今回の旅行では、宇佐神宮(宇佐市)、柞原八幡宮(大分市)、西寒多神社(大分市)などに参拝しているが、宿泊したのは宇佐市と大分市の間にある別府1箇所である。

 

その別府を代表する神社の1つが火男火売神社(ほのおほのめじんじゃ)である。

 

当社は下宮、中宮、上宮の3つの境内地の3つの神社から構成される。この「下宮」「中宮」「上宮」の読みが例のごとく問題となるのであるが、公式の読みが確認できない。また、この読みを書いている個人ブログ等もほとんどいないのであるが、かろうじて「下宮」を「げぐう」としている人が2人いたので、推測として「げぐう」「ちゅうぐう」「じょうぐう」だろう。「下宮」「上宮」は宇佐神宮と同じ読み方。

 

そして、3社あるので共通の話題として御祭神について先に触れておきたい。火男(ほのお)とはほかの神社では全く聞かない名称だが、誰がどう考えても神様の世界で火男と言えばカグツチを指すことはわかる。

 

では火売(ほのめ)とは誰か。ウィキペディアでは上宮、中宮の御祭神はカグツチとともに火焼速女命(ひやきはやめのみこと)となっているのだが、やはり火焼速女命とは誰かという話になる。

 

このブログを熟読している読者の方なら、もうおわかりであろう。カグツチとペアになる女神様ということになるのだから、答えは埴山姫(ハニヤマヒメ)=磐長姫(イワナガヒメ)である。

 

下宮だけなぜか御祭神が異なっていて、カグツチ、イザナギ、イザナミである。カグツチとその両親という関係である。

 

中宮と上宮は鶴見岳という山にある。鶴見岳は別府と由布院の中間にあり、交通手段としてはバスやロープウェイが利用可能である。対して下宮は別府の街中にあるというか、中心部分からは外れているが別府地獄めぐりとか鉄輪温泉(かんなわおんせん)といった観光拠点の近くにある。

 

私の実際の旅程では、さきに中宮と上宮に参拝し、次の日に下宮に参拝しているのだが、話の順序としては下からが妥当に思えるので、下宮から紹介することにする。

 

 

 

鳥居と参道。

 

まあ、普通というか、特別な感じはないけれども清浄で気持ちの良い参道である。

 

 

 

参道はどうということもないけれども、社殿と後背の社叢が放つ気が素晴らしい。拝殿方向を直視した時に、ちょっと特別な気を感じたのである。

 

神社が清浄であり場の気が良いというのは、ある意味では当たり前である。しかし、それを超えて「特別」な気だと感じる時があるのである。程度の問題ともいえるのだが、ある閾値を超えると「特別」だと感じる。当社にはそんな感覚があったのである。

 

おおまかに言えば、それが感じられるのが一宮などということになる。それ以外の神社で感じたとしたら、ちょっとした驚きと嬉しさがあるものである。

 

 

本殿。

 

 

境内風景。境内社もあるが、省略させていただく。

 

まずまずの良い神社だが、境内入口の鳥居から拝殿まで一直線に伸びる参道が全てに近いという感じで、境内の造りが変化に乏しく、目を楽しませるような要素があまりないように感じられた。

 

しかし、評価は5点満点で3.5+。特別な気の印象が良かった。

 

下宮に参拝した日は、朝一番で八幡朝見神社に参拝しており、ここはお奨め。そして、下宮の後に別府地獄めぐりの観光、そして、八幡竈門神社に参拝した。

 

 

画像は海地獄(入場料必要)と、その中にある別府白龍稲荷。

 

ここでの「地獄」というのは天然温泉が生み出す世にも奇怪な風景という程度の意味である。

 

行かなかったが、近くには温泉神社というのもあるようだ。温泉神社とか湯神社のような神社も日本全国各地の温泉で見られる神社名称であり、その中には道後温泉の湯神社(松山市)や玉造温泉の玉作湯神社(たまつくりゆじんじゃ=松江市)のような延喜式内社もあるので、温泉と神様というのも昔から縁が深いのである。

 

では、下宮参拝の前日の話に移る。この日は中宮、上宮に順に参拝し、その後に由布院の神社巡りである。

 

別府から由布院行のバスに乗り、おおよそ中間地点である鳥居バス停で降りる。もちろん、この鳥居とは火男火売神社中宮の鳥居である。

 

