意見も湧き上がるかも・・・
そんな予感もします。

さんびきのこぶたの時みたいに。

 

だって、弟は賢く生き延びた場面で、
兄は欲に目が眩んで
盗賊に殺されて、
4つに切られて
あせる しまうんですから。


さらに最後のところでは、
賢い召使の娘が
盗賊の家来の隠れる壺に、
熱した油を注ぐメラメラ というくだりもあります。

 

このお話は
アラビアの伝承の中の一話で、

元々子ども向けではないので、
手加減はありません。


確かに残酷。アラビアという風土だし。

でも、昔話の中の残酷さは、
子どもに語る場合であっても、
条件付きで必要だと、わたしは思っています。

 

さんびきのこぶた

オオカミが煮えたぎるお鍋に落ちるのも、
かちかち山でたぬきの背中に火がつくのも、
聞き手に納得のいく理由があります。

 

このお話も然り。
貧しい庶民が厳しい環境の中で生き抜くのには、
知恵を使わなくてはいけないんです。

 

またこの絵本では、言葉では語られてはいますが、
絵には残酷な表現はないので、
ある年齢までは
理解できないことで守られる
という側面もあります。

わからないがゆえに、傷付くことも無いのです。

 

これがもし、
理由もなく人を殴ったり刺したり、
血が飛び散ったり
人が呻いたりする表現があるお話なら、
聞き手の心を守ることができませんから、
当店にそういう本の居場所はありません。

 

ピコットでお奨めする昔話絵本は、
そこが基準になっています。

 

お話の一番の目的はます楽しむことですが
語り継がれた昔話や民話・伝承を、
次の世代に手渡すのに、
絵本は有効な手だてです。


カギ 真の賢さを感じ取ってほしい
カギ 自分の判断で生きることを知ってほしい
という願いの秘められた、
こういうお話を手に取っていただけたらと思います。

 

付け加えれば、ここのタイプのお話は、

気持ちが不安定な時期のお子さんに読むのは、

避けていただきたいです。

気持ちと体と体験のバランスが取れる時まで

お待ちいただくのがいいと思います。

 

それにしてもお話の始まりで、

お金持ちの家の娘と結婚した兄は、

立派な家に住んで裕福に暮らし、

貧しい娘と結婚した弟は、

働いて慎ましく暮らす様子が語られています。

それって、どうなの?

違和感あるんですけど・・・。宇宙人くん

でも、ま、昔のお話だし、

弟は賢さで幸せになりますからね。

 

 

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