ネロの減法混色

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(『フランダースの犬/第33話』より)




イギリスへ留学した仲良しの少女アロアに贈るために、地元ベルギーはフランダースの名所(アロアの父が所有)である風車小屋の絵を描く少年ネロ。




輪郭は鉛筆(黒)で描くのですが…





途中で、イギリスのアロアから贈ってもらったパス(?)を取り出して…




着色に取り掛かります。



そして、自宅で仕上げを。



確かパスは3色(青・赤・黄)しかなかったのに、多色表現ができるのでしょうか?



ここで振り返ってみましょう。パスは「光」ではなく「色材」です。そして「青・赤・黄」は、色材の三原色である「シアン(青緑)・マゼンタ(赤紫)・イエロー(黄)」の近似色となります。つまり、これらの3色を混ぜたり、塗ったりすることで、様々な色を作ることができます。



業務用プリンタも、この3色に「黒」を加えた計4色のトナーで運用されていますから、理論上はネロの「黒」い鉛筆と「青・赤・黄」の3色パスだけで、豊かな表現は可能なのです。


確かに、色材の三原色が使用され始めたのは18世紀であり、「フランダースの犬」の時代背景は1870年頃(19世紀)であるから、不自然ではありません。ただ、教育を受けていないネロが、初めて手にした色材(パス?)で、あそこまで表現できたのは、やはり彼の才能なのでしょうか?


【追記・第40話より/ネロが描いた聖母マリア】


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