 

 

ちょうどバスを降りた場所の道の向い側に鳥居を発見したので、これがバス停名称の鳥居だと安心してしまった。

 

元々はこの鳥居がバス停名称の鳥居だったのだと思う。しかし、壊れてはいないものの、相当荒廃気味である。実は由布院方向にほんの少しだけ歩けば新しい綺麗な鳥居と社号標があったのである。これは中宮、上宮の参拝が終わって、由布院行のバスに乗って発見したのである。しかし、この古い鳥居を見付けて安心してしまった私は新しい鳥居と社号標を写真に収めることができなかった。もし、中宮に行くことがあれば、注意していただきたい。

 

ただ、中宮への道としては、古い鳥居からでも新しい鳥居からでも、どちらでもよい。古い鳥居から行けば、少しだけ経路をショートカットできるが、新しい鳥居からの車道に合流する。

 

 

 

こんな感じの道を25分くらい歩く。山を登っているのだから、おおむね上り坂である。

 

25分くらい歩くと駐車場があり、その先にこんな場所がある。

 

 

真っ直ぐの道と左手に分岐する道に分かれ、これは左手の道の方を見ている画像である。

 

左手に分岐する道は門で閉ざされているが、一応、車が通れるようになっている。真っ直ぐの道は歩行者専用であり、門で閉ざされていない。

 

実は、ここから中宮に着くまでに大混乱だったのである。もうすぐ近くまで来ているはずなのに、中宮が全然見つからないのである。だから、中宮への道を詳細に説明したいと思う。

 

結論から言えば、どちらの道を通っても中宮に行くことができる。しかし、どちらが正解かと言えば、真っ直ぐ行く道である。つまり、門は閉ざされていてよい。

 

ただ、なぜ大混乱に陥ったのかと言えば、もう中宮の至近距離まで来ているという思い込みが原因である。まだ中宮までは少し距離があると思っていた方がよい。そう思っていれば、案外早く到着できたと思えるかもしれない。

 

 

 

しばらく真っ直ぐ歩くと、左手に2本の御神木が神門のようになっている場所がある。ここを左折して神門を通って石段を上っていただきたい。これが表参道である。

 

ここで左折せずに、ほんの少し先まで行くと建物があるが、それは神社ではないので、注意していただきたい。

 

ここに「火男火売神社(御嶽権現)を経由して、鶴見岳に至る」と書いてあるのだから、最初は「ああ、ここだ、ここだ」と思ったのである。

 

 

 

この参道石段だか登山道だかわからない道をひたすら上る。

 

しかし、もうすぐのところまで来ていると思っていたのに、全然社殿が見つからない。実は中宮の画像を事前にネットで見ており、小さな祠のようなものではなく、結構立派な社殿だということを知っていた。だから、もし中宮がすぐ近くにあるならば、その社殿はすぐに見つかるはずだと思ったのである。しかし、しばらく石段を上っても全然社殿が見つからない。

 

そうしてみると、先ほどの案内板にあった「火男火売神社」というのは、もしかして上宮のことなのかと考え始めたのである。

 

 

しばらく石段を上ると、白龍大神を祀った社がある。とりあえずは参拝する。

 

しかし、ここから上を見上げても、ひたすら石段が続いているだけで社殿がありそうもない。

 

 

これは白龍大神のあたりから上を見上げたもの。全然社殿など見えず、私がここで引き返してしまったものご理解いただけるかもしれない。

 

そして、ここで断念してさきほどの閉ざされた門の分岐点まで戻ってしまったのである。ネットでほかの人の参拝体験記を読んでも、この分岐点で左手の閉ざされた門の方へ行ったという人が2人もいたのである。

 

だから、私もそれに倣った方が確実に到着できるだろうと思ったのである。

 

そして、もちろん実際に中宮に着くことができたのであるが、ここではこの石段をひたすら上り続けていただきたい。これが表参道なのだから。

 

ここでは私が実際に行った閉ざされた門の方の道は省略して、この表参道の続きを紹介する(つまり、画像は帰りに撮影したもの)。

 

 

全然社殿など見えて来ないのだが、この石段を上り続けていただきたい。私もそこまで丁寧に説明したものを読んでいたとしたら、もちろんこの石段を上り続けただろう。

 

