多くの人を見送ってきた。


還暦という年齢もあるだろうし、本家の長男という立場もあるけど、それにしても死の瞬間に立ち会うことが多いのだ。


最初に目の前で見送ったのは祖父。

実家でのお別れだったけど、死の瞬間からその後、私も集まっていた親戚一同も、どうしたら良いのか分からず、ただ泣くだけ。


そんな中、まだ婚約者であった妻は、看護師の経験を生かし、祖父の身体を綺麗にしたり、鼻に詰め物をしたり、慣れた手つきで旅立ちの準備をしてくれた。

20人ほど集まっていた親戚は、お前は凄い嫁さんを見つけたなと褒めてくれた。


懐かしい話しだ。


しかし、私が次に死の瞬間に立ち会ったのは、その妻だった。

34歳、くも膜下出血の突然死は、あまりに若く、5歳と3歳の小さな娘達を置いていく無念さは、あまりに残酷で。


お別れの時、次女が「ママは死ぬの?いつ帰ってくるの?」という言葉は、ドラマや映画で観たことがあるようなセリフで、集まった家族達は嗚咽してしまった。


その後、祖母、妻の父と母、妻の妹、父、3人の叔父、義兄と旅立ちの時に立ち会うことになる。

その後の段取りについて詳しい自分は、そういう意味で頼られることが多い。慣れたいはずもないのだけど、


天寿を全うできた人は祖母くらいだろうか。

どの死の瞬間も悲しみが深いのだけど、やはり若くして幼い子を残し旅立った妻の妹の死は私の心に大きな傷を残した。


お盆。

みんなが帰って来ているかな。

霊感の無い私は、幽霊を信じないけど、霊魂、魂が帰ってきているのだと信じたいなと思っています。