 

諦めずにひたすら上り続けると、やっと手水舎。社殿はもうすぐである。

 

 

下を見ると、こんな感じ。

 

もし、私が最初から中宮への道の正解を知っていたとしよう。その場合には、中宮が見つからないことへの苛立ちもなければ、焦りもない。

 

そういった要因が一切なかったとしたら、この表参道の雰囲気はなかなか素晴らしいのである。ある意味、美しく、素敵な参道石段である。

 

だから、皆さんには私と同じことを繰り返してほしくないのである。

 

というか、どうしてこうなったのかと言えば、私の守護霊であるミズハノメがやったのである。嫌がらせである。だから、普通の人はこんなことにはならないと思われる。

 

しかし、念のため、中宮への道を詳細に説明しておくことにしたのである。

 

 

やっと拝殿到着。

 

 

 

どうだろうか。今まで通ってきた表参道というか登山道の様子を考えると、不釣合いな程度には立派な社殿ではないだろうか。

 

ただ、正直に言えば、社殿周辺よりも今まで通ってきた表参道の方が素晴らしい。過去記事で紹介した戸隠神社の奥社のようなものである。最終到達地点よりも、それまでのプロセスの方が魅力的だという例もあるし、それはそれで構わないという話である。

 

 

本殿。

 

 

境内社の稲荷神社。

 

 

宝塔。よくわからないので(笑)、説明は省略する。

 

この後はもちろん、表参道の石段を下って、2本の御神木の神門のところまで戻る。

 

先ほどの案内板を見ると、この神門から左折しなかった場合、「至 旗の台」とある。中宮へは鳥居バス停で下車したわけであるが、その1つ前のバス停が旗の台、そのまた1つ前のバス停が別府ロープウェイというバス停である。

 

次に参拝する上宮へは登山などする気はないのでロープウェイを使うのだが、ロープウェイに乗るにはバス停2つ分戻らなければならない。

 

この「至 旗の台」という登山道を行けば30分程度でロープウェイ乗り場に辿り着ける。鳥居バス停まで戻るのだって25分くらいはかかるのだから、帰りは旗の台方面に出るのがよいだろうと思ったのである。

 

しかし、結論を言うと、後悔した。登山が趣味の人以外は鳥居バス停まで戻ってバス停2つ分だけバスに乗ることをお奨めする。中宮までの行きの道のようには整備されておらず、案内板もほとんどないので、途中でどっちに行くんだろうと思った箇所もあった。なんとか旗の台バス停付近に出た時にはほっとしたくらいだから、あまり気軽にこの道を行くべきではない。

 

 

ともあれ、無事にロープウェイの駅に到着。

 

この日は山頂付近には濃い霧が発生しており、ロープウェイの切符を買う際にそれでもよいかと訊かれた。

 

 

ロープウェイの鶴見山上駅のすぐ近くに鶴見山上権現一の宮というのがある。これと火男火売神社との関係が不明なのであるが、一応、別系統の神社のように思われる。こちらにも参拝。

 

上宮は山頂付近にあるので、ここから徒歩10~15分くらい。軽い登山である。

 

 

山頂への道の途中の様子。

 

 

山頂付近にさらにややこしいことに「鶴見山上権現」がある。先ほどのは「鶴見山上権現一の宮」。まあ、さすがに同系列の神社ということでよいだろう。

 

上宮もすぐそば。

 

 

 

上宮到着。上宮は小さな祠であった。

 

別府ロープウェイが配布しているマップによれば、上宮のすぐ近くに展望所と書いてあるので、本来なら眺望も素晴らしいはずだと思う。残念ながら、この日は霧のため視界不良。

 

 

すぐそばには鶴見岳山頂の標識がある。

 

 

帰りのロープウェイの中から撮影した風景。

 

晴れた日の山頂からは、こんな風景か、もっと凄い風景が見られるのかもしれない。

 

当社および紹介した神社の基本情報等については以下を参照していただきたい。

 

現代神名帳 火男火売神社 下宮

現代神名帳 火男火売神社 中宮

現代神名帳 火男火売神社 上宮

 

現代神名帳 鶴見山上権現

現代神名帳 別府白龍稲荷大神

 

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過去記事はこちらからどうぞ。

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